昨日は、午前中の講演と午後からは松山で講座受講。一日ハードスケジュールでしたが、とても貴重な時間を過ごすことができました。
午前中の講演は、「NPOえひめ心のつばさ」森山先生のお話は、学校に行きたくても行けない子どもたちの心の声を代弁し、親や学校の対応のしかたを教えていただきました。
演題は「長期欠席の子どもたちのSOSにどう応えるのか」
(1)長期欠席に陥る段階を5段階に分けて、詳しく子どもの長期欠席に至る状況を教えていただきました。
★第1期・長期欠席の芽生えの時期。学校生活が疲れる。楽しくない。なんとなく元気がなくなっている。このころ、長期欠席の入り口に立っている。
★第2期・学校に行きたくないという本人の自覚が始まる時期。人より劣っているのではないかという自己否定。体にあらわれる。
★第3期・学校に行きたくない気持ちが高まる。みんな行って当たり前と思い、無理に登校を続ける。不機嫌。
★第4期・苦しみのあまり自死を考えるようになる。学校に行き続けたら死んでしまう。学校に行けないことを口にする。子ども自身が病気でもないので行かないことを苦しんでいる。長い間つらい気持ちをしまいこんできた。家族の理解と対応は非常に重要。「学校に行きたくない」と子どもが打ち明けたとき、「よく話してくれたね」と伝える。
◎「ある朝、突然子どもが学校に行けない」(第4期)と打ち明けたとき(口に出したとき)、対応として、登校を促すのはもう遅い。
★第5期・心を閉ざす。対人恐怖。人間不信。自分自身を責め続ける。うつ、心身症へむかう。
(2)家庭・学校でできること
★学校や園から帰宅後の様子を注意して観察。元気がない。食欲がない。学校の話が出ない。このとき必要な対応は、学校を休ませて休息をとる。家庭生活の中で、SOSのサインを見逃さない。学校を休ませることは必要=怠けや甘えではなく、明日からまたがんばるための栄養。(心のケア)
★子どもの心に寄り添う時間をつくってあげる。心を重くさせているものを手伝ってあげて、心を軽くしてあげる。
★その子の好きなこと、好きな時間を過ごす。そしてその後でゆっくりと話を聴いてあげる。一緒に考えてほしい。ゆっくり話を聴いてあげるうちに元気になることも多い。
★元気になれないとき、いったい何がしんどいのか、つらいのか、(学校の先生とも連絡をとりあいながら)先生の言葉でしんどくなることもある。まわりの友だちとの違いやいじめなど抱えていることもある。共通の認識をもって子どもを支える必要がある。
★学校でがんばりすぎる子は、手を抜かない。完璧主義。まじめすぎる性格。本人にしんどいという自覚がない。学校と家庭でのギャップがないか。ニコニコ笑ってこなしてしまう子は要注意。ぐったりしている。倒れるまでがんばってしまう。全力で応えなければならないと思う子。重荷から開放してあげる。
★子どもへの声かけ・・・「最近元気がないよ、何かしんどいことがあるんだね」と聴いてみる。学校生活はいっぱいいっぱい。元気になったら、「元気になってよかったね」と声をかけてあげて。
★手を抜くこと、休憩すること、疲れたら休めばいいよ、とまわりの大人たちが教えてあげる。頑張ること、努力をしていくことを伝えることはあっても、「休んでいいんだよ」と伝えないと子どもは休めない。大人が具体的に教える。言葉より行動で。大人の姿を見せていく。
★★★真面目な子どものための「元気を守るポイント」★★★
①多少いい加減に手を抜くこと②疲れたら休めばいい③楽をしてもよい④あえて言わないだけで、みんな適度に休憩をとりながら生きていること
★日頃、ガンバレ、ガンバレのオンパレード。できないことはすべて努力が足りないと思ってしまう。常に緊張状態で過ごしている。大抵の場合、危険信号見過ごして、長期欠席へ。深い傷を負って心が擦り切れてしまう。
(3)大人は何をしてあげるべきなのか。
★とにかく家庭でゆっくり休ませてあげる=長期の心の休息
毎日毎日何年もしんどい状況を続けていたら、体にも様々な症状が出てくる。自分を責め続けている限り気持ちを休めることはできない。
★「学校の絶食」・・・学校のことを考えないこと。学校生活に関するものを見せない。触れさせない。学校にも、家庭訪問はしない。プリント類も持ってこない。子どもの見えないところで。学校のことを考えるだけでつらくなる。回復が遅れてしまう。
「いつか必ず元気になるまで待っているよ」という親の姿勢。
子どもは死ぬか生きるかの状態。生きている価値がないと思っている。
「いま、学校に行けなくてもいい。あなたのいのちのほうが大切。まずは学校のことは考えず、ゆっくり休もう」と言ってあげてほしい。
「こんな自分は誰からも愛されない」・・・そのままのあなたを愛しているよ。子どもの心のそばにいるよ、と伝えてあげる。
★心の傷を癒し、社会へ復帰させるには自信を取り戻すこと。人間関係づくりを学び直す。理解してもらえる場が必要。専門的ケアが受けられる場所が少なすぎる。心のリハビリも必要になる。
(4)どうやってケアをするのか。
★第1段階・・・両親や本人のカウンセリング(心身のケアを家庭で取り戻しながら)
★第2段階・・・人間不信が和らぎ、少し元気になる。このままではいけない、友だちがほしいと思う。本人が行ってみようかなと思える場所に行ってみる。友だちとの関わり、親の会。
★第3段階・・・通う日数も増えてくる。親と同行から、子ども一人で行ける。子どもと話し合って、勉強したり、キャンプなど。やり遂げる喜びを体験。表情や目つきが変わってくる。
★第4段階・・・学校復帰・社会復帰のため日常生活のトレーニング。集団生活への練習。親と子どもとの信頼関係ができてくる。(トラウマはある程度過去のものになってから話せるようになる)
★第5段階・・・自分ひとりで話しかける練習。リハビリ。復帰後の学校への対応・配慮伝える。
(5)超個性派の子どもたち
特別に優れた才能と、極端に苦手な部分をもつ子どもには、高いほうの能力を基準にしないこと。やる気の問題だと思ってしまう。できないところをそっとフォローする。甘えやわがままだと誤解されやすい。子どもが何に苦しんでいるのかを考える。豊かな個性を出して羽ばたけるよう導いていく。表情がなかった子どもたちが笑顔を取り戻し、自分らしさを取り戻していく。
(6)羽ばたく卒業生たち
挫折を知らず成長するよりも、人の心のわかる大人へ成長していってくれる。(本当にそうです!!)
以上~
そういえば、先日NHK の朝イチの番組を観たとき、尾木ママが言ってた一言・・・「推薦入学の選考のとき、あえて学校へ行っていない子を選んだわよ、」と。学校へ行かないことはむしろ強み。人と違うことをもっとアピールしていい。就職でも同じ。引け目に感じることなんて一つもない。むしろ、自分はこうやって生きてきた、人と違う人生を歩いてきた、と胸を張って堂々と進めばいい!!
その通りですね!!