この展覧会の下記の構成のうち、その1で第1章を示したが、この記事では第II章について示す。
第1章の作品では、撮影した展示品を自由に投稿できるものが多かった。しかし年代が下がるにつれて制限されているものがほとんどになる。そこで自由なもの以外は展示会のポスターや美術館がtwitterで公開している画像などを用いた。
美術展構成:
第I章 1900s- アートの地殻変動
第II章 1930s- アートの磁場転換
第III章 1960s- アートの多元化
第II章 1930s- アートの磁場転換
シュルレアリスムを中心に、抽象表現主義、アンフォルメルまでを特集しているとのこと。
マックス・エルンスト、ジュアン・ミロ、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリット、ポール・デルヴォー、アレクサンダー・カルダー、アルベルト・ジャコメッティ、ジャクソン・ポロック、モーリス・ルイス、サム・フランシスほか
ここで美術展として目玉にしているのはミロ。そしてエルンスト、デルヴォーを3館が提示している。
ミロは各館が1枚ずつ3枚。彼はシュルレアリスムの画家とされているが、自分は具象画家と主張していたらしい。
<ジョアン・ミロの作品>
左:花と蝶 Y(1922-23) 中央:絵画 A(1925) 右:パイプを吸う男 T(1925)
(ポスター、twitter等より)
右は確かに、かなり具象。そして左は、まあ形態がわかる。しかし中央を具象というのは? 題目だって? でもどの色彩も楽しい。ピカソといいスペイン人は感覚が違う。
特に右はデフォルメを追いかけることができイメージが膨らむ。これは富山美術館最初の蒐集品で、作家滝口修造の指定とのこと。夢で見たものを書いたというのだから単純な具象ではない。
シュールと言えばダリだが、商売っ気がありすぎて私はあまり好きでなく、突き抜けたアイデアの人としてルネ・マグリットが好きだ。2枚展示されている。今はグラフィックデザイナーが、もっと完成度の高い作品を作るかもしれないが、こういったSFの異空間表現をサラッと世界で初めて絵画で発明した。
<マグリットの作品のうち1枚 王様の美術館> Y(1966)
シュールの作家がヨーロッパで居心地が悪くなって米国に移ったころから、美術の覇権が米国に移った。そこで抽象を徹底させようという動きが活発となった。
抽象表現主義の作家の作品として、アクション・ペインティングのジャクソン・ポロックの作品がある。小さい頃に写真雑誌で、この人が天井からロープにぶら下り大きなキャンバスにペイントを垂らしながら揺れている状況を見た。なにしているんだろうと思ったが、これは小作品。何だろうって考えなければ楽しい悪戯。まあ無題ですからね。
<ジャクソン・ポロック 「無題」> T(1944)
美術展説明資料
またその主義を別の方向で展開した作家であるモーリス・ルイスの作品も展示されている。
<モーリス・ルイス 「ダレット・シン」> T(1958)
美術展説明資料
ものすごく大きな大作。壁一面の茶色に飲み込まれそう。多重の浸みこみという秘密の手法で作成され、そのテクニックは不明とのことだが、マーク・ロスコとともにこのタイプの作家の作品はわからない。ただし圧倒されることは確かである。ボリュームのある色彩の塊は、案外民族や地域によって、もしかしたら環境によって突き刺さる人とそうでない人が違うのではと思う。題目は単なる記号。
美術というものが、多くの人のほぼ一様な共感を得るということから、非常に局所的な人の深い所有欲を刺激すればいい、それでも商売的に成り立つという方向へ変わってきているのだろうと思う。
彫刻においても、かなり抽象的表現となった。
アルベルト・ジャコメッティの作品。ぎりぎりまで対象をそぎ落としている。この緊張感が私は好きだ。
<ジャコメッテイ 「裸婦立像」> T(1950)
アレクサンダー・カルダーは動く彫刻を発明した。下記の作品は金属製の作品だが、尻の部分より上はバラバラで、それぞれが可動でありバランスで写真の状態になっているとのこと。これがモビールに発展し、世界のインスタレーションとして広がった。
<カルダー 「片膝ついて」> A(1944)
美術展説明資料
このような表現の発明がいろんな所で起こるのが、第3章である
。