私たちは目下ネット資本主義という経済社会の真っ只中を生きている。
ネット資本主義は、若い創意に溢れる事業家に活躍の場を与え、IT資本家、IT長者が続出している。資本を蓄積し、その資本は様々な分野への投資の原資となる。
産業資本主義、グローバル金融資本主義に続く、ネット資本主義が、どのように私たちの個人生活と社会生活に変化をもたらし、私たち個人の幸福の達成にどのような影響を与えるのか、老生如きには予測もつかない。
人類が富を手にして以来発展して来た資本主義は、単純にバージョンアップを重ねて来たものでなく、新バージョンが旧バージョンを駆逐する形で交代して来たのだから、変化の動向を読み取ることは難しいのではないか。経済学は過去の経済を検証し軌跡を明らかにするが、予測はモデルをもってする方法でしかできない。
資本主義というものは、どのように変容しようとも、人間の所有欲をバックボーンにしている限り一貫性を保ち、人類の経済活動はひとときも滞ることはない。
ネット時代であっても、資本の自律的挙動は過去と何ら変わるものではない。
かつての社会的成功への標準コースの路線と序列を経ないで、果敢に事業に挑戦した成功者たちが、社会の上層を占め、表向きの選挙という民主的手法の陰でAI等のIT技術を駆使して選挙民の投票行動を操作することが可能になりつつある。彼らはに政治的影響力を発揮するようになり、政権に大きな影響力を行使するようになった。
インターナットは、様々な仮想空間を創出し、その仮想空間の中に多数の人々を囲い込む。それぞれの仮想空間は、さながら民族集団の様相を呈している。
かつての大航海時代のように、ネット空間の大洋に、IT植民地がばら撒かれつつある様相が視野に入り始めた。
植民地主義とは、国境外の領域を植民地として獲得し支配する政策活動と、それを正当化して推し進める思考を指すと定義されているが、on lineされたネット空間の内に、SNSを手段に多数の人間を囲い込み、彼らの生活行動や消費生活を意のままに操るのは、ある種植民地経営に通じるものがある。SNS内の人々は、植民地の住民同様、操られ一方的搾取が行われていることに気づかない。消費者はそれと気づかず、その植民地の住人に成り下がる。かつての宗主国と植民地の従属支配関係が、SNSとそのユーザーとの間で成立するかのうせいがある。大航海時代から20世紀後半にかけては、ヨーロッパの強国が盛んに植民地を獲得し、たがいに覇を競っていた。コロンブス、バスコダガマに続く大航海時代のヒーローの衣鉢を継ぐネット資本主義の時代のIT長者の目指すものはもちろん富である。
大航海時代の私掠船や海賊船の横行海と、目下のネット詐欺やハッキングの横行は、無法が罷り通る社会という点で共通するものがある。
IT時代のGAFAは、さしずめ植民地主義の時代の英国,オランダ,スペイン,ポルトガルを想わせる。
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