道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

大腰筋と骨盤

2020年07月15日 | 健康管理
骨盤後傾を防ぐ」の記事をupしてから11ヶ月、防止対策への理解は一段と進み、骨盤後傾には〈大腰筋〉の衰えも大きく関与することを知って、漸く本丸にたどり着いた思い。今回は脊椎と大腿骨を繋ぐ、外から見えないインナーマッスル、大腰筋に注目してみたい。

脚を前に出すとき、この大腰筋が収縮して大腿骨を前上へ引き上げる。この時、筋の上端が着いている腰椎には、前下方向に引く力が働く。大腿骨を引き上げる運動の主体は大腰筋だが、その際の骨盤の安定には〈腸骨筋〉や〈腰方形筋〉が機能する。

腸骨筋は骨盤を前に傾けて体を丸める動きや、大腿骨を外に開く時に働く。大腰筋は腰椎に、腸骨筋は文字通り骨盤の腸骨に支えられている。それぞれの筋の下端はひとつになって、大腿骨の上部内側の小転子という部分に着いている。
大腰筋の筋力の維持強化は、高齢者の躓きによる転倒防止には最も効果が高いらしい。

黒人の大腰筋が先天的に白人・アジア人より太いことは広く知られていて、かつてアスリートの大腰筋強化が取り沙汰されたことがある。インナーマッスルだから、骨格筋のように鍛えて太くなるという性質のものでなく、日本では大腰筋強化熱はすぐに冷めた。
人種の違いによる筋肉特性を、鍛錬で凌ごうとする「為せば成る」式の考え方は間違っている。努力は万能ではない。為しても成らないものは成らないし、成れないものは成れない。筋肉の特性も、顔貌・体格と並ぶ遺伝形質のひとつと考えないと無理を生む。それぞれに固有の、傑れた特性を伸ばす外はない。

黒人の体型は、彼らがダンスを踊っている映像などを観ると、〈骨盤外筋〉が発達し、骨盤が前傾していることがわかる。また、〈骨盤内筋〉の大腰筋・腸骨筋も発達し、見えないところで強力に働いていることがわかる。彼らがレゲエを踊っている映像を視ると、それがわかりやすい。前後左右腰のストロークと手足の柔軟な動きには瞠目する。やはり人種間の筋肉の量と質は、ネグロイド、コーカソイド、モンゴロイドのまとまりで、顕著な違いがあるということになるのだろう。

私たち現代の日本人に大切なことは、大腰筋を経年や生活習慣で衰えさせないことだ。乱暴な言い方だが、大腰筋の衰えが老化の元凶である。老いは大腰筋から始まると言っても過言では無いだろう。

片足立ちや椅子に座ったまま膝をお腹に引き寄せる運動などは、高齢者でも日常的に励行できる大腰筋の運動だ。それでは物足りない人は、サッカーでボールを前方へ蹴る動きが、大腰筋に効果的らしい。この筋肉は骨盤内部にあって体幹に密接しているので、ストレッチが難しいがそれを怠ってはいけない。

目に見えない大腰筋、この上半身と下半身を繋いでいる、重要な筋肉の存在に寓目することは、何よりの「転ばぬ先の杖」となるに違いない。
何しろ老生は子供の頃からそそっかしく、注意力が散漫でよく転んだ。駅でコンクリートの階段を一段踏み外し、転倒したことも、ごく近年にあった。幸い軽い打ち身でことなきを得たが。遡ればその数年前に、山で下山のとき小さな段差を踏み外し、谷に落ちそうになったこともある。すぐ後ろにいた山友に咄嗟に助けられたのは僥倖だった。その時を以って、登山を罷めている。老いは密かに忍びよるから、油断ならない。

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