月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

終之住処

2012年02月04日 20時40分03秒 | 仏々相念(住職日記)

お墓か~・・・

 

先日の事、分家さんが本家さんの墓地の横に新たに墓地を建立されました。

御仏壇でご縁をいただいてからお納骨ということになりましたが、

いろんな思いがあるようで、墓の下での人間模様が気になられる様子でした。

 

今日の夕方、お荘厳を終えて冷たくなった手足を温めるべく炬燵に入ってテレビをパチリ!

「そうか、今日土曜日だったよな~。この時間ニュースないよな~」ってチャンネルを変えていきます。

すると、ド~ンと御遺骨が映るのです、「お~、何これ・・・」って途中からでしたが見入ってしまいました。

「報道特集」って番組で、入る墓なき遺骨ということで特集されていました。

 

こちらの田舎での墓事情というものはあまり建てるところがないということではありません。

勿論、いろんな事情で建てることが出来ないという方もおられますが・・・

むしろ墓はあるけど後を見る方がいなくなる問題があります。

亡くなる方があれば家もなくなる・・・

そして、墓も無縁となり草で覆われることになる。

里を離れた方々は、今の生活が大変なため墓どころではない。

でも、そんな方々もず~っと生きている訳ではなく必ず死を迎える。

「さあ、困った・・・」皆そんな顔で葬儀を進めると、番組の中で葬儀社の方がコメントしていました。

納めるところのない御遺骨を手に悩まれるのです。

何とか墓を建てることが出来たとしても超高齢化社会、後を見てくれる人がないとなるとここで又悩んでしまう。

自分の先祖の墓が草で覆われるように無理して建てた墓もそのようになることが分かるから・・・

結果、部屋の押し入れに幾つもの御遺骨があったり、葬儀社に預けたままになったり電車の網棚に・・・

切ない問題です。

 

決して遺骨に執着しなさいっていうことではありません。

でも、やっぱり縁ある方の遺骨・・・

粗末には出来ない現実、後を見る人のいない現実、生きていかなければいけない現実・・・

しんどい現実が見えてきます。

 

墓に「永遠の眠り」を見ていきます。

ご門徒の中においてもそのように見ておられる方が多くおられます。

墓に遺骨を納めなければ亡くなられた方が迷ってしまう・・・

そして、自分も終の住処としてそこに納められる・・・

中には、自分が生きてきた証として墓を飾る方もおられる・・・

そんなことを思い無理をしてでも建立されていかれる。

でも、それで終わってしまってはあまりにも悲しい・・・

 

本願寺の御影堂が大きいのは親鸞聖人の御廟(お墓)が成り立ち。

その時代、その時代の方々が親鸞聖人のご苦労を偲びつつ、

お陰で今この私が阿弥陀さまに出遇い、苦しき現実を抱えつつもこのままで救われる身とならせていただいていたことを感謝しつつ歩んでこられました。

 

あなたの死に出会い、変わり果てたる遺骨を抱え涙する。

苦しき現実は何ら変わらないまま・・・

「生きる」不安を抱えたまま・・・

涙する・・・

手を合わせる・・・

 

その涙となり、合わす手の温もりとなり、いつでもどこでも、今ここにおはたらき下さっていました。

お墓も又、そこに気付くご縁なのでしょう!

墓の下ではなく、今ここに・・・

一緒に・・・

 

お墓を求めることができなければ、浄土真宗本願寺派本願寺なりお近くの寺院に相談してみて下さい。


真のお辞儀のはなし

2012年02月04日 16時19分50秒 | ふうわりふわり(坊守日記)

今日は保育園のお茶のおけいこでした

(私は義母のアシスタントでおけいこのお手伝いをしています)

 

この保育園では年長組の園児さんが1年間お茶のおけいこをします

座り方、お辞儀とご挨拶の仕方、お茶とお菓子のおはこびの仕方、いただき方、袱紗のたたみ方などを習い、一年の終わりには自分で茶筅を振りお茶をたてるようになります

今日は最後のおけいこです

参観日ということで、お母さんやお父さん、おばあちゃん、お姉ちゃんなど、おうちの人におけいこを見てもらい、一緒にお菓子とお茶をいただきました

園児たちが自分のおうちの人にお菓子とお茶をおはこびします

いつもはお友達同士でおはこびをするのですが、今日はみんな緊張した面持ち・・・

おうちの人の前にきちんと座って、手をつき真のお辞儀をして「ごゆっくりおめしあがりください」「さげさせていただきます」とごあいさつをします

ところが、おうちの人はぺこりと頭を下げるだけです

普段、手をついてお辞儀をすることもなかなかないので無理もありません

ここで先生(義母)がお辞儀(礼)についてお話をされました

 

お辞儀(礼)にも真・行・草があります

「真」のお辞儀は、手のひらをすべて畳につけて、背筋を伸ばしたまま、お腹を膝に付けるくらい上体を前にかがめる最も丁寧な礼の作法です

「行」のお辞儀は、手の指の第二関節から先を畳につけ、背筋を伸ばして上体を前にかがめるお客さま同士の挨拶の作法です

「草」のお辞儀は指先を膝の前の畳につけて、上体を軽く前に下げる一番軽い挨拶の作法です

お客さまにお茶やお菓子を差し上げるときには真のお辞儀をします

真の礼には必ず真の礼で返礼をしましょう

 

