Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

山椒魚のいる森

2012-05-31 | 

 

山が柔らかいうす緑に染まり、梅雨の走りの雨が降り始める5月下旬から6月上旬は、森がもっとも美しく輝く季節だ。

昨年はお遍路で、この季節を外したが一昨年は、しっとり潤いを湛えた好い風景と出会えた。

さて、どうしたものか今年は雨が少ないようだ。

少し下り坂の空模様を期待して、久しぶりにMother tree の森を訪ねてみた。

 

 

森の長老たちは、樹冠に瑞々しい若葉を茂らせ今年も意気軒昂な様子(笑)

この地球上で最も長い命の時間を重ねる生物種の前では、とても謙虚な気持ちになれる。

あの数年前の春の重い雪で、大きな枝を何本か折り壊滅的なダメージを負ったシラサ峠の大ブナも、しぶとく生き延びているようだ。

ずいぶん樹形が歪になり以前のような樹形の美しさは無くなってしまったが、またこの長老ともお付き合い願おう。

 

 

馴染みの森のなかで、山椒魚と出会った。

薄暗い森の渓流では、すばやく動く生き物を上手くカメラに捕らえることが叶わなかった。

まずは、その証拠写真。

 

 

石鎚山に生息する山椒魚は、オオダイガハラサンショウウオだと記憶していた。

ところが四国に生息するものは別の固有種としてイシヅチサンショウウオという名称がついたようだ。

体長は10cmから20cmくらいと小型のサンショウウオの仲間では比較的大きい。

水中では体色の紫や青味がいっそう鮮やかになるようだ。

そのこちらを伺うような水面から覗く愛嬌のある眼が印象的。

 

山椒魚関連で検索していると面河山岳博物館のHPでソウシチョウの記事を発見。

 この鳥は以前から面河山付近で何度も目撃していた。

初めて見たときは、その美しさに吃驚。渡り鳥の迷鳥かと思いを巡らせた。

よくよく記憶の糸を手繰ってみると(その昔、熱心なバードウォチャーでした)

飼われていたソウシチョウが筑波山で大繁殖しているという情報を思い出した。

確か瓶ヶ森で会った鳥ヤさんも、香川県内の山で繁殖しているという話を聞いた。

これから、生態系にどういう影響を及ぼすか判らないが、

あまり人を恐れないので身近で観察できる美し鳥です。(サイズは雀くらい)

 

さてしばらくは森へ通おう。

一雨ごとに森は青さを増し、生命を育んでゆく。

 

  


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4 コメント

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森の声 (misa)
2012-05-31 22:07:07
私も先日ブナに心癒やされて来ました
どこまでも続く緑一色の世界
緑色に染まってしまうのではとさえ思うほど
画像送ります、捉え方は随分違いますが・・・・
返信する
イースター島の最後の木 (ランスケ)
2012-06-01 00:52:58
misaさん大川嶺のブナ林の画像ありがとうございます。
やっぱりmisaさんらしい独自な視点ですね。
今度まとめて皆さんに公開します。お待ちください。

さて、このまま原発0で夏を乗り切るかと安心していると、どしてもそれを許さないようです。
私は、この何十年ぶりかの寒い冬を原発一基で乗り切ったのだから問題ないと考えています。
命にかかわる病院には優先的に電気を供給すれば良いのです。
それ以外は皆、我慢してもらいます。
私は、いくら暑くてもエアコンなしで平気なので問題ありません。
本当に必要な所だけに供給して、それ以外は我慢すれば済むことだと思います。
間違っていますか?

最近読んだ本の中で、とても印象に残った話があるので紹介します。

モアイ像で有名なイースター島は、1722年オランダ人に発見された時は樹一本生えない不毛の地でした。
でも元々、この地は緑豊かで豊穣な動植物に恵まれた場所だったことが判りました。

この太平洋の孤島に人類の辿る縮図があります。
まず自明の理ですが、「地上の唯一の生産者は植物だ」ということを思い出してください。
すべての動物は、植物が長い年月をかけて整えてくれた環境で、植物群に寄生してやっと生きている存在にすぎない。

私たちは、この事実を忘れている。
そして傲慢にも、この地球の資源を消費し尽そうとしています。

さてイースター島の島民たちも目先の欲望しか考えませんでした。
その狭い島で生息する動植物を喰い尽くし、そして最後の樹まで切り倒してしまったのです。
彼らにも、それがどういう結果を招くか充分に判っていたはずです。
でも人類という種は、未来の結果が予測されても目の前の欲望を優先するようです。

その後、イースター島で何が起こったか?
極限の飢餓から人類が生き延びるにはカンニバルしかありません。

そして人類が農耕を始めて一万年。
(つまり余剰を獲得できて)
それ以前には、まったく行われなかった。
それは農耕に適した安定した気候が得られなかったということらしい。
温暖化にしろ寒冷化にしろ、再び地球は急激な気候変動へと自らを追い込んでいるようです。

イースター島の最後の木は、目前の私たちの辿る選択肢への強烈な教訓です。
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Unknown (百姓モドキ)
2012-06-30 23:24:16
この写真にあるような美しい豊穣な自然も滅びはあっという間になくなり、緑は砂漠になるでしょう。

むかし、モヘンジョダロの衰退・滅亡は生活に必要なレンガを製造するために周辺の木々を切ったためだという話を聞きました。サハラなんかも、緑溢れた大地であったことなんかも、人間の文明は如何に脆いかということでもあるでしょう。

昔は木々の伐採。現代は人間の所為による環境破壊と地球の息吹、ひょっとしたら、宇宙の偶然か?あるいは必然の動き。

生物が生き残れる自然は一人一人が思いを込めなければ残りません。
返信する
最高の贅沢 (ランスケ)
2012-07-01 13:50:30
百姓モドキさん、怒涛の書き込みに面喰っています(笑)

70億まで膨れ上がった人類を養い切れるほど地球の資源は無限大ではありません。
その上、果てしない欲望を煽り続けことで成り立つというおぞましい経済システムの上に私たちは暮らしています。

3・11、日本列島を襲った巨大な自然の猛威は、そんな私たちへの明らかな警告でした。
あの震災から誰もが、この暮らしが、とても脆弱な基盤の上に成り立っていることを目撃してしまったのです。
もう後戻りは出来ませんよね。

百姓モドキさん、私はあなたの自立的な生き方が心底羨ましい。
安全な食材を自給できる暮らしは、今の世界では最高の贅沢です。
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