そもそも区画整理事業には疑問がある。岩手県沿岸のどこのまちも同じつくりになっていいのか? とくに県土整備部の言いなりになって土地のかさ上げ工事をすることには慎重になってほしい。かさ上げ工事は一種のポピュリズム工事、必ずしも防災に向いているとは言えない危険性がある。
地権者2千人と29日から面談 陸前高田市の区画整理
陸前高田市は29日から12月上旬まで、土地区画整理事業を導入する高田・今泉両地区で、約2千人の地権者を対象に個別面談調査を行う。同市の土地区画整理事業では高台と浸水地のかさ上げで土地を造成。高台は公共施設を除いて住宅用地に限定し、移転は従来の地域コミュニティー維持に重点を置く方針。市は今後、地権者の希望を踏まえて土地の移転に関わる具体的なルールづくりを進める。
区画整理は、地権者が土地を出し合い、新たな道路や公共施設を整備してまちづくりをする手法。同市の場合は、浸水した土地をかさ上げするほか、高台にも宅地などを整備する。地権者の持つ土地は事業計画に基づく「換地」により、位置や面積が変わる。
地権者は面談調査で、高台か、かさ上げ地のどちらに移転するかの希望を伝える。
個別面談調査は、約2カ月にわたって実施。地権者に移転先の希望と、換地後の土地利用の意向を聞く。調査を経て、地権者の持つ土地の面積が減る割合(減歩率)、土地の移転に関する具体的なルールを検討する。
高田地区8~10メートルかさ上げ 陸前高田市が計画
陸前高田市の高田地区・今泉地区の土地利用計画等説明会は15日夜、同市高田町の一中体育館で開かれた。市は高田地区で市街地を山側に移し、約8~10メートルかさ上げする計画を説明。参加者からは、かさ上げ地に計画する市役所位置の見直しを求める声が上がった。
高田地区は、市街地を山側に移し、約8~10メートルかさ上げ。市役所はかさ上げした荒町付近、高田小は高台に整備し、跡地は市民文化会館を予定している。
参加者からは、かさ上げ地に計画されている市役所について「防災拠点として高台にすべきだ」との意見が出された。市は防潮堤整備とかさ上げにより、東日本大震災級でも浸水しない安全性や商店街などとのコンパクトシティーの観点を主張し、理解を求めた。
県、自治体の区画整理事業「かさ上げ」主導については地元住民には根強い反対、不安、迷い、不信がある。それには理由がある。県土整備部の成功体験工事は津波被災土地では通用しないからである。住民側の検証が求められる。かさ上げは宅地には向かないことを訴えたい。そして区画整理事業の意味そのものについても考えてほしい。
次のページで河川洪水対策としての「かさ上げ」と津波危険地帯の「かさ上げ」について図示して参考に供したい。