Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

瓶ヶ森で午睡

2014-06-01 | 自転車

 

自転車で行ける四国最高所は、瓶ヶ森だろう。

もちろん登山道ではなく公道を走って辿り着ける場所として。

ここに辿り着くには三つの難所を越えなければならない。

まず標高985mの黒森峠。

そして標高1492mの土小屋へ至る石鎚スカイライン。

さらに土小屋から標高差300mくらい瓶ヶ森林道を上がり瓶ヶ森登山口まで。

 

瓶ヶ森で、のんびり午睡しながら本を読むためには、、

テン泊荷物と食料、カメラ機材合わせて20kg超の荷重を担いで、この三つの難所を越えなければならない。

前回の石鎚スカイライン越えで20kg超の荷物を担いでの、

1000mを超える二つの山越えは、身体への負荷がサドルを跨ぐ内股に集中し無理だと判断した。

瓶ヶ森へは、荷物を自転車に振り分けて積載出来るツーリング・バイクを入手してからと。

そして、それはロング・ツーリングに旅立つための

身体づくりと予行演習。

 

そのように算段していたのに…

堪え性のない私は、連日の晴天と毎週ごと山越えで積み上げてきた身体が、

「行くぞ~」と催促する。

そしてちょうど赤坂真理の話題の新刊「愛と暴力の戦後とその後」を入手した。

この本を、瓶ヶ森の涼しい木陰で、のんびり読み耽りたい。

なんとか荷物を20kgに抑えた。

さぁ、行くぞ~。

 

 

黒森峠は、少しペースを抑え気味に軽く流した(笑)

そのくらい余裕があったし、体調もすこぶる良かった。

峠を下り、面河旧役場の在った渋草を横目に、ゆるい上りがスカイライン入口まで続く。

夏の到来を思わせる暑い一日だった。

石鎚ヒルクライムの起点である面河ふるさと市場でドリンク休憩。

スカイライン入路が14時を少し回っていた。

日没は19時。

まだまだ気持ちに余裕があった。

ところが再び本格的な山道になって、予想外にペースが上がらない。

何度か自転車を止め、ドリンク休憩しながら辛抱強くペダルを漕ぎ続けた。

自転車乗りは、自転車の押し歩きを極端に嫌う。

ペダルを漕ぎ続けることが自転車乗りのプライドなのだろう。

私も知らず知らず感化を受けていたようだ。

いくら立ち止まって休憩してもペダルを漕ぎ続けるのだと。

ところが石鎚スカイラインは、山道を息を切らせて上った後、

行程半ばの金山谷まで一気に下る。

これが張りつめていた気持ちを挫いてしまう。

1000mまで下り、さらに500mを登り返すのは辛い。

ペダルを漕ぐ足が上がらない。

土小屋手前の長い直線の上り坂で力尽きた。

ついに禁を破って、この間押し歩き(汗)

土小屋到着、17時前。

 

押し歩きでも好いから瓶ヶ森まで行こうか?と迷った。

岩黒山の湧水をペットボトルに汲み、

とにかく行けるところまで。

17時を廻ると山の気温は、ぐっと下がる。

伊吹山を前にして、あの展望の地での久しぶりのテン泊を決めた。

自転車を、そのまま林道に置き去りにするのも、

なんだか共にここまで来た戦友を見捨てるようで心残り(笑)

担いで一緒に伊吹山山頂まで。

テントを設営して、やっと落ち着いた。

汗臭いウェアを着替え、食事の用意。

生温い麦酒を喉に流し込ながら、

ひたすら食べた。

まるで成長期の中学生に戻ったかのように、貪るような食欲だった。

サンドイッチ、カップうどんに茹空豆にフライドチキンそれに稲荷寿司…

これほど旺盛な食欲は何十年ぶりだろう?

