死神の精度

彼の仕事は、部署から指示された相手に1週間前に接触して調査を行い、「死」を実行するのに適しているか判断し、報告することだ。
彼は「千葉」という名前をもった死神。
よほどのことがない限り、可の報告をすることになっている。
この仕事をする上での楽しみは、ミュージックを聴くことだ。
人間の死には興味はないが、人間が死に絶えてミュージックがなくなってしまうことは辛い、と思っている。
仕事によってはモデル並みの青年だったり、40代の中年男だったりする。

「伊坂幸太郎」
若い世代を中心に、今最も熱い支持を集めている作家とある。
初めて読むのは2003年の直木賞候補作「重力ピエロ」がよいかなと思っていたけれど、図書館本館、分館全てで貸し出し中だった。

六編の作品からなる「死神の精度」は、千葉さんの乾いたとでもいうのか、会話がおもしろい。
「雨男なんですね」と彼女は微笑んだ・・・・
けれどそこで、長年の疑問が頭に浮かんだ。
「雪男というのもそれか」「何かするたびに、天気が雪になる男のことか？」

「旅路を死神」は、ちょっと出来が悪いと思えたけれど
「死神対老女」は、最後の作品にふさわしい終わり方だった。

「死神の精度」　伊坂幸太郎