昨日、高速でキップを切られた。
スピード違反。
そんな今日はなんか腹の虫が収まらないので、乗ってから降りるまでずっと制限速度を守って走ってやった。
大迷惑な遅い車に、どんどん他の車が追い越し追い抜いて行く。
大型車にすら3回くらい後ろにピッタリ付かれてハラハラドキドキ。
ああ、こんな景色もあるんだな。
こんな速度じゃ本線に合流もできん。
仕方ないので、少し流れに乗って車線変更。
メーター見たら、昨日捕まった違反のスピードとだいたい同じだった。
再び流れを無視して制限速度に。
意地でも今日は制限速度で走ってやる。
トンネルに入り、さらに制限速度はダウン。
トンネルの灯りが、同じスピードでゆっくりと後ろへ流れていく。
どんどん他の車のテールランプが、逆に前方へと流れて行く。
ああ、なんかぼぉーっとしてきて気持ち良くなってきた。
あまりにも遅いから、追い越されても前方が他の車で塞がれることもない。
周りをまったく気にせずにいられるのなら、まるでストレスフリーな世界だ。
ひとつ気付いたことがある。
自由に生きてゆくには、一番速いスピードで誰よりも前を先頭で走るか、一番遅いスピードで周りを気にせずマイペースを貫くことなんだな。
まあどちらにせよ、自分にそんな生き方はできないだろうけど。
一年365日、ほぼ毎日通勤で使う同じ高速道路。
かれこれ、もう約8年間通っている。
何千回と同じところを走っていれば、そりゃいつかは捕まるわなぁ。
今はもう大体どこが流れてどこが滞るだとか、自然とスピードが出てしまうところとかも何となくわかるようになった。
車線変更で危ない地点や、どこでどういう事故が起こりやすいだとかも。
当然あんな見通しの良い直線道路の空いた時間帯は、スピードに乗ってしまいやすい。
速度取締まりのためにあるような道だ。
まあ、何を言ったって向こうが正義に変わりない。
この大きな矛盾に行き場はない。
もっと道を何も知らない危ない運転の車なんて五万といるのにね。
でもむしろ、よく無事故で毎日通えているもんだとも思う。
10回で分かる。
100回で慣れる。
1000回で見切る。
何千回と同じところを走っていれば、そりゃ緩慢にもなる。
どんなに規制を厳しくしても、人はそんなものでしかない。
あの制限速度は修行に近いものがある。
数を通れば通るほどに。
グッドラック。
あぁ、日本なら南無阿弥陀仏か。
この行き場のない気持ちにふさわしい言葉だ。