数年前から配偶者の話がちゃんと聴き取れずに聴き返すことが多くなった。しかし耳鼻科に行っても、まだ補聴器の段階ではないと言われていた。しかし最近「繰り返すのが面倒だから、対話するのがいやになってくる。」と厳しく言われた。そしてまた耳鳴りがひどくなってきたので、改めて耳鼻科に相談に行った。
1.耳鼻科での対話
医師に現状を話し、検査を受け診断してもらった。
(1)私の認識している症状
私はそれほど悪くないと思っていたが、症状としては下記の通り。
・小さな声で話しかけられたらつらいが、ちゃんとした声ならわかる。
・テレビは配偶者や子供の聞いているヴォリュームでは聞きずらいが、少し大きくするとわかる。
・自動車のウィンカー等が知らずに動いているのに、気づくのが遅れることがあった。
・右側で耳鳴りがひどい。高い音でジーとなるのと、ガチャガチャなるのの2種類。
(ウィンカー音が聴きにくいは耳鳴りと重なっていると思っていた。)
(2)検査等に基づく病院の診断
・低音の聴力は高齢者の標準に比べて、右は標準、左は標準よりやや低い。
・高音の聴力は、右および左とも低い。
・低音側がほぼ聞こえているので、日常生活は周りが配慮してくれればそれほど不自由ではないはず。
補聴器はその人の判断次第だが、耳鳴りを抑えるのに補聴器が有効な可能性があるので、試行してもよい。
(ちゃんと聞こえればそちらに注意がゆき、耳鳴りへの意識がさがる。)
なお高周波数の高音部は、下記の図のように高齢になると低下してくる。
以上の状況だったが、耳鳴りを抑えたいこと、また配偶者が是非補聴器を試みてほしいということで、耳鼻科推薦の補聴器屋さんで、試着してみることにした。
2.補聴器会社社員との面会
まず補聴器の機能および取付形式、そして補聴器条件設定や使用の流れの説明があった後、耳鼻科のデータをもとに設定した条件の補聴器を試着した。
(1)説明概要
①補聴器の機能について
その人の各波長における聞こえ方の能力を調べる。外部の音を分析し、そこから聴力の弱い波長域のみの音を強調した音を耳に届ける。よって音全体のボリュームはあまり大きくならない。医療機器である。
それに対して集音器は、波長全体のボリュームを大きくするもの。音響機器。
②取付形式
耳かけ型:
マイクと分析や増幅器を耳掛け部に置き、小さなスピーカーを耳穴に入れる方式。
耳穴型:
マイクや各種機器そしてスピーカーをまとめて耳穴に入れる方式。
機能性や取付性、ファッション性で選択される。
耳掛け型のほうが機能の選択肢は広いが、ファッション性は耳穴型
⓷補聴器条件の設定や使用の流れ
まず耳鼻科の診断結果に基づいて調整したものを試着してもらう。その感想から再調整したものを試着してもらう。
途中の段階で購入したとしても、1か月はトレーニング期間で様子を見て調整。その後、定期的に調整を図る。
補聴器は2年もしくは3年保証。症状の進展によってはその程度の期間で交換していく可能性もある。
③試着
耳鼻科の診断結果に基づいて、高音部の波長の音を強調した耳掛け型のものをまず1週間試着することにした。
⓷試着直後
試着直後はこんな以下のような感じ
・装着した耳が鬱陶しい。
・自分の声がうるさい。
・自分が服を触ったり髪を触ったりする音がうるさい。
・近くで杖を持っている人が床をこつこつたたいたり引きづったりしていたが、
それがうるさい。
一週間試着してみて再調整等を相談することになったが、帰りの車に乗る際、首の上の感覚が違和感だらけ。
サイドブレーキを外すのに一瞬戸惑ってしまった。
3.4日間試着した現状での感想
現状について、配偶者からの感想をまず書く。
①自分自身の話し声が小さくなった。
②聞き直しがなくなった。
⓷テレビのボリュームをあげようとすることがなくなった。
以上のことから、配偶者は補聴器を購入したほうがよいと希望した。
そして私の感想は以下の通り。
(1)装着感
耳にずっと取り付けているのは我慢できる。
ただし、また耳掛け式では眼鏡やマスクとの干渉が面倒くさい。
(2)聞こえ方
①音は確かに高周波数(高音)を聞かせてくれることで、全体の音量を変えずに話し言葉の子音がはっきりし、聞きやすくなる。テレビ等の音声も同様。
言葉の音それぞれが子音が聞こえることでエッジが聴く感じ。
②自分の発生する声、衣服などの自分の出す音、そして固い床で自分以外が発生し床を伝達してくる音は、大きく聞こえる。(空気伝達でない身体伝達の音がよく聞こえるということ) 現在も自分の声が変わったかのように聞こえ、違和感がある。
⓷自動車等のウィンカーの音、家の中の機器が発する注意喚起の音がはっきり聞こえる。
④水道の水の流れなどの音が、今までの音に高い装飾音がついたかのように聞こえる。
(3)雑音等
①耳の近くを触ると雑音が出る。
②取付/取り外し時に雑音が生じる。
⓷食事等の口を動かしている時に雑音が生じることがある。
④身体を動かしている時、雑音が生じることがある。
⓷と④は現在のものが耳形状に合致していないために起こるのかもしれない。
⑤耳のあたりを覆うとハウリングが起こることがある。
(4)耳鳴りへの効果
現在 ガチャガチャという耳鳴りは消えた。ジーという音も和らいでいる。
(5)その他
この補聴器には、突発の雑音や環境雑音を抑制する機能もついているとのことだが、その効果については、現段階ではわからない。でも対話音がやや浮き出して聞こえる感じもするから、そうかもしれない。
4.おわりに
配偶者の意見、および耳鳴りがある程度収まっているということで、補聴器を購入する方針だが、なかなかに高い。
また不思議なことだが、補聴器を外してもテレビの音声がその前よりも聴こえるようになっていると思う。多分高周波数の領域を聴く刺激ができた結果、その領域を聴くことができるようになったのではと思う。
それとともに、年とともに自分で聴きたくないと思って、ちゃんと聴こうとしなかった結果聴力が落ちて来ているのではともなにか感じている。
聴こえるようになることが幸せなのだろうか・・・