マンション・メンテblog

集合住宅管理新聞「アメニティ」のブログです。工事業者募集やセミナーの案内などを随時掲載していきます。

法律Q&A 上階からの水漏れを理由にその期間の管理費等の支払拒否をするAさん

2021-07-21 15:08:40 | マンションQ&A
 
 Aさんが住む居室の天井から水漏れがありました。管理組合で原因を調査したところ、上階のBさんの浴室の老朽化が原因とわかりました。そこでBさんは速やかに応急工事を行い、水漏れは止まりました。しかしAさんは、水漏れが始まってから収まるまでの間の管理費と修繕積立金の支払いを拒絶しており、Bさんが負担すべきだと主張しています。応急工事で水漏れが収まったあとに発生した管理費等は、Aさんは毎月支払っていますし、特にお金に困っていることはないようです。管理組合として、どう対応すればよいでしょうか?

 
 管理費等の負担は、区分所有者の最低限の義務といわれています(東京地裁平成19年11月14日判決/判例タイムズ1288号286頁)。この費用がなければ、マンションや団地を維持管理していくことができないからです。区分所有法19条は、区分所有者が、共用部分の負担を負わなければならないことを定め、標準管理規約(単棟型)25条は、区分所有者が管理費等を管理組合に納入しなければならないと定めています。

 このように、管理費等は極めて重要な管理組合の財源ですから、たとえある区分所有者が、管理組合に対して債権を持っていたとしても、これと管理費等の負担を相殺して、その支払いを拒むことはできないとされています(東京高裁平成9年10月15日判決/判例時報1643号150頁)。

 本件では、そもそもAさんは、管理組合に対して債権を有していません。水漏れの原因は、Bさんの専有部分である浴室の老朽化ですので、水漏れにより受けた損害は、Bさんに賠償して貰うのが筋であり、管理組合は何ら責任を負いません。つまり、仮に管理組合に対して債権を有している場合ですら、管理費等との負担と相殺することは認められていないのですから、いわんや、管理組合に対して債権を有していないAさんは、水漏れを原因として、管理費等の支払いを拒むことはできません。

 私は、ちょうど昨年の7月号の当欄で、管理費等の滞納問題は、そもそも、管理組合と組合員の内部的な問題で、本来的には敵対関係にはないはずであるから、督促をする際も、一定程度、組合員の実情を踏まえた上で対応していくのが望ましい、と個人的な見解を書きました。滞納者の経済状況の悪化が滞納の原因である場合は、滞納解決策を、管理組合と滞納者で協議していくことが重要であるとも書きました。

 では、本件ではどうでしょうか。Aさんの主張は、全く法的な根拠のない、単なる言いがかりに過ぎません。しかも管理費等が支払えないほどの経済状況の悪化もうかがえません。であれば、管理組合としては、区分所有者の最低限の義務を果たしてもらうべく、毅然とした態度で臨むべきです。具体的には、Aさんとの協議にあまり時間をかけず、早々に管理費等請求の訴訟を提起すべきです。裁判で和解するとしても、分割払や遅延損害金の免除など、滞納者が支払いしやすくなるために管理組合側が度々行う譲歩は、本件では必要ないと思います。

回答者:NPO日住協法律相談会 専門相談員
弁護士・内藤 太郎
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年7月号掲載)

集合住宅管理新聞「アメニティ」は、1982年創刊、39年間の歴史を持つマンション管理とメンテナンスの専門情報紙です。1都3県などの分譲マンションを中心に10万部発行。見本紙ご希望の方は、ホームページからお申し込み出来ます。
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理事会を設置せず、区分所有者全員参加型の管理受託サービス、smooth-e(スムージー)を提供開始 長谷工グループ

2021-07-20 15:17:25 | マンション管理
 長谷工グループ(代表企業・㈱長谷工コーポレーション)は、分譲マンション管理組合向けの受託サービスsmooth-e(スムージー)(特許出願中・商標登録申請中)の初期開発が完了し、2021年8月よりサービス提供を開始。
 smooth-eは、「第三者管理者方式」を採用し、区分所有法上の管理者は、長谷工グループで分譲マンション管理事業を行っている㈱長谷工コミュニティが担う。
 これにより理事会は非設置とするが、第三者管理者方式においても区分所有者にマンション管理への関心を持ってもらうため区分所有者全員がアプリ上で議論し意思決定を行うことができるツールを採用。
https://www.haseko.co.jp/hc/


マンション・バリューアップ・アワード(MVA)2021」

2021-07-16 16:40:36 | イベント
住み心地や建物・設備 等マンションにおけるバリューアップを図った事例や提案を大募集! 

一般社団法人マンション管理業協会は、マンションの住み心地(居住価値)や建物資産の維持・管理等、マンションのバリューアップに関する提案や実施事例を広く募集し、発信・共有する「マンション・バリューアップ・アワード」を実施。
応募期間 2021年8月2日(月)~2021年10月31日(日)
グランプリは賞金30万円




「マンション情報BOX」HPで公開

2021-07-09 11:07:38 | マンション管理
住宅金融支援機構/マンションすまい・る債積立管理組合向け情報誌「マンション情報BOX」
掲載内容は、「マンション情報BOX」の最新発行号及び過去の特集記事。

「マンション情報BOX」
2021年春夏号主な内容


【特集「新しい生活様式」下での管理組合運営~管理組合における新型コロナウイルスへの対応について~】

【特集1】
管理組合運営と今後の展望~コロナ禍での経験を今後に活かす~
マンション総合コンサルティング株式会社 代表取締役 廣田 信子
(マンションコミュニティ研究会代表)

【特集2】
マンション管理組合の感染症対策を支援~「マンションにおける新型コロナウイルス感染症対策マニュアル<ひな型>」を作成
公益財団法人まちみらい千代田

【特集3】
ITを活用した総会の実施ガイドラインについて~「新たな総会のスタイル」の実現に向けて~
一般社団法人マンション管理業協会 次長 鈴木 隆嗣

【国・地方公共団体の取組紹介】
【住宅金融支援機構からのお知らせ】
【マンション管理に関する情報コーナー】

HPで公開
https://www.jhf.go.jp/loan/kanri/smile/joho/johobox.html






三菱地所、水害経験のある管理組合のノウハウ提供

2021-07-08 10:48:02 | 防災
 三菱地所レジデンス(株)と三菱地所コミュニティ(株)、水害経験のあるマンション管理組合の活動のノウハウを提供、分譲マンションにおける水害対策をソフト面から強化すると発表した。オリジナルの防災ツール「そなえるカルタ」に「マンション管理組合運営版」を追加。ホームページ上に一般公開した。
https://www.mecsumai.com/bousai/