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晩秋。
寺の落葉掃き。
掃いても掃いても、とめどなく降ってくる。
掃いても掃いても、決して綺麗になることはない。
だからと言って、掃かなくてよいわけでなく。
それは修業のようなもの。
若い坊主が嘆く。
掃いても掃いても、とめどなく降ってくる。
掃いても掃いても、決して綺麗になることはない。
だからと言って、掃かなくてよいわけでなく。
それは人生のようなもの。
老いた坊主が嘆く。
春。
私の上に桜が舞う。
ひとひら、ひとひら、危うげに躍りながら。
あんなに満開に咲き誇って魅せていた季節も。
少しずつ、少しずつ、気付かないうちに。
その華やかさは失われていく。
誰にも留めることはできない。
その儚なさ、その美しさ。
それは人生のようなもの。
ふと風が吹いて、桜吹雪。
春の空に、舞い上がるように。
それぞれの痛みを巻き込みながら。
春夏秋冬。
すべては、散りゆく姿こそを誇るかの如く。
それは誰にも留めることはできず。
それぞれの思いを抱えて。
ただ静かに季節は移ろってゆくのみ。
どこかの誰かの恫喝にも、その歩みは揺らぐことなく。
その目は怯えることもなく。
まして正義を掲げることもなく。
いまや、散りゆく姿こそを誇るかの如くに。