地殻における各種元素の存在量(質量パーセント濃度)を多い順に並べると
酸素O(46.60%)
ケイ素Si(27.72% )
アルミニウムAl(8.13% )
鉄Fe(5.00%)
カルシウムCa(3.63%)
ナトリウムNa(2.83%)
カリウムK(2.59%)
マグネシウムMg(2.09%)
チタンTi(0.44%)
水素H(0.14%)
リンP(0.12%)
となるが、植物成長の3大要素の一つに数えられる「リン酸」(リンPと酸素Oから成る酸)の元になるリンPは0.12%しか存在しない。農地においては、アルミニウムAl(8.13%)や鉄Fe(5.00%)による「リン酸固定」(植物が利用しにくいリン酸形態になること)がしばしば問題視されるが、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在量13.13%が、リンP存在量0.12%に対して100倍以上であるのだから、さもありなんと思われる。
しかし、ここで注意しなければならないのは、アルミニウムAlや鉄Feによるリン酸固定を解消する能力を持つケイ酸(ケイ素Siと酸素Oから成る酸)の存在。ケイ素Si存在量27.72%は、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在量13.13%の2倍を超える。ケイ酸は、アルミニウムAlや鉄Feを取り囲む形で結合し「粘土鉱物」を形成する。土壌構成要素としての有効性が認められ、近年は農業用資材としても販売されている「2:1型粘土鉱物」(スメクタイト型、モンモリロナイトなど)では、ケイ素SiとアルミニウムAlの比率が2対1であるが、地殻中のケイ素Si存在量からすれば、すべてのアルミニウムAlと鉄Feを取り囲んで「リン酸固定」問題を完全に消失させるだけの潜在能力があることになる。
仮に、ケイ素Siの力で、アルミニウムAlと鉄Feが無害化されたとすると、次に問題となるのは、カルシウムCa(3.63%)の存在である。現在、人類が農業などの生産活動向けに使用しているリンP資源の主なものを挙げると
リン鉱石
グアノ(海鳥などの糞が堆積したもの)
糞石(糞が化石になったもの)
鉄鉱石等に含まれるリン
動物の骨
動植物の遺体や排泄物
であるが、いずれもリン酸カルシウム(リン酸とカルシウムCaがイオン結合したもの)の形態になっており、そのままでは水溶性に乏しく植物は利用しにくい。そこで登場するのが、植物が根から放出するクエン酸などの有機酸。クエン酸は、カルシウムCaをキレート結合で取り込み、水に溶けやすくする。それによってカルシウムCaとの強い結合が切れるため、植物はリン酸を吸収できるようになる。
《リン鉱石はどうやって生成したのか》
現代農業に用いられるリン酸化成肥料は、大規模鉱山開発により掘り出されたリン鉱石から精製されたものである。資源として経済的に利用可能な鉱床は、リン鉱石の成因により3つに分類される。
(1)海成鉱床
古代の動植物や微生物の遺骸が海底に沈積して化石となったもの。世界各地に大規模鉱床として存在。現在のリン鉱石の大半はこの鉱床から採掘されている。
(2)グアノ鉱床
海鳥などの糞が堆積したもの。かつて、南米ペルーの島嶼部などにかなりの規模で存在したが、大半が掘り尽くされてしまい、現在は経済的に利用可能なものはほとんどない。
(3)火成鉱床
マントルから発生したマグマが地表に噴出した際に、鉄鉱石などの随伴鉱としてリン鉱石を形成したもの。
リン鉱石に含まれるリンのほとんどは「リン酸カルシウム」の形態で存在し、鉱石の5~40%の割合を占める。地殻中のリン存在量が0.12%に過ぎないことを踏まえると、鉱石となる時点で40~330倍の濃縮が起きていることになる。世界の主要鉱床が(1)の形で存在することを踏まえると、地球上のリン濃縮は、主に生物活動によって起きていると考えるのが順当である。
