Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

東北 on the road / 新潟~村上~鶴岡

2014-08-06 | 自転車

 

旅に出て16日目で東北に辿り着いた。

ふりかえれば長い道のりだった。

今日、新潟、山形の県境を越えて、もう旅が終わったような気分になってしまう。

唯、ひたむきに東北を目指した暑い夏の日々だったから。

 

 

新潟出発が、いつもより一時間以上遅れた。

東北を目前として、前日、少し頑張り過ぎたようだ。

新潟~鶴岡間は、一日で自転車が走る距離としては十分可能な距離だ。

でも今日は、日本海夕日ラインと名付けられた羽州浜街道で夕陽を眺めたかった。

寝不足で調子も上がらないので、村上市郊外の眺めの好い浜辺でテントを張った。

そう決断させたのは、村上市郊外のコンビニ店頭に、

「この先、コンビニありません」の看板だった。

まったく、その通りで30km以上に亘って自販機しかなかった。

その日の夕陽は、空が曇りがちで期待薄だった。

しかし雲間から黄金の光が、海面を照らし輝く光の道を示してくれた。

 

翌日から天候は下り坂。

東北到着と共に、しばらく雨模様の日々が続きそうだ。

とにかく今日は鶴岡まで。

途中の漁師町でトイレ休憩していると、

「何処から来たの?」と尋ねられた。

県境を越えたら、いきなり聞いた東北訛りに嬉しくなる。

漁師のおじさんお奨めのクラゲの水族館、加茂水族館に、

さっそく寄り道することにした。

ここは予想を超えて素晴らしかった。

夏休みの子供たちにも大人気だった。

 

海から峠を越えると庄内平野の青い稲草の海が広がっていた。

真正面に雲のかかった月山の大きな山裾が。

なんだか少し胸の鼓動が高まったようだ。

ついに来たんだ。

鶴岡は朝日連峰縦走以来の二度目の来訪。

あの時は、山へ入るための慌ただしい通過点だった。

今日は、ゆっくり藤沢周平の綴った美しい海坂藩の記憶を辿ってみよう。

駅前の観光案内所に立ち寄ったのは正解だった。

見事に藤沢周平の文学世界を辿るパンフレットが充実していた。

親切な観光案内の女性のお勧めルートに従い出発。

特に画像を沢山掲載した旧風間家別邸、丙申堂には強く惹かれた。

夏の昼下がり、蝉しぐれの中で、時が止まってしまいそうだ。

庄内神社境内にある藤沢周平記念館は、

ちょうど「風の果て」の世界を企画展として展示してあった。

藤沢作品の中でも好きな作品なので嬉しい時間を過ごせた。

記念館を出て宿へ向かう途中で声をかけられた。

千葉から御夫婦で訪れられている成瀬さん御夫妻とは話が弾んだ。

御主人がサイクリストで同好の士だったからね。

(成瀬さん、羽黒山山門での伝言、受取ました。嬉しかったです)

 

さぁ、明日からしばらく雨模様。

どうしたものか?思案中。

 

8/4 走行距離、73.06km。

8/5 走行距離、82.22km。

 


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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいたび (三浦)
2014-08-06 07:30:01
いい旅を続けていられるようですね。
四国でも雨が毎日降っています。
雨の日は美術館とか博物館とかを回ってみてはいかがですか。
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蝉しぐれ (ループ)
2014-08-06 23:59:03
ランスケさんこんばんは!
いつもハラハラしながら拝見しています(^^)
先日テレビで蝉しぐれが放映されていたので久々に読み直し海坂藩に思いを馳せていた所です。いつかは山に絡めて訪れたいと思っています。
ランスケさんの旅はこれからが本番ですね。ますます楽しみにしています。
お身体、無理されず楽しい旅を続けてくださいね(^-^)/
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区切り (misa)
2014-08-07 00:39:18
「良い旅されてますね」と呟きながらコメントを見ると三浦さんも同様のお言葉にひとり苦笑い・・・・
公開ブログ超苦手にて毎回息を凝らして心の中で拍手~~~~
高知ではかなり被害が出まして、当分山には近づけないと仲間内で話しています
夕方ほんの少し覗いた青空が殊の外嬉しかった!
四国遍路では辛い雨との闘いの日が続きましたね
どうか無理をなさらぬよう心に刻む旅を続けられる事をお祈りしています
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いよいよですね(^-^) (しずく)
2014-08-07 08:38:00
東北の地に入られましたか・・・。

