昔話になるが、かつてフーテンの寅さんの映画「男はつらいよ」がシリーズ化され、渥美清演ずる「寅さん」は国民的キャラクタとなり、東京葛飾区柴又商店街の街並みや、柴又帝釈天日蓮宗題経寺が一躍有名観光地になった頃のこと。寅さんが行商の途上で訪れる全国津々浦々のロケ地の情景や準主役のマドンナたち、芸達者な脇役たちの演技もこの映画の大きな魅力で、興行的には大成功していた。渥美清あっての「寅さん」だった。そんな . . . 本文を読む
人類は、現世の苦悩を宗教(信仰)に帰依することで、緩和ないし解消を図ってきた。その切実な願いに誠実に対応し、民衆の救済を目指した宗教者(開祖)たちの足跡は尊い。だが宗教の本態は、強烈な自我をもったある個人(教祖)と、自我を喪失した多数の人々(信徒)とがつくりあげる、依存と被依存の特殊な人間関係で構築された集団が始まりである。世界宗教といえども、初期のこの基本構造は変わらない。開祖のようなカリス . . . 本文を読む