北海道十勝の深掘り アイヌ民族サケ漁訴訟で原告
全国の読者の皆様に、「北海道十勝ってどんなところ?」の疑問に深掘りしてお伝えしてまいります。
国際法、憲法も根拠に
アイヌ民族サケ漁訴訟で原告
アイヌ民族には地元の川でサケ漁を行う先住権があるのに、不当に漁を禁止されているとして、十勝管内浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会が国と道に対し、サケ漁を行う権利の確認を求めた行政訴訟の第6回口頭弁論が18日、札幌地裁(中野琢郎裁判長)であった。原告側はサケを捕獲する権利が認められる法的根拠として、従来主張していた慣習法に加え、国際法や憲法を挙げた。
弁論で原告側は、少数民族の文化享有権を定めた国際人権規約の規定などについて、国内法に優先する効力があると主張。「サケの捕獲を禁じる水産資源保護法などの規定は、国際法に抵触し無効だ」と訴えた。さらに、サケはアイヌ民族にとって特別な存在であり、捕獲権は憲法が定める信教の自由(20条)や幸福追求権(13条)によっても裏付けられるとした。
国と道は、現行法の解釈上、先住権は「およそ導き出せない」としている。
訴状によると、浦幌町の浦幌十勝川流域のアイヌ民族は江戸時代、集団ごとに独占的にサケ漁をし、河口周辺の漁業権は、子孫でつくる原告が引き継いだとしている。 (角田悠馬)
北海道新聞 2021/11/19 朝刊