酸素O(46.60%)
ケイ素Si(27.72% )
アルミニウムAl(8.13% )
鉄Fe(5.00%)
カルシウムCa(3.63%)
ナトリウムNa(2.83%)
カリウムK(2.59%)
マグネシウムMg(2.09%)
チタンTi(0.44%)
水素H(0.14%)
リンP(0.12%)
となるが、植物成長の3大要素の一つに数えられる「リン酸」(リンPと酸素Oから成る酸)の元になるリンPは0.12%しか存在しない。農地においては、アルミニウムAl(8.13%)や鉄Fe(5.00%)による「リン酸固定」(植物が利用しにくいリン酸形態になること)がしばしば問題視されるが、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在量13.13%が、リンP存在量0.12%に対して100倍以上であるのだから、さもありなんと思われる。
しかし、ここで注意しなければならないのは、アルミニウムAlや鉄Feによるリン酸固定を解消する能力を持つケイ酸(ケイ素Siと酸素Oから成る酸)の存在。ケイ素Si存在量27.72%は、アルミニウムAlと鉄Feの合計存在量13.13%の2倍を超える。ケイ酸は、アルミニウムAlや鉄Feを取り囲む形で結合し「粘土鉱物」を形成する。土壌構成要素としての有効性が認められ、近年は農業用資材としても販売されている「2:1型粘土鉱物」(スメクタイト型、モンモリロナイトなど)では、ケイ素SiとアルミニウムAlの比率が2対1であるが、地殻中のケイ素Si存在量からすれば、すべてのアルミニウムAlと鉄Feを取り囲んで「リン酸固定」問題を完全に消失させるだけの潜在能力があることになる。
仮に、ケイ素Siの力で、アルミニウムAlと鉄Feが無害化されたとすると、次に問題となるのは、カルシウムCa(3.63%)の存在である。現在、人類が農業などの生産活動向けに使用しているリンP資源の主なものを挙げると
リン鉱石
グアノ(海鳥などの糞が堆積したもの)
糞石(糞が化石になったもの)
鉄鉱石等に含まれるリン
動物の骨
動植物の遺体や排泄物
であるが、いずれもリン酸カルシウム(リン酸とカルシウムCaがイオン結合したもの)の形態になっており、そのままでは水溶性に乏しく植物は利用しにくい。そこで登場するのが、植物が根から放出するクエン酸などの有機酸。クエン酸は、カルシウムCaをキレート結合で取り込み、水に溶けやすくする。それによってカルシウムCaとの強い結合が切れるため、植物はリン酸を吸収できるようになる。
《リン鉱石はどうやって生成したのか》
現代農業に用いられるリン酸化成肥料は、大規模鉱山開発により掘り出されたリン鉱石から精製されたものである。資源として経済的に利用可能な鉱床は、リン鉱石の成因により3つに分類される。
(1)海成鉱床
古代の動植物や微生物の遺骸が海底に沈積して化石となったもの。世界各地に大規模鉱床として存在。現在のリン鉱石の大半はこの鉱床から採掘されている。
(2)グアノ鉱床
海鳥などの糞が堆積したもの。かつて、南米ペルーの島嶼部などにかなりの規模で存在したが、大半が掘り尽くされてしまい、現在は経済的に利用可能なものはほとんどない。
(3)火成鉱床
マントルから発生したマグマが地表に噴出した際に、鉄鉱石などの随伴鉱としてリン鉱石を形成したもの。
リン鉱石に含まれるリンのほとんどは「リン酸カルシウム」の形態で存在し、鉱石の5~40%の割合を占める。地殻中のリン存在量が0.12%に過ぎないことを踏まえると、鉱石となる時点で40~330倍の濃縮が起きていることになる。世界の主要鉱床が(1)の形で存在することを踏まえると、地球上のリン濃縮は、主に生物活動によって起きていると考えるのが順当である。
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