“人的資本経営”という聞きなれない言葉がある。人的資本経営とは、「人材をコストではなく資本と見なして、人材の価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる」ことだ。
先日、このことが脚注のように地元新聞に載っていた。記事を書いた方は、私と同じロケット基地で有名な十勝の大樹町生まれで、同じ高校の13年後輩にあたる西田政之氏である。彼はカインズ執行役員兼最高人事責任者で、数々の会社顧問や理事に就任している。
彼の人的資本経営には、三つのポイントがある。一つは経営戦略と人事戦略の連動、二つ目は企業理念の明確化、三つ目が最高人事責任者の活用である。これは、私がブログに書いた「経営理念」に似ていたので、参考までに載せよう。
『 経営理念とは、企業活動の原点となる基本的な考え方のことである。
多くの人が企業に属していれば、経営に対する考え方や企業に求めるものも様々である。多くの人が自分自身の物差しで物事を判断していては、目標となる基準がバラバラになり企業活動もバラバラになってしまう。
しかし、経営理念があれば、考え方が様々でも同じ基準で物事を判断することができ会社の統一にもつながる。そして、会社は何のために存在するのかなどの存在意義を社外に発信することができ、社会的信頼からブランドイメージを作ることにも繋がる。
ところで、地元新聞によれば今年の4~5月の十勝の住宅着工戸数は57戸で、対前年同期比で約3割の減少となっている。その要因を日銀帯広事務所長は、木材価格の高騰による需要鈍化などをあげていた。
確かに、住宅建設業者に聞くと、戦争などで木材が品不足でロシア材を中心に5割以上値上がりしているそうだ。ただ、H会社はこの不景気にあって自宅のとなりに住宅を建築中であるが、建築依頼が殺到しているという。その理由は、次のような経営理念に示されているだろう。
- 全従業員の物心両面の幸せを実現
- 協力企業様の繁栄を実現
- お客様とご家庭に幸せを
- 地域社会に貢献
私の経験から思うのであるが、組織は人で成り立っているので、企業の良し悪しは人財で決まると思っている。各人のベクトルが同じ方向に向かっていなければ、同業他社に打ち勝っていけないだろう。
企業におけるベクトルの要素はいろいろあるが、上記の経営理念に見られるように、①従業員を大切にすることが最も大切だろう。』
「十勝の活性化を考える会」会員
注)人的資本経営