三郷早稲田第一住宅は住宅公団が建設して、1980年(昭和55)8月に入居が始まって今年で満24年になる公団型住宅です。
第二回目大規模修繕工事の準備委員会が立ち上がったのが今から四年前の夏、当時の理事長古田さんから発案され、4年後実施を目標として検討を開始することになりました。発足時のメンバーは10人で理事会の任期満了になった関係者を毎年加えて実施時期には15人体制にすることも古田さんの構想でした。
第一回目の委員会を2001年の新年早々に開催して2004年9月1日を着工日と仮定した大まかな準備方針と、設計委託、施工監理委託を(株)スペース・ユニオンとすることも内定し理事会に答申しました。内定の理由は前回の大規模修繕でお世話になりその後1年目、3年目、5年目の点検があって、さらに工事完了後にまとめた長期修繕計画の策定、その他小修繕などさまざまな相談をお願いしていたこともあって我々の建物を充分に理解して貰っている事が大きな理由でした。
スペース・ユニオンに対しては向こう4年間の委託料の見積もりを年度毎に区切って提出してもらいました。各年度の委託内容は、初年度が全戸アンケート調査と建物診断、ガス水道配管の診断。次の年度が長期修繕計画案の見直し。3年目が大規模修繕工事設計図書の作成と入札業者選択方法及び入札の補助。
4年目は施工業者決定の補助と施工監理及び竣工後の長期修繕計画の再見直しです。
2002年に長期修繕計画の素案がABCの3案として提示されました、この3案は工事の実施時の修繕費積立予定額とそれぞれの案を秤に掛けての議論になりました、3つの案は概略次の内容です。
- A案:外壁修理と塗装、鉄部塗装、ベランダの目隠しパネルのみ交換
- B案:外壁修理と塗装、高齢者対応型SUS手摺、ベランダ鉄製手摺のアルミ化
- C案:外壁修理と塗装、高齢者対応型SUS化とアルミ化を12年後に実施
A案については4年~5年毎の鉄部塗装が残りその都度3千万~4千万円の費用が見込まれ、将来必ず修繕費積立金の値上げを要することがシュミレーションではっきりしています。
B案は工事竣工時修繕積立金残高がゼロになる可能性があると予想されました。
C案は積立金の残高を多少残して将来的にも理想と思えていました。
委員会では3案について議論と検討の中で鉄部を交換するのは勿体無いとの意見もあり塗装をすれば20~30年は使用できると言う意見もありました。
C案について12年後の工事の時には多数の人が高齢になっていることを考えると将来積立金の値上げは勿論ですが交換工事を含めた大きな工事を実施する体力が有るだろうかと言うようなことに話が向いて行きました。
そして結論は将来に残す宿題を極力減らそうと言うことに決まってB案に内定し理事会に答申しました。
理事会の承認を得て2003年にB案での設計業務を委託し内容が煮詰まってきました。
台風による設計変更も
しかし、2002年10月に大きな台風21号が襲来して、強い南風によってメゾネット棟の屋根のアスファルト材が飛散する被害が発生したのと他にも急を要する改善工事があって、多額の費用を出費したためメゾネット棟だけはC案で設計せざるを得ませんでした。
設計内容については提示された内容についてどうしても譲れない部分が2点あって設計変更を申し入れました。
それは玄関ドアをシート張り仕上げにすること、階段とベランダの床を塩ビシートで仕上げる方法です。これらは防災の観点から災害時火災による有毒ガスの発生が懸念される事です。
これらの変更を設計図書に反映することが入札までに間に合わず、入札後の仕様変更で対応することにしました。
結局ドアは従来の塗装仕上げとし、階段とベランダは防水モルタル、トップコート仕上げで実施することになました。この工法は6年前までの施工方法だそうです難点は乾燥して歩行可能になるまでに6時間以上必要だということです。施工事例を調査するため方々のマンションや団地に見学をお願いして協力をしていただきました。
設計事務所も我々の意見を取り入れて内容の変更にも対応していただきました。今年5月の総会で準備委員会が実行委員会になって、工事は進行しており竣工は2005年1月末の予定です。
三郷早稲田第一住宅管理組合
大規模修繕実行委員会
委員長 藤井経義
<アメニティ新聞268号 2005年1月掲載>