てんちゃんのビックリ箱

~ 想いを沈め、それを掘り起こし、それを磨き、あらためて気づき驚く ブログってビックリ箱です ~ 

今年最初のART HUB NAGOYA 訪問

2025-01-13 20:27:45 | 美術館・博物館 等
年末にART HUB NAGOYAに行った時、正月明けに力の入った日本画の展示会をするということだったので、訪問した。((記事としては2回続きになります。)

訪問場所:ART HUB NAGOYA
訪問日:1月7日
訪問時の展示
  ・第一画廊および第二画廊 第50回記念 近代日本画巨匠展  1月5日~1月14日
  ・Open gallery 阿部亮太郎 展「なにげない線が 朧げな点となる景色」期間 同上
  ・gallery α:名作REBORN      12月25日~1月7日
  ・arttake ART LAB:中西咲月 現代エジプト展 12月26日~1月17日

  上の2件が新規で、それについて書きます。

1.近代日本画巨匠展
 50回目だそうだが、新画廊記念ということで、かなり力をいれて展示品を集めた模様。
 メンバーは下記写真参照。明治の日本画誕生時期から現代の重鎮まで、有名日本画家が一そろい並んでいる。
 ところどころに価格付の絵が有るが、500~1000万円で、入口も下記のように荘厳な感じだった。




 この展示は写真撮影は不可なので、ギャラリーのHPおよびインスタグラムからの引用した写真を以下に示す。



東山魁夷



左:平山郁夫?  右:片岡球子



左:上村松園?  真ん中:鏑木清方 右:?

「引用はhttps://www.instagram.com/p/DEcEfLJP0uA/」

 それぞれの作家にとってどう評価されている絵画かはからないが、高名な画家の1~2点がカタログのようにずらっと並ぶと、それぞれの画家の特徴や時代の流れによる絵の変化が、それなりにわかる。また各時代の人のアイデンティティを持つための戦いというのもわかるような気がする。それぞれ過去に対する変化をアピールしつつも、それのいいところは何かと新しい視点で過去を取り入れようとしている。

以下に、主要な感想を示す。
(1)明治時代の画家の、線で描く手法と大観を代表とする面で描く手法の違いがよくわかった。菱田春草は壮年前に亡くなったからまだ戦いの途中で張り詰めた感じで描いているが、大観は高齢になって権威化したので、確立させた描き方が様式化した。
(2)大観以降の作家は、暫く百家争鳴というか、いろいろな描き方でベクトルの向きを広げようという動きが続いた。
(3)最近は、洋画とくに抽象的表現の影響、そして贅沢な画材の使い方の影響とそれに伴う画面の素地表現の影響が顕著にでていると思う。
 堂本印象は抽象に行ったし、片岡球子も形をゆがめた抽象的表現となっている、その2人、平山郁夫、堀文子などは絵具を分厚く塗り重ねている。人によっては凹凸で陰影ができる効果を狙っているのではと思う。
(4)最近になるほど、装飾性がたかまっていると思う。日本では美術ではなく美術工芸というジャンルになっていて、工芸という言葉に引きずられて美術的大胆さより完璧性がもとめられていると誰かが書いていたが、そんな感じだと思う。そしてだからこそ飾りとして日本画の価値はあるのだとおもう。

 いずれにせよこれだけのメンバーが一斉に並ぶのは、そうはないとおもい、来てよかったとおもった。

2.阿部亮太郎 展
 阿部亮太郎氏は愛知県生まれで、東京芸術大学で彫刻を学んだ人。私たちがいった時ちょうど作家本人が入らっしゃったので、いろいろ話を伺うことができた。 
 これまでは彫刻、特に石を彫るということを専門にしていた。これは元の物体からマイナスしていく行為であり、絵画はキャンバスに色を載せる、すなわちプラスしていく行為だということでそれにも仕事を拡げ、展示してみたとのこと。
 まずは彫刻。
 大きな大理石から、この細長いものを彫りだしている。(ただし所々に継ぎ足して並べている。)  一応壊れないようにラフな設計はするが、彫りだしたらその石に感じたように彫るので、どんどんぐにゃぐにゃになっていくとのこと。



 宇宙の無重力で縄を浮かせたら、縄の中の小さな内部応力が最適に解放されるようにぐにゃぐにゃになるという話をしたら、そのようなものとの答えで、大理石の中から形を解放させているとのことだった。彫刻では他にバービー人形と組み合わせたものがあった。



 絵画は下記のようなもの。大画面に綿棒でポツポツと点を打っていく。それを全画面で5層は重ねるとのこと。一打点の濃淡はドーナツ状になっているので、表現に面白味があるそうである。



 ほかの作品も示す。

   

「https://www.instagram.com/p/DEj-htxPAV1/からの引用」

 全体を見ると大理石などの石の模様に近い印象を受ける。絵具に厚みがないので角度を変えてみても、特に色の変化などはない。色盲検査のように何らかのパターンを隠しているというわけでもなく、ただ点を打っているだけとのこと。
 彫刻のほうは無心に自然物の中から外に出たいものを削りだすことを実施し、絵画のほうは自然の代わりに無心にコツコツとたい積物を作り出していっている。
 そんな感じで存在感のあるものを生み出している。美と言っていいのかはわからない。でも面白いアプローチである。絵画のほうはプロセスは貴重だが、作品自体は壁紙と同様とも言えるし、プロセスも押印位置精度や押印圧力をランダムに振ってAIでコントロールさせれば、同じ意味の絵を描いてくれそうな気がする。

次回は海外作家の巨匠展ということで、それも楽しみである。

コメント
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