「サニーヒル今宿住宅」は横浜駅より十数分の相鉄線鶴ヶ峰駅を最寄り駅とする公団(現・都市再生機構)分譲の団地型住宅である。周辺に自然公園、親水公園、動・植物園などの施設が取り巻く自然豊かな環境に立地している。
建物は3階建階段室型住棟が10棟、2~3階建テラスハウス型住棟が30棟合計40棟の住棟と管理棟・給水棟等の付属施設で構成されている。テラスハウスは1棟を2住戸で構成されているものもあり、棟数の割に総住戸数236戸と比較的少ない。
今回の工事は第2回目(築23年目)の大規模修繕工事で、工期は平成17年9月1日~平成18年3月31日までで現在工事続行中である。
修繕内容は、理事会の諮問機関である施設管理委員会が設計事務所と共に練り上げ、建物の総合的グレードアップをコンセプトに以下の工事を実施することとした。
(1)第1回目の大規模修繕工事で実施した基本修繕工事
-コンクリート躯体改修、シーリング改修、外壁塗装、鉄部塗装、バルコニー床防水等-
塗装は配色を現代にふさわしく若者にも受け入れられる配色で塗り替えた。また、階段室型住棟では階段室の入口を高級感のあるデザインに刷新した。【図-1】
(2)第1回目には実施しなかった新たな修繕工事
-屋上やルーフテラス・階段室の防水改修、金物(集合郵便受・室名札・物干金物・換気口等)の取替、共用灯の取替、外構工作物の取替・修繕等-
屋上防水は既存断熱防水の上にカバー工法で塩ビシート断熱防水を施し断熱層を二重にする事により、断熱性能の向上を図った。【図-2】金物類や共用灯はモダーンなデザインのものに取り替えた。
(3)緊急性のある修繕工事
-突風による飛散事故のあったテラスタイプ住棟の屋根(コロニアル)の葺替工事【写真-1】-
屋根の葺き替えも断熱材を従前の約倍の厚さにし、さらに屋根葺材の下に通気層を設け断熱性能を向上させた。【図-3】
(4)今まで住み続けての要改善工事
-外壁の汚れ防止措置、階段に手摺設置等-
バルコニーや庇見付などに雨筋汚れが目立っていたため、塗装を低汚染型塗料を使うと共に汚れやすい箇所を濃色で塗装し、外観デザイン上のアクセントとした。また、既設の階段の手摺りは、高さが不適切だったり、不連続だったりし高齢者・身障者には役に立たなかったで新たに連続手摺を新設した。
(有)八生設計事務所 設計監理担当者
<アメニティ新聞281号 2006年2月掲載>