食べて飲んだら、コテンと寝た。

夕闇にまぎれるホトトギススと闇にくぐもる梟の声が遠く近くに聴こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、早朝の瓶ヶ森林道を走行中、トレールランの青年Tさんと出会う。

西の川から入山して土小屋から瓶ヶ森の間を林道を走り、起点の西の川まで戻るらしい。

子持権現からの上り坂で、情けないことにトレラン青年に抜かれてしまう(汗)

瓶ヶ森登山口で食事休憩中の青年Tさんと長話に。

彼も自転車をやっていたようで、

沢山のアドヴァイスを頂いた。

Tさんの凄いところはOne day で堂ヶ森から石鎚山系を辿り、さらに赤石を越えて赤星山まで。

これを一日で走り抜くというから恐ろしい計画だ。

成功を祈っていますよ。

 

瓶ヶ森にもテン場まで自転車を押して行った(笑)

今日は見晴しの好い第一キャンプ場へ。

残念ながら第二キャンプ場は、昨年から管理人さんが代わってテン場の水が止まってしまった。

小野さんの頃から通って来たテン場だが、水の出ないテン場では仕様が無い(哀)

テントを設営して近くの沢で麦酒を冷やしておく。

その後は、木陰に寝転がって、赤坂真理の本を読み耽る。

ぐいぐい読ませてくれる。

近頃読んだ本では、「上野千鶴子の選憲論」と水野和夫の「資本主義の終焉と歴史の危機」

と共に今の不可解な時代を読み解く刺激的な内容だった。

ゆるゆると微睡む午睡の時間…

夏の到来を告げるカッコウの声が、いつまでも青く高い空に木霊していた。

 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
梅雨前 (misa)
2014-06-02 00:19:52
そろそろミツバツツジのころだなと思ってました。行動力に脱帽ですね。仕事にかこつけて出不精になり東稜コースも気になりながら踏み出せない・・・ツツジ咲く瓶から雲海に浮かぶ石鎚が憧れでした。
返信する
目標達成 (ランスケ)
2014-06-02 08:10:20
おはようございます。

瓶ヶ森のツルギミツバツツジは今週末くらいが良さそうです。
例年になく蕾が沢山ついていたように思えます。
雨上がり、晴れると雲海も期待出来ますよね。

自転車で行く山は、とりあえず瓶ヶ森を終えて目標を達成しました。
後は、夏の長期自転車ツーリングに向けて体力維持と下準備です。

帰路、自転車でお遍路をしている人と出会い、自転車旅における
色んなアドヴァイスをもらいました。

さぁ、今年の夏は、久しぶりにわくわくします(笑)
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動き (鬼城)
2014-06-02 09:21:40
 最近とみに動きの落ちてきた(自覚)鬼城です。ついに瓶ヶ森、踏破成し遂げましたね。文章力でしょうか、自然と股の筋肉に力が入りました。
居ても立っても居られなく、出発した気持ちはまだまだ若い!四国山地縦走まで可能にしそうな馬力です。
 前々から気になっていた、押し歩きはするのだろうか?の疑問、今回やっと得心がいきました。サイクリストのプライドもあるんですね。私は即、押し歩き(涙)
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いよいよ梅雨入り? (ランスケ)
2014-06-02 12:22:42
鬼城さん、天赦園の花菖蒲が綺麗に咲き揃いましたね。
今週の天気予報を見ると雨マークがずらりと並びます。
6月、いよいよ梅雨入り間近でしょうか?

自転車の押し歩き…
私はスポーツとしてではなく移動の手段として自転車を利用しているので、
サイクリストのように拘る必要はないのですが?
歩くことも自転車を押して歩くことも、
自分自身の身体能力で山を越えることには変わりないのですから…

でも、妙な自尊心が捨てられないようです(苦笑)

石鎚方面の行き帰り、色んな人と出会います。
自転車は何処でも立ち止まりお話が出来るので、
毎回のように人との出会いがあります(笑)
このところ出会うお遍路さんは、東北から訪れる人が多いような気がします。

私も、出来ることなら今夏は、再び東北方面へ。
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二科展愛媛支部展示会 (鬼城)
2014-06-09 09:11:32
 昨日まで発表会があり、友人のすすめも有り鑑賞のため訪れました。山を撮られる方の作品もありましたが・・・
 構図の勉強になりました。しかし被写体は自分自身の物だと改めて気づきました。会員の方達の写真は何千枚からの一枚でしょう。
 新緑の山が恋しいですね。
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深緑の森へ (ランスケ)
2014-06-09 12:20:03
二科の作品展に行かれましたか。

鬼城さん相変わらずの、そのフツトワークの軽さには驚かされます。

確か福島さんは二科の写真部門の会員だと記憶しています。
二科クラスになると作品の完成度は高いでしょうね。
仰るように、何を撮るかは全く個人の感性以外の何物でもありません。

山は新緑の季節を終え、深緑のハルゼミの鳴く季節に移り変わりましたよ(笑)
笹倉の森へ日曜日は行って来ました。
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