マンション・メンテblog

集合住宅管理新聞「アメニティ」のブログです。工事業者募集やセミナーの案内などを随時掲載していきます。

「専有部配管取替工事」積立金の計画が必要

2018-06-25 15:14:03 | マンションQ&A
 
 経年35年目のマンションで、3年後に排水管の取り替えを計画しています。共用排水管(立て管)は住戸内のパイプスペースに配管されているため、パイプスペース周囲の内装壁(専有部)を解体復旧する事が必要になります。その費用は共用排水管取替工事の一環として修繕積立金からの支出となりますが、共用排水管に接続されている専有排水管との接続部はどこまでが共用部扱いで取り替えるのでしょうか?
 又、共用部と一緒に専有部排水管も同時に取り替えた方がコストメリットはあると思いますが、専有部排水管の取り替えはどのように進めたら良いのでしょうか?


 共用排水管は、大半のマンションは住戸内のパイプスペースに配管されています。このためパイプスペース周囲の専有部である内壁の解体及び配管取替後の復旧が必要になります。この工事は共用排水管取替に伴い発生する工事なので修繕積立金からの支出となります。
 お問い合わせの専有排水管と共用排水管の接続部については、一般的に共用排水管に設けられている分岐継手(専有排水管との接続するための接続金物)及びそこから数十センチの専有排水管(分岐継手取替に伴い取り替えが必要なため)の取り替えまでを共用排水管取替工事の一環として行っています。よって、パイプスペース周囲の壁だけではなく専有排水管との接続のためにパイプスペース周囲数十センチの床(場合により天井も)の解体・復旧も必要になります。
 又、専有部排水管の取り替えは、共用排水管と同時に行った方がコスト的にも工期的にも有利ですが、その費用が用意されているかが課題です。管理規約を改定し修繕積立金から支出して専有部排水管を取り替える事は可能ですが、修繕積立金の余剰が充分ある事が必要です。専有部排水管取り替えは内装の床の解体・復旧を行うため、内装床材の解体・復旧が必要な専有給湯管や専有給水管・専有ガス管などの取り替えも同時に行う事が望まれます。それらを同時に行うと戸当たり100万円以上の費用が必要になります。
 修繕積立金から支出しての工事は難しいため、専有部の配管取替は専有者負担で、希望者のみが行う共用排水管取替工事のオプション工事扱いにする場合も見られます。この場合は、取替工事を希望しなかった住戸の配管は、この先漏水や排水不良の危険性がつきまといます。出来れば全戸一斉に専有部配管も取り替えたいものです。それには、修繕積立金とは別に専有部配管取替の費用が必要である事を区分所有者にアピールすると共に、共用部の修繕積立金とは別に、いずれ必要になる専有部配管取替工事の専有部工事積立金を管理組合主導で計画する事が望まれます。

回答者
NPO日住協協力技術者 
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2018年4月号掲載)

マンション管理基礎セミナー

2018-06-22 15:50:01 | セミナー
開催日時
平成30年7月28日(土) 13時30分~16時30分(受付13時~)
開催場所
浦和コミュニティセンター 
第14集会室

内容
1、大規模修繕工事の塗料選びのポイント ~劣化状況と実績から~
 講師:エスケー化研(株)東京支店 主任 小田川亮人 氏

2、防水層の長寿命化改修とライフサイクルコスト
  講師:田島ルーフィング(株) 防水営業部 北関東営業所 係長 福原巧 氏

3、賛助会員紹介コーナー:(株)セラフ榎本 社長 榎本修 氏/江口佳那 氏
  「アイパットスピード見積システムで専有部分の水回りやその他のリフォームを」

参加費
資料代500円
(ただし、会員は無料)
申込
Email又は電話による申込み
申込先
NPO埼玉マンション管理支援センター事務局
電話:048-711-5264
e-mail
jimukyoku@saikancenter.org
主催
NPO埼玉マンション管理支援センター
後援
埼玉県、さいたま市、埼玉県マンション居住支援ネットワーク

みどりのちょっと良い話

2018-06-22 14:28:47 | 団地・マンションの植栽
芝生の効用
 春の訪れとともに、日に日に芝生の緑が眩しくなってきました。30年から40年前に建設された郊外の団地は住棟の間隔が広く配置され、住戸の南側には芝生の空間が広がり、ベランダから見おろす青々とした芝生は憧れの景色でもありました。青々とした芝生は目を楽しませてくれるだけでなく、ストレスの軽減やリラックス効果など様々な効用を持っています。今回は、芝生の効用についてお話してみたいと思います。
気温上昇の抑制 
 夏の暑い時期、芝生の空間はアスファルトやコンクリートの空間に比べて、気温が10度以上も低いと言われています。芝生は直射日光に照らされていても、アスファルトやコンクリートのように地表面が熱くなることはなく、また地中や芝生に蓄えられた水分が蒸発することによって、気温の上昇が抑えられて過ごしやすい環境を提供してくれます。
雨水の浸透効果 
 都市化が進み、舗装された空間が増えたことにより、短時間に大量に降った雨が道路などに溢れ出して通行への支障や浸水などの被害が発生しています。芝生地は雨を地中に浸透させるとともに、地表に溜まった雨水は芝生の葉や根を伝って地中に徐々に浸み込み、雨水が溢れることを防いでくれます。また、浸みこんだ雨水は地中に蓄えられ、気温上昇の抑制や芝生が生育するのに必要な水分として活用されます。
ストレスなどの軽減 
 近年、幼稚園の園庭や小学校の校庭を芝生にする取組みが増えています。園庭や校庭を芝生にすることで子供の健康や運動能力、情緒などに効果があるという調査結果が数多く発表されています。例えば、硬い地面が芝生になることで屋外に出る機会が増え、身体を使った活動的な遊びが増えたり、芝生の上に座ったり、寝転がったりというくつろぎ的な利用も増えることで、子供たちの運動能力の向上やストレスを発散する効果をもたらし、怒りや睡眠障害などの軽減にも繋がっているそうです。
ここで紹介した以外にも生きものの生息空間としての役割や土ぼこりの飛散防止、騒音の吸収など様々な効用を持っています。これから夏に向かって芝生が生長し、芝刈りや除草などのお手入れも増えてきますが、芝生の様々な効用や役割を思い出しながら、お手入れを楽しんではいかがでしょうか?


