Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

季節はずれの蛍

2013-08-16 | 家族

 

この夏、Kさんのお母様が亡くなられた。

Kさんのお母様と私の母は、女学校時代の同級生だった。

母たちが多感な年頃を過ごした時代は、ある意味不幸な時代だったかもしれない。

それでも母にとっては、間違いなく最も印象に残る輝かしい時間だったようだ。

 

亡き人を偲ぶ大切なお盆の季節に、

ご迷惑も顧みず、ホッホさんと共にKさん宅へ御焼香に押し掛けた。

御案内頂いた鬼城さん、重ねて申し訳ありませんでした。

 

 

酷暑の夏に、羨ましいような涼風吹き渡る里山風景と伏流水の湧く水辺の環境にKさん宅はある。

突然訪れた私たちを、あの温かい笑顔で迎えてくれたKさんと奥様ありがとうございます。

開け放たれた縁側の側の仏間にて御焼香。

そして木陰の池畔に置かれた床机に場所を移し、想い出話に花が咲く。

Kさんが、ふっと漏らした美しいお話がある。

 

お母様が亡くなられてたのは7月21日。

普段生活している宇和島の自宅から、お母様との想い出深い、こちらの生家に移り衷心の日々を過ごされいる。

その夜、一匹の蛍が池のあたりから湧き立つように現れ、

開け放たれた窓から、蚊帳を張った屋内に入ってきた。

ちょっと待って…

Kさんのお住まいの里山に棲息する蛍は、普通に考えて、ゲンジボタルかヘイケボタルだろう。

(陸棲のヒメボタルは、もっと標高の高い山に棲息する)

これらの人里近くに棲息する蛍の発生時期は、

ここ四国では、遅くとも6月いっぱいだ。

それが一ヶ月遅れの盛夏のこの時期に?

とても不思議な話だ。

そして、とても美しい亡き人との交流へと思いを馳せるお話。

私は、こういうお話が好きだ。

人を想う気持ちは、ある種の奇跡をその人だけが理解できるような形でもたらしてくれる。

私自身もお遍路の結願を前にして、それが訪れた。

それは、その人だけが判るような奇跡で充分なのだと思う。

ささやかで温かな幸福の時間だ。

 

ねっ、とてもお盆らしい美しいお話でしょう。

もう一つ今日、綾の照葉樹の森に眠る大事な人を巡る美しいお話を聞きました。

それは、また別の機会に…

 

 

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鬼城)
2013-08-17 11:23:24
楽しい、不思議なひとときでした。話が網の目のようにつながり、また別の話へ・・・この年になって、人と会話する楽しみを知りました。ほんとKyo-chanが思っておられるように里山、大切にしたいですね。お母さんもそれが望みなんでしょう。
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贅沢な時間 (ランスケ)
2013-08-17 19:28:03
鬼城さん、お世話になりました。

本当に想像していた以上に、kyoichさんが自らの力で創り上げようしている里山の環境は素晴らしかった。

あの縁側と窓を開け放した向こうに広がる田園風景と涼やかな池を囲む水辺の環境。
そして限りなく農薬を使わない野菜や米の自給生活。
今一番、贅沢な住環境が、ここにありました(溜息)

成川渓谷での、地元の食材をたっぷり使った食事も美味しかった。
そして尽きぬ話題の語らいの時間も。
あの夕立も情緒がありましたね。

その後、帰路に立ち寄った鬼城さん御推薦の城川かまぼこ板ギャラリーが、とんでもないワンダーランドでした。
学芸員さんたちを巻き込んだ語らいと盛り上がりは、鬼城さんがその場所にいなかったのが、とても残念でした。
そのくらい面白かった(笑)

ありがとうございました。
ホッホさん共々、思わぬ歓待と楽しい語らいの時間に時を忘れました。
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おっかさんという蛍 (ホッホ)
2013-08-17 19:28:24
kyoichさん、奥様、鬼城さんお邪魔しました。

里山の流れる風と緑、池の息遣い。
場所を移しての美味し食事に弾む会話。
バケツを引っくり返したような夕立、記憶に残る時の移ろいと優しい笑顔。

今回のランスケさんの写真と文章をなぞりながら・・・。

レミオロメン「蛍」を貼り付けました。
http://www.pideo.net/video/youku/20b18c90bc55f100/
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遠路はるばる奈良郷へ (百姓モドキ)
2013-08-17 22:37:46
うございました。思いもしないこととて、我々夫婦はもとより、カワセミも池の鯉も牛蛙も感激しておりました。
成川渓谷での思わぬ永い食事、あまりにも人の多さに気が抜けた感がしないでもありませんが、これも想い出を深める食材準備だったとお許しください。
スマホでコメントの打ち込みに苦戦しながら、出逢いの摩可不思議さをしみじみかみしめています。
ありがとうございました。
あらためて、帰宅した折りに
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縁(えにし) (ランスケ)
2013-08-17 23:33:47
ホッホさん、遠路お疲れ様でした。

先日、行ったりえさんの書道展の出品作品は「縁」でした。
淡い墨の濃淡を活かした、おおらかで大胆な山水の風景のような大作でした。
そして彼女のレクチャーに書の世界の自由奔放な宇宙を垣間見ました。
ねぇ、まるでフランシス・ベーコンのような書の作品があるなんて想像できる?
具象から抽象まで。
そしてショーヴェの洞窟壁画のような原初の息吹まである、気の遠くなるような世界です(溜息)

そう話が飛びました(笑)
りえさんの作品の「縁」のように私たちの不思議な関係性の広がりに思いを馳せます。
今日の人気記事に「諸法無我」が入っていましたね。
感度の好い読者には、ひたすら敬意を抱きます。

本当にお盆らしい…
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豊かな夏の一日 (ランスケ)
2013-08-17 23:58:56
百姓モドキさん、本当にお世話になりました。
本来は、亡き人を偲ぶ静かな時間を過ごす筈だったのに。
なんとも思慮に欠いた時期の訪問でした。

その上、コメントまで頂いて恐縮です。
てっきりインターネットから離れた環境なのでと見越して、好き勝手なことを書き連ねていました(汗)

繰り返しになりますが、
それぞれに独自の世界観を持たれている人のお話は面白い。
それを聞いているだけで時間の経つのを忘れさせてくれます。
百姓モドキさんも、鬼城さんも、ホッホさんも、それぞれに…
そう云えば百姓モドキさんの御案内で行った、城川かまぼこ板ギャラリーの学芸員さんのお話も面白かったですね(笑)

ホッホさん共々、贅沢な時間と空間を堪能した一日でした。
ありがとうございました。
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