若い人達と、ある程度の期間一緒に出張する機会があった。そこで彼らが空いている時間にやっているスマホのゲームを教えてもらい、やってみることとした。
やったのは「天地のごとく」。三国志の話を中国で戦略ゲーム化したもので、世界No.1と標榜している。 私のこの分野のゲーム経験は、大昔の「信長の野望」。やってみると大変だった。
まずびっくりしたのは美しいグラフィック。そしてイントロで城を立てだしたら、その手伝いをしていた貂蝉を呂布がさらっていくというドラマチックな展開。城内を整備し城外で収穫や敵兵を討伐することで実力を蓄えることで、彼女を取り返すということからゲームが始まる。この辺りまでは、ゲーム自身が適切な操作を導いてくれる。
それから少しずつ城内の生産能力を高め兵力を大きくすることで、城のレベルがステップアップしていくとともに、三国志の歴史に出てきた武将が集まってくる。その個性の作り方が面白い。その実力開発も操作者の腕の見せ所となる。
<下図は城内の様子>
かつての私の経験したゲームは、私がアクセスした間のみ時間が進む。このゲームは不参加状態でも時間がどんどん進んでしまう。それは個人というよりも集団が同じ時間とゲーム空間の中で、連携してゲームを進めるからである。
私もなんだか知らないうちにある連盟に組み込まれ、その中で周辺メンバーとともに、連盟間の名城争奪競争、天災のように起こる亡霊(先帝)からの協力防御を行うとともに、他連盟との戦争を行った。
<下図は城外の様子。左が最初単独でいたころ。右は連盟に入り、集団活動を始めた状態>
他連盟との戦争が大変で、自分よりもランクの高い城が飛んできて、攻撃を仕掛ける。防御できないと城が燃えて、蓄えていた資産のうち倉庫に入っていない分が略奪される。そして病院に入りきれない兵士が全滅してしまう。襲ってくるのは真夜中が多く、朝起きてみると悲惨な状況になっているということになる。それを防ぐには、防衛力を強化するアイテムとか戦争パスというアイテムを、ゲーム内で通用する金貨で購入する必要がある。それがなかなか高い。(金貨はゲーム内業績で得られるが、課金(ゲームにお金を振り込む)でも得られる。)
私の連盟は強い城が多かったため、弱い私などの城を襲うと仕返しされるので、あまり襲われることはなかったが、弱い連盟は絶えず襲われ収奪されることになる。
やっていくうちに、以下のことが分かった。
1.既存のヒエラルキーの支配
ゲームに参加した時点で、既存の強い城持ちがたくさんいて、ヒエラルキーがほぼ固まっている。どうしても連盟の下っ端から抜け出せない。
2.ゲーム仲間との連帯意識が強くなる。
連盟全体で共同作業をするので、その中の仲間意識は高まる。特に個人の都合(飲み会、子供の風呂 等)で戦線離脱する場合は、それをカバーしようとする意識が高まる。
3.国際性が高い。
中国発の世界に広がったゲームのためか、使用言語の選択など国際性が高い。場所と時期で参加者をサーバー区分して世界をパラレルにしているようで、私の参加した世界には日本人が多いが、ちゃんとベトナム人や中国人も入っている。この人たちが日本国内にいるのか、自国から参加しているのかわからない。日本人に比べて彼らは好戦的である。
4.金と暇を持っている者が強い。
無料でも遊べるというが、ほぼすべてのものが課金によって入手でき、金と時間を投入するものが強くなる。特に三国志内で憧れの対象である強い武将は、課金でないと得るのが難しく、強く育てることが難しい。
そして手間暇かけるほど、きめ細かな資源収集や武将育成ができ、強くなる。また操作者がいない相手を攻撃できる。とても朝昼夜のみ対応では、かなわない。
5.影武者(サブ)の存在
