〈Tightrope!〉という1960年代のアメリカCBSテレビのドラマシリーズが、日本でも放映されたことがあった。スリリングな秘密捜査ものだったと記憶している。
つらつら顧みれば、人生はある意味tightropeの上を伝い歩くようなものである。安定安全を目指していても、危険は至る所に隠れている。
人生で危険や危機に遭遇するのは避けられないが、拠るべきものを持たない人間、すなわちバックアップの無い者は、ロープから落ちたら何もかもお仕舞いである。成人して50余年、我ながらよく無事で今日に至ったと思う。僥倖というほかはない。
自分の気質が稀少性を重んじ多数に同調しない我儘な性格だったことが、細く狭い道を歩ませる結果になったと理解している。
自主自立を求めて個に立脚することは孤に通じ、衆を恃めば長いものに巻かれるほかはない。拠るべきものは何か?一生の課題である。
人間の歩む道が、老いるほど細く狭くなることだけは明らかなようだ。自身の老化の進行と外部環境の変化が、相対的に道を険阻なものにするのである。それまでどんなに広く堅固な道を歩んで来ても、齢をとれば誰もが往く道は細道となる。それでも私たちは、道があるかぎり歩まずにはいられない。
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