13:00~16:30(要予約)
場所
東京都議会議事堂1階「都民ホール」入口の都政ギャラリー内の特設相談ブース
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0570-016ー100
受付時間10時~17時
新しく建て替えられた「オーベルグランディオ萩中」へは、京急空港線「糀谷駅」から商店街を歩いて約5分。商店街入り口には「祝完成」の横断幕が掲げられていて、この建て替えが近隣からも支持と祝福を受けての事業だったのだと、あらためて感じさせられる。新しく建て替えられた「オーベルグランディオ萩中」へは、京急空港線「糀谷駅」から商店街を歩いて約5分。商店街入り口には「祝完成」の横断幕が掲げられていて、この建て替えが近隣からも支持と祝福を受けての事業だったのだと、あらためて感じさせられる。
生まれ変わった高層建物の外観からは、建て替えに至るまでの関係者達の苦労や努力は微塵も感じられないが、その道程にはかなり険しいものがあったことが容易に想像される。近隣や地権者達との対話の10年がやっと実った同マンションの建て替えまでの経過を追ってみた。
萩中住宅は昭和43年に東京都住宅供給公社が分譲した団地型マンションで、35年の利用権分譲方式。20年経過した時点で公社から所有権移転を受けたのを機に、管理組合を設立し自主管理体制をスタートさせた。
建て替えについては、第2次大規模修繕工事(築後約25年)を契機として検討を始めたが、すでに地価は下落変動していた。
建て替えをデベロッパー等に丸投げするか、自分たちの参加型とするかの議論もしたが、建て替えは管理の一環と考えていたし、自主管理の延長でもあったので皆で進めることにした。
いきなり建て替え(計画)では反発する人もいるので、まず、管理組合の組織の中に「再開発検討委員会」を設置(平成5年)して検討を開始した。
建て替えのことは管理の状況が分からないと出来ないので、委員会の中に管理組合の理事が加わった。
計画の推進にあたっては、優良建築物及び21世紀都市居住の補助金助成取得に加えて、総合設計制度を利用することにして容積率緩和を認めてもらった。
このため、制度利用を承諾してもらうための近隣との折衝には時間をかけた。約半年かかったが特に反対はなかった。
平成6年に建て替え準備委員会設立。同9年に事業推進コンサル選定。10年に第一次、12年に第二次建て替え計画案を発表して建て替え推進決議採択。13年に事業協力者2社を選定。15年8月に建て替え決議(92%の賛成)。9月にマンション建て替え円滑化法に基づき建て替え組合の設立を都知事に申請。改正区分所有法による団地内建物一括建て替えの初の申請となった。
16年2月権利変換計画認可を受けて解体工事着工。18年3月再建建物竣工、入居となった。
新築にあたっては100年マンションを目指した。
権利変換計画では、地権者優先で住戸の位置決めを行った。
再入居希望が305戸、転出が63戸だった。資金調達については、銀行が貸したがっていたので苦労しなかった。
3月入居に伴い、新しく管理組合を設立し、明年3月頃に建て替え組合を解散する予定で、現在は両組織併存の形となっている。
新しくなったマンションには、コミュニティルーム(2室)、パーティールーム、集会室、カラオケができるプライベートラウンジなどの他、中庭に位置する駐車場棟の屋上には野外ステージのある大広場もある。
建替え前 | 建替え後 | |
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棟数 | 8棟 | 4棟(共用棟、駐車場含む) |
規模 | 地上5階 | A棟:地上18階 BCD棟:地上17階 地下1階 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 一部鉄筋コンクリート造 |
建築面積 | 3,692.04m2 | 7,202.02m2 |
建ぺい率 | 23.2% | 45.14% |
延床面積 | 18,510.87m2 | 48,801.38m2 |
容積率 | 116.2% | 239.84%(基準200%) (総合設計制度により240.11%に緩和) |
住戸数 | 368戸 | 534戸 |
住戸面積 | 44.40m2,47.95m2 | 44.82m2~88.38m2 |
駐車台数 | 118台 | 271台 |
公開空地 面積 | - | 4,270.46m2(実面積) 6,222.29m2 |
その他 | - | 一団地認定、総合設計制度 |
<アメニティ新聞285号 2006年6月掲載>
3月31日、建替中の国領住宅がついに着工した。建替決議成立が昨年の7月初めだから、約9ヶ月間かかった。
仮住居を出て一日も早く新マンションへ入居したい住民が、この日を待ち望んでいたことはいうまでもない。若干の遅れが懸念され始めたのは、2月の後半からだった。
この数ヶ月間、早期着工実現のため、住民は当初予定よりも一月早い1月末退去完了へ向けて奔走していた。引越のピークは1月で、ゴミステーションからあふれた廃棄物の山が印象的だった。
144戸中約30数戸は、権利の変換を希望せず金銭の給付を申し出た。内約10名は団地内居住者だったが、殆んど昨年末までに引越を完了させ、早期着工へ協力した。
約60戸には賃借人が居住していた。居座りを目論む人が現れなかったばかりか、所有者よりも早めに転出を済ませている人が多かった。
団地内居住の所有者は約60名。例外を除けば、団地から徒歩15分以内に仮住居を見つけることが出来た。都営住宅への入居者も全員団地から3キロ以内、内半数は隣接する都営住宅だった。
2月第3週には植栽、外構の解体着手、翌々週に内装解体も始まり、次は躯体解体着手だった。
建築基準法八六条一項(一団地)認定2月13日、建築確認同17日を経ているので、新築なら着工できるところだが、建替えの場合はそうはいかない。着工に先立つ躯体解体には権利変換計画の知事認可が必要である。
これに予想外に時間がかかっている。昨年12月の権利変換計画決議が成立した当時は、2月初めには知事認可が得られそうだと期待した。28日の工事安全祈願祭も認可を待つ中で行なわれともいえよう。心待ちにしていた連絡を東京都から受け、認可を知ったのは3月13日。
4日後の17日に変換日を迎え、躯体解体が可能になる。施行マンション(現マンション)がその日おいて、施工者である建替組合に帰属するからである。もちろん前日までに重機が搬入され、躯体解体に着手した。
認可までの進捗について、後日建替組合が組合員へ説明している。
昨年7月の建替え決議の非賛成者9名中3名に対しは、10月に売渡を請求している。その時点で区分所有権と敷地利用権は、建替え参加者へ移っている。
その内2名の旧所有住戸に抵当権が設定されており、設定者が権利変換計画に同意を拒み続けた。この状況下での認可の前例が無く、東京都も慎重に対処されたとのことであった。
将来、 他の建替えで、見合意者と抵当権設定者のタイアップなども考えられ、今後、それに備えるべき施策を国に期待したい。
<アメニティ新聞284号 2006年5月掲載>