4に関連するが、強者は多数のアカウントを取得し、いくつかの城を自分のコントロールに置いている。例えばそれらに資源を生産させてメインの城に集めるといった形で、強化を図っている。またメインの城がサブの城を攻撃して燃やすといった方法で、メインの城の業績を高くしている。私の参加した連盟では、そういったサブの集団でサブ連盟を作っていた。他の連盟を見ていると、一人で数個は持っているなというものがあった。これをやるとメインの城は格段に速く強くなる。
基本的に、美しいグラフィックと親しめる環境音楽や各登場人物の声という環境がある。
そしてスマホ外では見知らぬ人と助け合い集団活動する面白さ、その中で自分は強くなってかっこつけたいという向上心をうまく刺激している。
ともかくゲームを提供している側としては、課金してくれること、そうでなければせめて宣伝してくれることを望んでおり、強くなるために課金する餌をたくさん垂らしている。そして後者についてはtwitter連携とし、何かあるたびにそこへ発信するようにできている。
ゲームをやり始めると、無課金であっても自分が強くなるための手段にどういった方法を選択するか、選択した場合の資材集めの方法と計画などが、頭から離れなくなり、時々電卓で資材の必要量を計算したりする。(私も、ちょっとなった。)
この単一サーバーの中の参加者はどの程度だろうと推定してみた。連盟等の参加者から見て3000~5000人、不参加者も考えるとサーバー内には1万人くらいいるのかもしれない。しかし、登録しただけとか飽きた人などを考えると実質的な稼働している城は多分1000より少ないだろう。そして影武者を考えると活動しているのは500人くらいじゃないかと思う。そのオーダーの人がポケットに中のスマホを媒介して、どこにあるのかわからない小さなサーバーの中で戦っているのだ。
私は無課金実施である程度のレベルに達し、若い人達が夢中になるという理由もわかったのでやめることにした。しかし私の育てた武将たちが整列してスマホから通じる世界の中で、これからずっと命令を待っているのだろうと思うと、感傷的になる。
でもこのゲームを一日中やっていそうな人がいるが、それはどんな環境の人なのだろうと思ってしまう。
やったのは「天地のごとく」。三国志の話を中国で戦略ゲーム化したもので、世界No.1と標榜している。 私のこの分野のゲーム経験は、大昔の「信長の野望」。やってみると大変だった。
まずびっくりしたのは美しいグラフィック。そしてイントロで城を立てだしたら、その手伝いをしていた貂蝉を呂布がさらっていくというドラマチックな展開。城内を整備し城外で収穫や敵兵を討伐することで実力を蓄えることで、彼女を取り返すということからゲームが始まる。この辺りまでは、ゲーム自身が適切な操作を導いてくれる。
それから少しずつ城内の生産能力を高め兵力を大きくすることで、城のレベルがステップアップしていくとともに、三国志の歴史に出てきた武将が集まってくる。その個性の作り方が面白い。その実力開発も操作者の腕の見せ所となる。
<下図は城内の様子>
かつての私の経験したゲームは、私がアクセスした間のみ時間が進む。このゲームは不参加状態でも時間がどんどん進んでしまう。それは個人というよりも集団が同じ時間とゲーム空間の中で、連携してゲームを進めるからである。
私もなんだか知らないうちにある連盟に組み込まれ、その中で周辺メンバーとともに、連盟間の名城争奪競争、天災のように起こる亡霊(先帝)からの協力防御を行うとともに、他連盟との戦争を行った。
<下図は城外の様子。左が最初単独でいたころ。右は連盟に入り、集団活動を始めた状態>
他連盟との戦争が大変で、自分よりもランクの高い城が飛んできて、攻撃を仕掛ける。防御できないと城が燃えて、蓄えていた資産のうち倉庫に入っていない分が略奪される。そして病院に入りきれない兵士が全滅してしまう。襲ってくるのは真夜中が多く、朝起きてみると悲惨な状況になっているということになる。それを防ぐには、防衛力を強化するアイテムとか戦争パスというアイテムを、ゲーム内で通用する金貨で購入する必要がある。それがなかなか高い。(金貨はゲーム内業績で得られるが、課金(ゲームにお金を振り込む)でも得られる。)
