先日TV番組でやっていた過去の事件の再現劇ですが、最新の科学研究に基づき推理小説
のようなシナリオになっていて興味を惹かれました。この事件そのものはネットの好事家
達の間では知る人ぞ知る話ですが、去年までは原因不明の怪奇事件という扱いでした。
今回の放送ではっきりとした原因が提示されていてSF映画のような緻密な内容になって
いたので紹介する気になりました。また原因の一つが私と無関係でないらしいと分かった
ので後述します。
ディアトロフ峠事件に関してはネット上で検索すれば詳しい内容は分かりますが、画像
には複数の遺体写真が含まれるのでご注意ください。概要を書きますと、1950年代のソ連
でスポーツ資格を得るための試験として冬山登山をした一隊が遭難し、全員死亡したと言
う事件です。事件そのものはただの事故のように思えますが、その遺体の状態が尋常では
なく、当時捜査に当たった警察当局も事件性を感じて動いていました。隊員達の遺体は全
員テント周辺の場所に散り散りになっており、軽装で靴も履いておらず、まるで何かから
逃げ出したかのようだったのです。
しかしモスクワの指示によって捜査は突然中止され「未知の不可抗力」という結論を残
して終結したのです。
この結論は今回の検証によって実は正しかった事がわかったのですが、今日に至るまで
さまざまな憶測がなされてきました。当時のソ連軍による核実験の影響ではないかとか、
動物や原住民にによる襲撃とか果てはUFO説まで出たのですが、結論から言うと自然現象
に影響された隊員のパニックであったことが分かったのです。
ディアトロフ峠(事件後命名)は核実験場であるノバゼムリャ島の南方に位置しており、
この関係から隊員の衣服から放射線が検出されたことが憶測を生みました。政府の圧力で
事件捜査が中止された理由も核実験への関心が高まる事を恐れたからのようです。ソ連の
崩壊後ジャーナリストによってこの事件が検証され、気象学者の元に取材が持ち込まれる
に至って原因が判明するまで60年ほどかかった理由がこのあたりにあります。
それによるとディアトロフ峠の形状と当時の風速15mという気象条件、および隊員が
峠の風下にキャンプを設営したことが原因という分析でした。峠の周辺には樹木もなく、
平坦な地形になだらかな半球形状の丘があります。風がこの丘に当たるとその背後に渦が
発生し、独特なヘアピン形状になって強風を起こします。その渦は両端で竜巻に変換して
流れて行きますが、峠の周辺ではこれが2~3分に一回の割合で起きていたはずだと彼は
指摘しています。テント自体はハリケーンにも耐えうる丈夫な構造で、後に現地調査に来
た捜索隊はほぼ原形を保ったテントを発見しています。
ディアトロフ峠の渦流
ボールの後方に発生する不規則な渦
ヘアピン渦 実際はもっと長いスパンで発生する
隊員たちがパニックを起こしたのは、ヘアピン渦による轟音と風速45mに増幅された
強風、およびそれらによって発生した低周波だと言われています。低周波騒音は人間の耳
には聞こえませんが、体に悪い影響がある事が知られています。騒音のレベルもジェット
機が離発着する直下にいるのと同程度と分析されており、隊員のストレスが極限に達した
ことで突発的に起きた何かのハプニングをきっかけに全員がテントから風下へ逃げ出し、
凍死または崖から転落して死亡したと考えられます。テントは中から刃物で切り裂かれて
おり、おそらくそれが隊員の精神状態の深刻さを示すものと思われます。
また、隊員が逃走した方向から二つの竜巻が通過する進路を視認していた可能性があり
ます。これは竜巻の起こす静電気の放電によって真夜中でも見えたのではないかと考えら
れ、それを撮影したと思われる写真も残っています。
これらを検証するためには、似たような環境を再現してみるか現地で精密な機材で測定
してみれば調査可能でしょう。現在でもディアトロフ峠は当時の形状のままあるそうなの
で、問題は予算や方法の部分ではないかと思います。また今日では衛星写真も発達してい
ますので、現地を定点観測することにより渦の発生を画像で捉えることができるかも知れ
ません。
その丘は原住民の間では「死の山」といわれており、恐らく太古からこの現象は続いて
いて生物の生息が乏しいことから口伝されていたと考えられます。
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さて、私がこの一連の話で気になったのが低周波騒音が人体に及ぼす影響に関してです。
これらは都市に住んでいる私たちにとっても無縁ではなく、低周波は様々な所で発生して
いると言われています。自動車、送風機、電線に当たる強風等、いくらでも発生元があっ
て健康や精神を害した人も多いと言います。
私の住んでいるアパートの横にも道路があり、比較的多くの車が通ります。また通りを
挟んだ向かい側に某工場があり、ファンの音がひときわ激しく聞こえる日があります。
どうやら、これらによって睡眠を妨害されているらしいことが分かってきました。
20年以上前から耳栓を使って就寝しているのですが、今年になって耳にカサブタがで
きるようになり、ついには膿が出るようになったので使用を中止しなければなりませんで
した。おそらくウレタンの表面をコーティングしている物質によるアレルギーと考えられ
たので、シリコン製の耳栓に換えて試しているのですが、遮音性がそれほど良くありませ
ん。ないよりましなので現在はそれを使っていますが、この耳栓は工場のファンの音を全
く防いでくれないのです。
勿論、低周波というのは耳に聞こえず一部の人間には体感によって感じられるものだそ
うですが、どうもこの工場からの低周波が私にとって良くないらしいと分かってきました。
ここに引っ越してきた10年前から、加齢のせいで眠りが薄くなったのか夜中や早朝に何度
か目を覚ますと思っていたのですが、これが低周波が原因である可能性も出てきた訳です。
工場の稼働は早朝から昼まで続き、半夜勤である私の睡眠時間と重なります。元々私は、
睡眠に多少の障害があるのですが、ここの所頻繁に眠れない状態が続き、早く引っ越した
方が良いのではないかと考えるようになりました。
その前に工場の担当者と住民間で話し合いをすべきかも知れませんが、それは大事にな
ってしまう可能性があるので、今の所選択肢にはありません。