今月の工事事例は、ジュネシオン柏の大規模修繕工事です。工事発注の経緯と実際の工事の様子を、施工会社から報告していただきました。
ジュネシオン柏(RC造、5階建て52戸、昭和52年築)は、都心から約40分と交通アクセスの至便な位置にあり、国道16号線にも面して交通量は比較的多い所ですが、付近の緑がそれをカバーし、住環境には恵まれた立地です。
工事受注までの経緯
今回のお話はまさに一本の電話を受けたことから始まりました。後に聞いたお話ですが、大規模修繕工事を計画するにあたり、理事会の皆さんが実に30社の業者をノミネートし参加業者を募ったとのことでした。
当社も参加応募し、10社の見積り参加業者に選ばれました。コンサルタントは特に依頼せず、組合のみなさんで工事をやり遂げようという意気込みが伝わってきました。まず第一回目の見積りを提出し上位5社のヒアリングに残ることが出来ました。
いよいよヒアリングとなった際、決め手は何かと社内で検討し、組合さんからの希望で一部ゴンドラ使用の箇所を総足場に変更を提案することにして臨みました。駐車場の移動が必要となったため、事前に付近の駐車場を確保しておきました。もちろん金額面でも割安になったことは言うまでもありません。
そうして3社に絞られ、それが2社となり、とうとう最後には工事後の保証とBSテレビが映りにくいとのことの改修工事対応で、組合さんの評価を受け、約6ヶ月に亘った受注活動の支持を得ることが出来ました。
その後も理事会との打ち合わせを10回以上も重ね着工に至りました。
主な工事内容と建物の状況
- 下地補修工事
建物本体であるコンクリートやモルタル面にひび割れや鉄筋が見える爆裂といった現象が確認され、不具合の進行防止と補修としてエポキシ樹脂の注入や特殊モルタルによる建物の再成形を施工しました。
今回2回目の工事でコンクリートの状況が把握しにくかったために施工前の調査は細部に至るまで綿密に実施。また、着工前より管理組合様よりご指摘のあったバルコニー側にある鉄製手摺の根元の腐食によるコンクリートの破壊部分には再発防止も含めて特に入念に施工。
- シーリング工事
シーリング部分についても、劣化を確認し新規打ち替えとしました。網戸や面格子の取り外しもお住いの方のご協力でスムーズに品質の高い施工ができました。
- 外壁塗装工事
幹線道路に面しているため、排気ガスによりすすけて汚れていました。資産価値の向上のために、汚染防止を考え旧塗膜との相性の試験を実施した上で、超低汚染型の塗料にて施工。また、既存の白色系の色調をがらりと変更。
- 鉄部塗装工事
塗装の剥離や色あせた感じになる劣化現象や腐食による穴あきや欠損を確認。特に下地調整に気を遣い品質管理を徹底し、建物の長期維持に貢献できる仕上がりとしました。
- 防水工事
屋上屋根とルーフバルコニーは工事範囲外でしたが、開放廊下やバルコニーに漏水があり、ウレタンの塗膜防水を施工。漏水は日常生活に最も影響を与える事故であると考え、現状下地の水溜まりの補修や防水層の厚さの保持等に気を配り施工。開放廊下側は日常の通行を考えて超速硬化型ウレタン塗膜防水で施工。
- その他工事
エレベーターの扉のシート材による模様替えやエントランスの集合郵便受けの改修を実施。
管理組合・居住者の皆様の建物をより良くしようとする熱意が伝わり、約3ヶ月の工事期間中大きな問題もなく非常に品質の高い工事であったと思います。
最後に理事長さんから「外壁など見違えるようになりうれしく思っています。この地区のランドマークの役割も果たしているようです」とのコメントを頂き施工業者として大変光栄に思っております。
(文責・(株)東京建物テクノビルド)
<アメニティ新聞247号 2003年4月掲載>