2:1型粘土鉱物としてよく知られているのはモンモリロナイト(モンモリロン石)で、化学式は
[(Na, Ca1/2)0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-
先頭のカチオン(陽イオン)部分にある表記「Na, Ca1/2」は、ナトリウムNa(一価陽イオン)またはカルシウムCa1/2(二価陽イオンなので数としてはNaの場合の半分)のどちらかが入るという意味。モンモリロナイトの命名は、フランスのヴィエンヌ県にあるモンモリヨンに由来しており、そこは石灰岩地形であるため、Ca型のモンモリロナイトが産出される。それに対し、日本やアメリカに見出されるのはNa型のモンモリロナイト。ただし、CaやNaは他のアルカリ(カリウムKなど)と交換可能であるため、畑土壌においてはK型のモンモリロナイトが主体である可能性もある。
分かりやすくするために、以後はNa型のモンモリロナイトを用いて考える。
[Na0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-
前回考えた、1枚のアルミニウムシートを2枚のケイ酸シートが挟み込む構造からすれば、化学式は
Al2Si4O10(OH)2
となり、陽イオンを引き付けるためのマイナスの電荷が存在しない。しかし、6個中1個の比率(1.67:0.33=5:1)でアルミニウムAl(三価陽イオン)がマグネシウムMg(二価陽イオン)に入れ替わることで、0.33のマイナス電荷が発生し、それが0.33個のナトリウム、すなわち[Na0.33]0.33+を引き付けることになる。これが2:1型粘土鉱物が高いCEC(陽イオン交換容量)を持つ理由である。
さて、ここで一つの疑問が生じる。それは「なぜAl:Mg = 5:1なのか?」という点。
先日、地殻構成元素の比率表から、ケイ素Siの存在率が、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在率の2倍になる点を見出した。そのことから、マグネシウムMgの存在比も何らかの影響があるのではないかとの推測が立つ。そこで改めて表を精査してみる。今回はより正確を期するため、重量の割合(重量%)ではなく、各元素の原子量を考慮した原子数の割合(原子%)を算出し、更にケイ素Siを2.00とした場合の原子数比を求めてみる。
<地殻構成元素>
原子数比は、アルミニウムAlが0.61、鉄Feが0.18、マグネシウムMgが0.17である。3元素の合計は0.96となり、ケイ素Siのほぼ半分である。そして、3元素の数値比を四捨五入して整数で見積もれば、Al:Fe:Mg = 4:1:1となる。鉄FeはアルミニウムAlと同じく三価の陽イオンであるから、AlがFeに置換したとしても電荷的には変化がない。ゆえに、FeをAlに含めて考えてやれば、Al:Mg = 5:1となり、まさしくモンモリロナイトの化学式と同じ比率が現れる。
[(Na, Ca1/2)0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-
先頭のカチオン(陽イオン)部分にある表記「Na, Ca1/2」は、ナトリウムNa(一価陽イオン)またはカルシウムCa1/2(二価陽イオンなので数としてはNaの場合の半分)のどちらかが入るという意味。モンモリロナイトの命名は、フランスのヴィエンヌ県にあるモンモリヨンに由来しており、そこは石灰岩地形であるため、Ca型のモンモリロナイトが産出される。それに対し、日本やアメリカに見出されるのはNa型のモンモリロナイト。ただし、CaやNaは他のアルカリ(カリウムKなど)と交換可能であるため、畑土壌においてはK型のモンモリロナイトが主体である可能性もある。
分かりやすくするために、以後はNa型のモンモリロナイトを用いて考える。
[Na0.33]0.33+[(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2]0.33-
前回考えた、1枚のアルミニウムシートを2枚のケイ酸シートが挟み込む構造からすれば、化学式は
Al2Si4O10(OH)2
となり、陽イオンを引き付けるためのマイナスの電荷が存在しない。しかし、6個中1個の比率(1.67:0.33=5:1)でアルミニウムAl(三価陽イオン)がマグネシウムMg(二価陽イオン)に入れ替わることで、0.33のマイナス電荷が発生し、それが0.33個のナトリウム、すなわち[Na0.33]0.33+を引き付けることになる。これが2:1型粘土鉱物が高いCEC(陽イオン交換容量)を持つ理由である。
さて、ここで一つの疑問が生じる。それは「なぜAl:Mg = 5:1なのか?」という点。
先日、地殻構成元素の比率表から、ケイ素Siの存在率が、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在率の2倍になる点を見出した。そのことから、マグネシウムMgの存在比も何らかの影響があるのではないかとの推測が立つ。そこで改めて表を精査してみる。今回はより正確を期するため、重量の割合(重量%)ではなく、各元素の原子量を考慮した原子数の割合(原子%)を算出し、更にケイ素Siを2.00とした場合の原子数比を求めてみる。
<地殻構成元素>
原子数比は、アルミニウムAlが0.61、鉄Feが0.18、マグネシウムMgが0.17である。3元素の合計は0.96となり、ケイ素Siのほぼ半分である。そして、3元素の数値比を四捨五入して整数で見積もれば、Al:Fe:Mg = 4:1:1となる。鉄FeはアルミニウムAlと同じく三価の陽イオンであるから、AlがFeに置換したとしても電荷的には変化がない。ゆえに、FeをAlに含めて考えてやれば、Al:Mg = 5:1となり、まさしくモンモリロナイトの化学式と同じ比率が現れる。
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