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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

閉伊川水門はダメ(2)絶望感

2018年03月11日 | 宮古閉伊川水門

避難訓練も決壊シミュレーションもない行政 ──

水門が壊れたらどうなるのか?

 

 

全国では原発の再稼働に伴って、また再稼働認可を待ちながら、事故を想定した地域住民の避難訓練が行なわれている。原発の再稼働は、規制委員会において、断層調査など何十万年の経歴など、厳密な審査をへて、いわば「絶対大丈夫」レベルの安全性が担保されているのにかかわらずである…

千年に一度、また百年に一度、百数十年に一度の津波についてはどうであろうか? 防潮堤が建っても安全は担保しきれずに各自治体では、当然にも原発事故同様にハザードマップを作り、避難訓練を行なっている。

 

閉伊川水門については、その気配もない。避難訓練はおろか、水門決壊のシミュレーション、ハザードマップさえもつくられていない。閉伊川沿線の各町内会でさえぴくとも動いていない。水門決壊で被害が直接予想される町内でさえ。光岸地、新川町、向町、南町などの閉伊川左岸、藤原、小山田、松山などの右岸地帯の町内など、どうなるものか見守っているのか…市政の無作為のままだ

絶対安全の原発でさえ、立地自治体の責任としてネガティブシミュレーションを検証して当然にもその事故を想定したリアル訓練は行なわれる。そうでなければ市民の命を第一とする自治体の存在意義が問われるからである。

 

不思議な事に、閉伊川水門については岩手県も宮古市も、お互いその(避難訓練)主管を譲り合ってであろうか? 決壊時避難訓練、決壊シミュレーションに向けて動く気配は全くない。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」では、水門建設反対の形ではあるが双方にそのことの指摘を行ってきた。これほど無関心な事がつづくのでは会としてもこれ以上前に進む事は出来ない。防潮堤も水門もそこを津波が超えたらほぼ崩壊する危険警戒領域だ。

 

 

ゲート全開時の図
(左側が藤原側で右が光岸地側)

 

 

 

早急に水門模型の展示を ──

水門開閉などの操作を誰も知らないでつくっている

 

 

閉伊川水門の開閉は、洪水になりそうだから開き、津波が来るから閉じる、と言う単純なものではない。なぜなら次のような日本初の水門構造であるからー

 (1)閉伊川水門は船舶の航路にあり多数の航行が常時行なわれている。

(2)防潮堤同様10.4メートルの高さで、市中への津波侵入を防ぐ防潮(堤)水門である。

(3)閉伊川は漁船を初めとする船舶の良好な避難港である。低気圧の予報時、水門の上流は避難船でそうとうに混み合う。

(4)2級河川で航路部をもつ防災水門はわが国では初めての実験水門であること。

 

とりあえず、以下の運用マニアル(ソフト)が明示されていなければならない。

 

(イ)洪水、津波のほか、大潮、爆弾低気圧などの自然環境の変化で、まず水門開閉の操作が複雑になる。局地豪雨、津波時の初期引き潮等どう判断してどう操作するのか?

(ロ)船舶の航行状況(量)や緊急時の動き(避難)で開閉の操作が複雑になる。船舶の洪水時避難、津波時沖出しの開閉判断はどうなのか?

(ハ)(イ)(ロ)それぞれの開閉時のタイミング、基本的な組み合わせでのタイミング。遅くなく、早くなく、適正なタイミングの取り方。

(ニ)誘導灯、警告音など、細かな事は数えきれない。

 

この事は当然、専門家的当事者だけでなく、広く一般の市民の理解を得ておかなければならないことだ。問題は市民の理解というよりも専門家たちにさえその事の理解が行き渡っていない事だ。専門家とは、1、運営する側の専門家 2、利用する側の例えば船頭などの専門家。

決壊時避難訓練、ネガティブシミュレーション同様に、この水門の操作・運営については岩手県庁主体か、宮古市主体か、宮古市市民にはっきり示す必要がある(あたりまえ)。しかしこのメリハリもまだついていない。絶望感がある

 

 

1/50の精密操作「模型」を宮古市役所ロビー、県庁ロビー、復興庁ロビーに

 

この閉伊川水門の機能、操作、効果などは分かりづらく、またトラップ(遮蔽扉)の動きそのものも理解するのが困難。すぐ都心の位置で、川水の水量、流速、粘性などの感覚も必要になる。市民にとっては全てが未経験建造物、パフォーマンスは未体験ゾーン。日本初となれば、模型は不可欠であろう。

市民への操作啓蒙、防災宣伝、避難喚起のためのほか、当事者、関連者の教育訓練、横つながりの危機共有、操作シミュレーション等のため精密模型は絶対に必要である。市民、県民、国民は誰も日本初の防災水門の意味を分かっていない。運転も操作もイメージがない。

 

── これは「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」が何年も前から宮古市、岩手県に提案している事である。開閉操作のタイミングの複雑性から、また開閉作動の動きを実感共有する事から、この模型は実物の1/50程度の厳密な縮小大きさのほか、実物の電動作動操作の完全なシンクロ動作があるものでなければならない。当然の事だ。

実は「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の提案をうけて、それを矮小に解釈して、県・宮古土木センターでは独自に「模型」をつくって現場事務所においていた。素材は白の発砲シチロール製に紙の補強だったように思う。見る方も見せる方も恥ずかしくて無言であった。

 

 

 

[関連記事] 目を覚ませ宮古人!!しっかり「閉伊川」をみよ(2)一部市民に説明会     2014.2.8

 

※ ほか右欄のカテゴリーから「どうなる閉伊川水門、津軽石川水門」を検索の事

 

 

 

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