30年前、私の東北ツーリングは、東京を発ち信州の峠や林道を走り、日本海へ抜け、佐渡一周。
そして新潟から山形、蔵王と走り輪行で青森へ。八甲田・奥入瀬・十和田・八幡平・・・最終目的地は、高村光太郎の妻、智恵子の故郷、福島の二本松でした。
当時、「智恵子抄」を読んで、大きな感銘を受けており、光太郎の作品がある十和田湖の「乙女の像」と二本松で安達太良山(あたたらやま)を眺めることでした。

東京には空が無い・・・本当の空は阿多多羅山の上にある・・・と言った智恵子。(智恵子抄・「あどけない話」)

光太郎と二人で過ごした二本松で
あれが阿多多羅山
  あの光るのが阿武隈川(同・「樹下のふたり」)

そんな風景に出逢いたくて旅に出た日々・・・

藤沢周平の記事を読んで当時も今も変わらない私の中の智恵子への想いが湧き上がった次第です。
今は登山靴を履いて安達太良山に登ってみたいのです(*^。^*)

ランスケさんの目に映る風景に少しでも当時の記憶がよみがえれば嬉しいな・・・と思いつつ、旅記事を拝見しております。

二本松の「智恵子記念館」には智恵子の「紙絵」なる美しい作品が展示されています。近くを通過されるのであればお立ち寄りください。

長々と失礼しました。
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雨宿り (ランスケ)
2014-08-07 09:14:22
三浦さん、ループさん、Misaさん、しずくさん、ありがとうございます。

今は、鳥海山麓のキャンプサイトにいます。
ここは森の中の静かな環境だし公共の温泉が近くにあり
雨宿りには最高なのですが、PCや携帯が繋がりません。

管理棟のある場所まで移動して返信しています。
携帯からなので、皆さんには改めて。

明日は一日中雨、今日は曇りの予報なのに
断続的にどしゃ降りの雨が降り続いています。

出発するか否か思案中。
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藤沢周平 (鬼城)
2014-08-08 08:50:48
庄内地方と言えば、この名前が即浮かびます。それと釣り馬鹿日誌の番外編((^。^/)ウフッ)
半月近くで本州もほとんど・・・苦しい旅の様子と出会いがある旅の楽しさと満喫させてもらっています。
異常天候なのでゆっくり休みながら前進してください。
四国は明日は台風に見舞われます。
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東北も大雨 (ランスケ)
2014-08-08 21:03:26
結局、二日間、どっしゃぶりの雨にため足留めとなりました。
今日は一日雨の予報でしたが、
管理棟で見たアンメダスの画像が、庄内から秋田にかけて雨雲の通過がなかったで、
テントを片付けて北上しました。

粉糠雨の一日だったのが幸いでした。
この夏一番の快適な移動だったかも?
終始、小雨の降る続ける夏の雨は気持ちいい~」。
その分、風景に精彩が欠けましたが。

三浦さん、こういう雨宿りによる停滞は、地元の人との交流を促します。
また面白い人と知り合いました。
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北国は美形の産地? (ランスケ)
2014-08-08 21:19:49
ループさん、今年の四国の夏は、相次ぐ台風の影響で何時までも明けない梅雨みたいですね。

その余波が東北にも及んだみたい。
連日のバケツをひっくり返したみたいな凄い雨降りでした。

今夏のループさんの夏山縦走は何処へ?
なんとも不安定な天候の続く異常な夏です。
気を付けて入山してください。

ループさんも藤沢周平のファンでしたか。
こちらは、おふくさんのような色白の美形が多いよ(笑)
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旅の方向性 (ランスケ)
2014-08-08 21:55:46
misaさん、高知も連日の台風で気の重い夏だと思います。

旅を続けて来て身に着けたのは、苛酷で気の滅入るような状況でも、
それを前向きに捉え直すしか、決して前に進めないということです。
それはお遍路の旅でもそうでした。

自転車旅は、毎日、自分自身で目の前の状況を切り開いて行かければなりません。
まぁ、それが旅の醍醐味なのでしょうね(笑)

秋田県に入りました。
青森県が旅の中間点。
なんとなく旅の方向性が見え始めました。
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かけがえのない夏の記憶 (ランスケ)
2014-08-08 22:15:28
しずくさん、あなたの辿って来た自転車旅の軌跡は、正直、凄い。
30年前だと云うなら、尚更のことです。
あの頃の重いランドナーを駆って信州の峠道や東北の山々を巡った夏は、
一生の宝物ですね。

夏の自転車旅は苛酷だけど、
本当にそれは、かけがえのない濃密な旅の時間だと確信しています。
唯、漫然と日常を傍観する日々を振り返ると。

しずくさん、お奨めの智恵子記念館、訪ねてみます。
一日中雨降りの今日も、自転車旅の同士と出会い、手を振ってエールを交換しました。
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