思いつくまま感じるまま。

身辺雑記です。
何でもありの記録
HN天道(てんとう)

彼は

2007年11月09日 | Weblog
会社に居た頃は同僚だった。
暫くの間は親友でもあった。
彼は若くして退職してしまい郷里の東京で税理士を開業したことは年賀状などで知っていたが、退職以来只の1度も会っていない。

今日封書が届いた。
彼が出版した会計学の新著だった。
「謹呈」と書いてあり、出版社から直接送ってきたものだ。
出版社は何を勘違いしているのか私の宛名も「○○先生」となっている。

著者の略歴を見ると税理士業のことには一言も触れられていない。
目下は某私大の教授となっている。

恐らく本好きだった彼は今は書斎で本に囲まれた生活を送っているのだろう。
そして研究成果を教壇で学生に説く、彼の理想だった。
同僚だった当時から経済学者になるのが夢だといっていたからその夢は果たされつつあるのだと思う。

私に関して言えば、本は贈ってもらったがもう会計学の本を読む気にはならない。
私がまだその類の本を読んでいるとでも思ったのだろうか。
生きていくために仕事に必要な範囲内でこの類の本は随分読んだかも知れないが定年退職と同時にきれいさっぱりオサラバした。

貴重な時間の浪費だったともいえるかもしれない。

薄い本なのに結構なお値段だ。
授業に使うといって学生に買わせているんだろうと思う。

彼は充実した人生を歩んでいると思う。
好きな本を読み漁り、会計理論を構築し、一点の曇りも無い自分の道を歩み続けている。

何故か当時はヤクザ映画大好き人間だった。
大儀とか義理のために命を棄てることを厭わないというタイプの正義感だったし、高潔という言葉が似合う男だった。

お礼状を出しておこう。
住所録を探さなくちゃ。