様々な効用を持つ芝生の空間


(株式会社グラック 西山秀俊)
【集合住宅管理新聞「アメニティ」第428号(平成30年5月5日発行)掲載】

第14回 「NPO日住協マンション管理大学」開講

2018-06-21 16:31:45 | セミナー
受講日
平成30年7月22日、7月29日、8月5日、8月19日
(いずれも日曜日)
会場
東京都中央区京橋1-6-1 三井住友海上テプコビル6F
㈱住宅あんしん保証会議室
受講料
通し受講(全4日間)15,000円
1日受講(各日)5,000円

詳細
NPO日住協ホームページ
http://www.mansion-kanrikumiai.or.jp/honbu/5509.html

マンション建物Q&A 大規模修繕工事3回目は安いのか?

2018-06-15 14:11:44 | マンションQ&A
大規模修繕工事、1回目より2回目・3回目の方が安いのか?

 最近、大手の新聞にも記事が掲載されていましたが、国土交通省による「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」結果が発表されました。一部の不適切コンサルタントによる割高な工事費つり上げ問題を未然に防ぐため、適正な工事費かを検討する目安として、大規模修繕工事費の944事例のアンケート結果を公表されたものです。
 それによると第1回目大規模修繕工事費が平均100万円/戸、第2回目が平均97・9万円/戸、3回目以降が平均80・9万円/戸と、回数を重ねるほど戸当たり工事費が低額になっています。
 昨年、当方のマンションで第2回目の大規模修繕を行いましたが、第1回目の大規模修繕工事より第2回目の大規模修繕工事費が3割以上高額でした。12年前の建設物価が3割以上安かったとは思えません。割高な工事費で工事をされたのでしょうか?


 不適切コンサルタント問題とは、格安なコンサルタント料金で受託し、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるよう不適切な工作をし、その結果高額な工事費で管理組合に経済的な損失を与える一部のコンサルタントがいる問題です。
 お問い合わせの件ですが、大規模修繕の工事費は、一般的に1回目より2回目が、2回目より3回目が工事費は高額になります。それは1回目の大規模修繕ではコンクリート躯体の修繕や外壁・鉄部の塗装の塗替え、床防水の修繕、シーリングの取替等の”基本修繕”のみですが、2回目や3回目になると、その”基本修繕”の他に各種金物の取替や建具の補修・取替などが増え、更に設備の修繕等も加わることもあるからです。
 国土交通省による「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の各回の大規模修繕費は、このアンケートを実施した年度の直近3年間(2014年~2016年)に行われた大規模修繕の工事費のデータです。すなわちその間に行われた第1回目の大規模修繕工事費は2004年前後に建てられたマンション、第2回目の大規模修繕工事費は1989年前後に建てられたマンション、第3回目以降の大規模修繕工事費は1975年以前のマンションの大規模修繕工事費に当たります。 2004年前後のマンションと1989年前後、1975年以前のマンションの違いは住戸の専有面積だと思われます。当実態調査には住戸の専有面積のデータがないので定かではありませんが、2000年頃のマンションは専有面積が70㎡台が主流であると共に、80㎡超えのシェアも高くピーク時と言われています。一方それ以前のマンションは専有面積は徐々に狭くなり、1975年以前は60㎡前後の団地型が主流でした。専有面積の大小は外壁等の修繕部位の面積の大小に連動します。同じ戸数のマンションでも修繕部位の面積が小さいと戸当たりの工事費は低額になります。よって1回目の大規模修繕工事が2回目より、2回目が3回目より高額なデータとなっている要因の一つだと考えられます。
 国土交通省が不適切コンサルタントによる被害防止のための参考としてこの様なデータの公開は大歓迎ですが、データの誤解に注意が必要です。
 又、この調査には大規模修繕工事におけるコンサルタントの設計・監理等の業務量データも報告され、不適切コンサルタントの常道な手口である著しく低い設計・監理料を見抜こうとの事ですが、業務量だけでは判断出来ません。業務量は同じでも業務単価が安ければ設計・監理料は低く出来るからです。更にこのデータには不適切コンサルタントからのアンケートデータも含まれているであろう事も考慮が必要です。

回答者
NPO日住協協力技術者 
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2018年6月号掲載)