というお話でした

それからは、おうちの人も子どもさんの作法にならって真のお辞儀をされていました

「ちょうだいします」「ごちそうさまでした」とごあいさつもされました

座っているので目線もまっすぐに合うのです

だからでしょうか、

両方とも少し照れくさそうに・・・

でも丁寧に・・・

 

なんともほほえましく、やさしい時間でした

真のお辞儀(礼)・・・心がけたいものですね


寒之最終

2012年02月03日 20時53分03秒 | 仏々相念(住職日記)

切ないな~・・・

 

朝、目覚めると雪景色。

それを見ただけでもう駄目です、震えているのですから・・・

① ヒートテックのタートルネックのインナー

② フリースのハイネック

③ 厚手のトレーナー

④ YAZAWAのパーカー

着込みます、着れるだけのモノをありったけ!

勿論、靴下は厚手の揃ったモノ。

これでファンヒーターを囲い込むのですから・・・

 

今日も寒い一日でした。

松山でも何年かぶりに3㎝積もり交通事故が多発したとか・・・

しまなみ海道も通行止めになっていました。

交通機関は大変だったみたいです。

 

ええ加減ですよね、自分がお参りするご縁であれば道路状況も案じるのですが・・・

今日はお参りしていただくご縁でした。

電話が鳴ります・・・

「ご院さん、すいません、こちらは凄い雪で身動きが取れません。タクシーも嫌がって来てくれないのです。日を変更していただきたいと思うのですが・・・」

「それは大変でしょう!こちらもそれなりに積もっているので山間部だから尚更でしょう。無理しないで下さい、後日にお勤めさせていただきましょう!」

って、日を変更しました。

 

昼ごろ、電話が鳴ります・・・

「大分、融けましたのでやっぱり伺おうと思うのですが如何でしょう?」

「では、〇時ごろに来られますか?気を付けてお参り下さい。待ってます!」

 

約束していた時間にお参りされました。

「大変だったでしょう!よう、お参り下さいました。」

不便なところから乗り継ぎ乗り継ぎ来られるのです。

この方々がお参りなされなかったら、参らんコイツはありったけの服着こんで炬燵の中だったでしょうに・・・

ご縁って本当に有難い!

参らんコイツを引きずり出し、合わさん手を合わせて下さるのですから・・・

冷たい空気の中、我が口から出る白き息を感じながらおはたらき下さる仏さまに感謝させていただいたことです。

 

この御家族の二女さんは、看護師になるべくこの春から里を離れられます。

一緒に参られたお母さんと叔父さんもどこか寂しそう・・・

お父さんがご往生された後、それはそれは一生懸命にお母さんを支え、身体の弱い伯父さんを助けておられました。

その娘がいなくなるのですから・・・

堪らんだろうな~って切なくなるコイツがいたのです。

 

よく分かります・・・

もう1年になりますが、娘が出る現実を深く思う時、1日1日がどれだけ愛しかったか・・・

寂しさに押しつぶされそうになるコイツが度々いたことです。

今では、大分慣れた!かな・・・?

 

勿論、ご本人も寂しくない訳はないのでしょう。

でも、そんな不安を抱えつつ夢に向かって突き進むのです。

壁にブチ当たって行くのです・・・

この温もりを胸に!

 

ご縁いただき手を合わさせていただくひと時・・・

よう、参ったね!

よう、手を合わさせていただいたね!

いつでもどこでも・・・今ここにあなたに包まれている温もりに出会うのです。

 

願生って生かさせていただこうよ!

 

ご縁が終わりお見送りした後、冷えきった手足を炬燵の中で温めます。

擦りながら、握りながら・・・

 

あ~・・・温かいな~!!!

悴んだ手に感覚が戻ってきます。


足跡のはなし

2012年02月03日 15時21分39秒 | ふうわりふわり(坊守日記)

今朝5時前に起きた時に、いやに空気が冷たくしんとしているな・・・と思いカーテンを少し開けると、まだ真っ暗な時間なのに一面の雪であたりの景色がぼ~っと見えました

今朝は宇和島も雪景色でした

まだ暗いうちに朝練に出かける息子を見送り、少し躊躇ったものの意を決してウォーキングにでかけてみました

新しい雪を踏みしめ踏みしめ歩いて上がったグラウンド

まだ誰の足跡もついていない真っ白なグラウンドにつけた自分の足跡を振り返りながら、子どもの頃のわくわく感を思い返していました

それにしても・・・まっすぐ歩いているつもりなのに、案外蛇行しているものですね

まっすぐ前を見て歩けばまっすぐの足跡が残るのかもしれませんが

あっちを見たり、こっちを見たり、いろいろ気になるものがありすぎて・・・

 

反省すべきか、良しとすべきか・・

雪をかぶった阿弥陀さまは蛇行する私をお見通しですね!