とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

ススキ原の黒ボク土

2018年10月30日 | 日記
本日は、アルカリ性のひび割れ粘土(スメクタイト)と比較するため、黒ボク土に含まれる酸性粘土(アロフェン)を採取するべく、畑傍のススキ原に向かいました。


当農園の圃場周辺は水の湧く場所が多く、農業用水路にも湧き水が引かれています。ミネラル分が豊富なので、水路内の雑草はさながら水耕栽培のように活き活きしています。


ススキは湧水地近傍の地下水位の高い場所を好んで繁茂し、太陽光を完全に遮って、極めて水はけの悪い土壌を作ってしまいます。ススキ株元の土は、手に取るとじっとりです。


団粒化していますがボソボソの質感で、握っても崩れてしまいます。典型的な黒ボク土です。黒ボク土はアロフェンという粘土鉱物に腐植が結合しており、腐植の多さから真っ黒な色をしています。


自宅に持ち帰ってphを測定してみました。
水道水(ph6.60)に土を投入 → ph6.69

「黒ボク土は酸性土」という表現が呪文のように頭に染み付いていましたが、意外にも軽微な酸性でした。アロフェンの生成条件がph5.0~7.0ということなので、一応、条件内ではありますが、湧き水のphがかなり影響しているとも考えられます。

ススキ原が酸性の黒ボク土になり、草の生えない通路がアルカリ性のひび割れ粘土になるのは何故なのか。明日から、仮説を立てながら理論的に考えてみたいと思います。
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ひび割れ粘土質土壌

2018年10月29日 | 日記
ph測定器と一緒に取り寄せた土壌学の新刊。藤井一至氏著の「土 地球最後のナゾ」をph計測と並行して読んでいましたところ、107ページの図50が目に留まりました。ひび割れ粘土質土壌?どこかで見たような・・・


先日、こねてサイコロにした、農具置き場沿いの通路の土。改めて見てみると、図にあった程ではありませんが、確かに割れています。


さすがにこんな土が世界一肥沃と言われるチェルノーゼムと同じわけがない、などと思いつつも、新しい機械を手にするとついつい使ってみたくなるもので。早速サンプルを採取し、phを測定します。


水道水(ph6.57)に土を投入 → ph6.76
湧き水(ph7.25)に土を投入 → ph7.51
まさかのアルカリ性。

チェルノーゼムの粘土主成分はスメクタイト(モンモリロナイト)、保水力、養分保持力が最も優れている粘土鉱物ですが、スメクタイトが形成されるためにはph7.0以上が必要です。その条件を十分に満たしています。藤井氏の書籍を読み返してみると、ひび割れ粘土質土壌の主成分もスメクタイトで、日本では水田によく見られるとのこと。そういえば、子供の頃、学校帰りにひび割れた田んぼをよく目にした記憶があります。日本の水田が世界一肥沃な畑と同じ粘土成分を持つとは思いもよりませんでした。粘土についてますます興味が湧いてきました。
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土壌ph試験

2018年10月29日 | 日記
今秋作の途中から「畝間の表土(腐植+粘土)を全て畝にすき込む」という取り組みを始めたところ、見違えるほどに生育が安定してきました。そこで、現在の手法の妥当性を検証し今後の方向性を探るため、土壌pHを計測してみることにしました。

安価な機器なので測定精度はあまり高くないと思いますが、目安になれば今のところは十分です。


畑からサンプルの土を採取します。先ずは、前作が芳しくなく、耕し直して小麦を播く予定の畝から。

<サンプルA:畝上部のパサパサの土>
水道水(ph6.40)に土を投入 → ph6.18
水道水より強い酸性。ph6.0未満と推定。
※前作が失敗したのも当然な酸性土。野菜栽培にはph6.0以上が最低限必要。


<サンプルB:畝間表土のねっとり土塊、腐植入り、ミミズ付き>
水道水(ph6.40)に土を投入 → ph6.45
水道水より中性に近い。
湧き水(ph7.17)に土を投入 → ph6.56
水道水の結果と合わせると、サンプルBはph6.5付近と推定。
※この土がしっかり畝に入っていれば・・・。


<サンプルC:サンプルB直下にあるボソボソの土>
水道水(ph6.40)に土を投入 → ph6.33
水道水より酸性が強いがph6.0以上ではあると推定。
※いい粘土は表層に集積する模様


続いて、ナスがよく育った場所の畝間表土を探ります。
<既に枯れたナスの林>


ナスの畝間は柔らかい草がしっとりと生え、なにやら厳かな雰囲気です。


実に勿体ないですが、草をむしり、表土を剥ぎ取ります。


<サンプルD:ナス畝間の表土>
水道水(ph6.38)に土を投入 → ph6.49
湧き水(ph7.15)に土を投入 → ph6.78
双方の結果からph6.6付近と推定。
※ナス栽培には申し分ない土壌ph


これまで使って来なかった畝間の土がこれほどのお宝とは。もっと早くph測定をしていれば・・・。
しかし、今後の土質改善が楽しみになってきました。
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冬間近の秋晴れ

2018年10月28日 | 日記
霜降を過ぎ、10月も残りわずかとなりました。今朝の最低気温は2℃。氷点下の冬が間近に迫ります。
本日は雲一つ無い青空が広がり、大豆乾燥用に設置した簡易ハウスの中で豆がパチパチと弾けています。


9月下旬、キュウリ跡地に播いた日本ホウレン草が順調な生育を見せています。日本ホウレン草はマイナス8℃位までは枯れずに耐えるので、小松菜などアブラナ科の葉物がギブアップした後に収穫でき、厳冬期の貴重な葉物となります。


今年は玉ネギをジャガイモ跡地に植えてみました。昨年は大豆跡地でしたが、大豆刈り取り後となると植え付け時期が遅すぎるようで、昨年は活着する前に強烈な霜が降りて半分が死んでしまいました。ジャガイモ後作が可能であれば作付計画がかなり楽になります。今のところ良さそうな雰囲気ですが、霜が降り始めてみないと何とも言えません。
<左手:ニンニクと脇播きの西洋ホウレンソウ、右手:玉ネギ3条植え>
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粘土の性質

2018年10月24日 | 日記
畝を耕していると、今日も小石サイズの花崗岩がたくさん出てきました。脆い岩石なので、鋼の農具が当たるとパカッと割れて綺麗な断面が現れます。花崗岩の主成分は石英と長石。石英は二酸化ケイ素が結晶してできた鉱物で透明、長石はアルミノケイ酸塩を主成分とする鉱物でクリーム色。長石は地殻中に最も多く存在する鉱物で、ほとんどの岩石(火成岩、変成岩、堆積岩)に含まれます。特に花崗岩では60%前後を長石が占めています。この長石が風化作用を受けて水に溶け込んだ後、再結晶化すると粘土鉱物が現れます。


農具置き場入り口付近の頻繁に通行する場所は、踏み圧で窪地になっており、周囲の草地から流出した粘土が溜まっています。


雨が降るとドロドロになって長靴にへばり付きます。


少し乾き気味の時に、表層をスコップで剥ぎ取って


握ると団子になります。


よくこねると、自在に整形できます。


水が加わると塊になりますが、粘土の実態は、砂よりも微細な粒子です。


粘りがあるという性質が、すなわち、水分と養分の保持力があることを意味しており、粘土粒子は土壌団粒の構成物質として重要な役割を果たしています。
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