建物概要と立地状況
シャルム第2朝霞は、東武東上線朝霞駅より徒歩20分に位置する、SRC造・11階建1棟(214戸)、昭和57年入居の民間分譲マンションである。
周辺は都心のベッドタウンとして、現在もマンション建設が続いている。特に当マンションの周辺地域は、建築基準法上の用途地域が「準工業地域」に指定されている通り、周辺には中小の工場が数多く操業しているが、一方では工場跡地に中高層マンションの建設が今後とも続くものと予想される地域である。今回の工事期間中にも、当マンションの東側市道隣接地に、9階建150戸・外壁総タイル貼の民間分譲マンションが建設、分譲開始された。この様に周辺に新築マンションが建設され、既存マンションの経年変化が目立ったため、今回の工事では、建物の定期修繕と共に敷地内全体の施設改善を含めた居住環境の向上をはかることを基本計画段階から策定した。
なお、今までの計画修繕は、平成5年実施の第1回目大規模修繕工事と、平成12年実施の屋上防水全面改修工事である。
管理組合の活動
管理組合では、平成14年3月臨時総会後に修繕委員会を設立し、コンサルタント業務委託の設計事務所の選定に入り、5月に設計事務所を決定した。設計事務所と共に5回に及ぶ居住者アンケート調査(施設改善希望内容、自転車保有台数調査等)の実施と、長期修繕計画の見直し検討を行い工事予算を策定。平成14年9月定期総会工事決定、平成15年臨時総会で基本修繕項目の承認と施設改善工事実施の決定をした。
施工会社の選定
平成15年4月アメニティ紙等3紙の募集要領を掲載して公募し、応募全社(23社)に見積依頼、見積合わせによる工事金額の確定と応募資料による施工会社の査定を同時に行い、ヒアリングによる選考を行って工事金額と施工会社の最終選定を行った。
工期と主な工事内容
工事期間は平成15年8月20日~16年3月31日。
主な工事内容は基本修繕項目として躯体補修・外壁等塗装・鉄部等塗装・バルコニー防水・屋外階段改修工事とし、屋上防水は平成12年実施のため工事範囲から削除した。特に外壁塗装色については、カラーシュミレーションによる色彩の検討を重ねて、既存の白色系外壁色から落ち着いた茶系色に替えて高級感を持たせた。
また、3本ある屋外鉄骨階段に関しては、全体的に腐食劣化が進行していたため高質の防錆処理と全面塗装改修及び既存塩ビシートとアルミノンスリップ金物を撤去しての階段専用防滑シート貼替をして改修とグレードアップをはかった。
各所フェンスもネットフェンス等を全面撤去してグレードアップした。
施設改善項目としては、
- 駐輪場改修及び増設工事は、既存駐輪場8棟(標準収容/自転車214台・バイク67台)の塗装改修と鋼製屋根材をポリカーボネイト屋根板に更新及び新設駐輪場4棟(標準収容/自転車66台分)増設とした。
- プレイロット改修工事は、シーソー・スベリ台等の遊具の更新、特にスベリ台は幼児を児童用の標準タイプに更新して使用対象範囲を広めた。また、雑草の生えやすい通路と経年劣化が進行していた土間コンクリートを全面インターロッキング敷込みに更新して、環境改善をはかった。プレイロットは市道に面した場所にあるので、改修工事によりカラフルかつ明るい空間となった。
- エントランス改修工事は、ステンレス磨きサッシと強化ガラス(一部オートドア)により風除室を新設してグレードアップすると共に、ホール内部床と外部アプローチ床タイルを防滑性かつグレードの高いタイルに貼り替え、アプローチにアルミ製(ステンカラー)屋根材ポリカーボネイト板の通路屋根を新設した。また、ホール内部にある集合ポストは設置スペースがやや狭く薄暗い雰囲気があり改善希望が多かったので、集合ポストの配置スペースを大幅に拡大してオープンスペースとして開放的な空間に改善した。
- 各戸玄関改修工事は、既存の鋼製扉が経年劣化と高層のための風圧による歪みが発生していたので、防音断熱型防火戸を採用してカバー工法による更新をした。同時にピッキング防止対策として対応錠2カ所設置とした。
工事を終わって
今回の工事は、大規模修繕工事と共に施設改善工事に大きなウエイトをおいた工事であったが、当初の居住環境の向上・施設のグレードアップの構想は全う出来たものと思っている。工事の無事完了は、理事会及び居住者の理解と協力によるものであり、特に修繕委員会の熱心な活動によるものであった。
<アメニティ新聞261号 2004年6月掲載>