私の連盟は強い城が多かったため、弱い私などの城を襲うと仕返しされるので、あまり襲われることはなかったが、弱い連盟は絶えず襲われ収奪されることになる。
やっていくうちに、以下のことが分かった。
1.既存のヒエラルキーの支配
ゲームに参加した時点で、既存の強い城持ちがたくさんいて、ヒエラルキーがほぼ固まっている。どうしても連盟の下っ端から抜け出せない。
2.ゲーム仲間との連帯意識が強くなる。
連盟全体で共同作業をするので、その中の仲間意識は高まる。特に個人の都合(飲み会、子供の風呂 等)で戦線離脱する場合は、それをカバーしようとする意識が高まる。
3.国際性が高い。
中国発の世界に広がったゲームのためか、使用言語の選択など国際性が高い。場所と時期で参加者をサーバー区分して世界をパラレルにしているようで、私の参加した世界には日本人が多いが、ちゃんとベトナム人や中国人も入っている。この人たちが日本国内にいるのか、自国から参加しているのかわからない。日本人に比べて彼らは好戦的である。
4.金と暇を持っている者が強い。
無料でも遊べるというが、ほぼすべてのものが課金によって入手でき、金と時間を投入するものが強くなる。特に三国志内で憧れの対象である強い武将は、課金でないと得るのが難しく、強く育てることが難しい。
そして手間暇かけるほど、きめ細かな資源収集や武将育成ができ、強くなる。また操作者がいない相手を攻撃できる。とても朝昼夜のみ対応では、かなわない。
5.影武者(サブ)の存在
4に関連するが、強者は多数のアカウントを取得し、いくつかの城を自分のコントロールに置いている。例えばそれらに資源を生産させてメインの城に集めるといった形で、強化を図っている。またメインの城がサブの城を攻撃して燃やすといった方法で、メインの城の業績を高くしている。私の参加した連盟では、そういったサブの集団でサブ連盟を作っていた。他の連盟を見ていると、一人で数個は持っているなというものがあった。これをやるとメインの城は格段に速く強くなる。
基本的に、美しいグラフィックと親しめる環境音楽や各登場人物の声という環境がある。
そしてスマホ外では見知らぬ人と助け合い集団活動する面白さ、その中で自分は強くなってかっこつけたいという向上心をうまく刺激している。
ともかくゲームを提供している側としては、課金してくれること、そうでなければせめて宣伝してくれることを望んでおり、強くなるために課金する餌をたくさん垂らしている。そして後者についてはtwitter連携とし、何かあるたびにそこへ発信するようにできている。
ゲームをやり始めると、無課金であっても自分が強くなるための手段にどういった方法を選択するか、選択した場合の資材集めの方法と計画などが、頭から離れなくなり、時々電卓で資材の必要量を計算したりする。(私も、ちょっとなった。)
この単一サーバーの中の参加者はどの程度だろうと推定してみた。連盟等の参加者から見て3000~5000人、不参加者も考えるとサーバー内には1万人くらいいるのかもしれない。しかし、登録しただけとか飽きた人などを考えると実質的な稼働している城は多分1000より少ないだろう。そして影武者を考えると活動しているのは500人くらいじゃないかと思う。そのオーダーの人がポケットに中のスマホを媒介して、どこにあるのかわからない小さなサーバーの中で戦っているのだ。
私は無課金実施である程度のレベルに達し、若い人達が夢中になるという理由もわかったのでやめることにした。しかし私の育てた武将たちが整列してスマホから通じる世界の中で、これからずっと命令を待っているのだろうと思うと、感傷的になる。
でもこのゲームを一日中やっていそうな人がいるが、それはどんな環境の人なのだろうと思ってしまう。