これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

ダブル・ファンタジー

2009年10月19日 18時29分07秒 | 読書
柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞と
3賞を受賞したとのことで、どんな小説か気になって借りて読みました。

『あらすじ』 
奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。
“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。
女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。
そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。
「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

あらすじを見ても分かる通り、きわどい場面が多いお話です。
不倫しても幾人の男性と関係を持とうと
貞操観念がないなぁなんて殊勝なことは言いませんが
一々素晴らしいセックスを解説されるのには閉口しました。
「もしもこれこそがセックスと呼ばれるものならば、
自分は今までセックスをしたことがなかったのだと奈津は思った」とか
そんなこと真顔で言われても困っちゃうし。
「世の中の女性たちはみんな、こんなすさまじい快楽をふつうに
味わっているのだろうか。」って振っておいて
「そうは思えなかった。」って、すごい自慢されているよな、今
と笑ってしまいました。

恋愛小説で面白いのは相手と結ばれるまでのあれこれで
この小説の奈津のように簡単に身体を許してしまうと
あんた、もうちょっと我慢しろよ、と叱りたくなります。
全体的な感想としては贅沢言っているなぁっていうことです。
お金を持っているのに刺激を求める為に万引きしているような
そういう「ブラックな自分探し」という感じでしょうか。

一番好きだったのは、奈津と旦那が別れる・別れないでもめるシーンで
男女の心が離れていくのってこういう感じだよなぁ、
ってリアルな感じがしました。
どちらの言い分も片方だけ聞く分には、それぞれ真っ当な主張なんだけれども
それを摺りあわす際に齟齬が生じるのは現実にもよくある話です。
逆にこのシーンを境に奈津が家を飛び出して行ってからは
急速に興味をなくしていってしまいました。
あと散々盛り上がって、もうこの人しかいないみたいなことを言っていたのに
次の男が出てくるとそういったことはすぅ~と忘れて
迫ってくるとうざったいって思い始める所も
真に迫っていました。

女性が読んだらどう思うんですかね。
こういうのを軽蔑するか羨ましいと思うか
性差によって感じ方も違うんでしょうか。
ブログなんか読んでも賛否両論って感じだし。
それと賞を決めるのは小説の専門家の方々だから
自分のような素人の感性とは違うんだろうなぁと
毎度のように感じました。

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二作目のジンクス

2009年09月14日 18時14分21秒 | 読書
天野節子著「目線」を読みました。
前作の「氷の華」が面白かったので期待して読み始めましたが
次第にページを捲る指の動きが鈍くなっていきました。
推理小説テイストで決して嫌いじゃない、むしろ好きなジャンルですが
一向に心が動かされる展開にならなくて
かなりイライラさせられました。
結局大した波もなく最後まで読み終えてしまった次第です。

トリックや殺人の動機もまぁそんなに納得いかないほどではないですが
あっさりとしすぎているというか、展開を綴るのに追われて
肝心の登場人物の中身が伴っていないというか
書かれていないというか。
女性作家ならではの「心の闇」みたいなものが犯人が自白する
最後の一瞬にしか現れなくて
かといってこちらの裏をかくような展開ではなく
何もかもが中途半端な印象です。

「氷の華」はドラマ化される位、ヒットした作品で
やはり引き込まれるものが確かに存在していました。
とても同じ作者が書いた作品にはとても思えません。
今作が2作目ということでプレッシャーもあったのでしょうか。
2作目つながりでいうと湊 かなえ著「少女」もかなりがっかりしました。

こちらは作者のテイストみたいなものは残っていて
ラストは割と好きな終わり方でしたが
ストーリー自体が面白くありませんでした。
デビュー作の「告白」も中盤はもたついたところもありましたが
そもそも復讐ものは好きなこともあって
面白かったのも前者のパターンとそっくりです。
1作目が評判になったから次も出せば売れると
編集者の目が甘くなっている感じが両者共しました。

ブレイクした後の作品はある意味その後の方向性を決めることもあって
同じような作風だとまたこう来たか、と思われるし
あまりにもイメージが違う作品だとそれはそれで前の方がよかったと言われるし
難しいところではありますよね。
綿谷りさもデビュー作ではありませんが「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞し
その次の「夢を与える」ではそれまでの彼女のイメージを覆すような
露骨な性描写と展開に唖然としたものです。

嫌いな小説ではなかったんですが
筆者の大人しそうな外見からはちょっと想像がつかない内容であったのは確かです。
彼女自身に何かの決意があったのでしょうけど
それ以降全く作品を出していないのが気になるところです。
個人的には次回作を待ち望んでいる作家さんの一人です。
(もう一人は綾辻行人)

本屋さんになりたい

2009年09月08日 18時47分20秒 | 読書
働かなくてすむ位、お金があったら本屋さんか図書館で勤めたいです。
今勤めている職場だって大していいお給料を貰っているわけじゃないので
特に本屋なんて転職するのは可能だと思いますが
お金のために働く、というところから一歩ひいて働きたい場所です。
どうしても生活が掛かっていると言いたい事をいいづらいし
好きだからこそ売り上げとか政治的なものから
目を逸らしたいのかもしれません。

で本屋にも図書館にもよく行くんですが
レジや受付に男性がいることがあるんですが
もっと力が必要な仕事の方にまわってもらいたくなります。
女の人が重い本を並べているのに
レジをピッピと打っているのをみると代わってあげろよ、と思います。
あとこれはかなり偏見ですけど
髪が茶髪の子が本屋さんや図書館で働いていると
ファストフードやコンビニ、洋服屋さんとかで働けばいいのにって思います。
やっぱり本屋さんには黒髪の人の方が似合います。

新宿のジュンク堂書店によく行きますが
ここには椅子が相当数並べられていて
買う前の本を立ち読みならぬ座り読みができる本屋さんです。
ほとんど本を買わない自分にとっては何ともありがたいお店ですが
客観的にみると経営的にどうかと心配になります。
さすがに小説は無理でも薄い雑誌なら10分程度で流し読みできます。
中には何時間も座っている人もいて
かといって寝てたり携帯で中身を撮影してない限り
注意もできないしどうなのかなぁって。
このサービスに感謝してここで買うような殊勝なお客さんが
いるとも思えないのですが・・・

本屋さんで働きたいのは読書が好きということもありますが
今まで嫌いになった人に本が好きな人がいなかったというのもあります。
只の偶然かもしれないけど、盲目的に本が好きな人に悪い人はいない
って信じていました。

しかしそれが覆されることがあって、
その人は過去に小説を書いて賞をもらったことがあって出版もされています。
村上春樹っぽい話で自分が読んでも全然面白くなかったんですが
(というか途中で読むのをやめてしまいました)
大賞で100万円貰ったのは事実なので評価はされています。
今も新たな小説を執筆中で、何かの賞に応募するみたいです。
自分にはよく分からないような難解そうな本を読んでいるし
本への情熱は自分は足元にも及びません。
でもこの人、ものすごく気分屋で、しかも自分に甘く他人に厳しいという最悪な性格で
一緒に仕事したくない人、NO.1です。

動物好きに悪い人はいない、なんて全然信じていないくせに
自分の都合のいいことだけを信じるのは虫がよすぎますよね。
ですが、賞をとって有名にならないように願っています。
でも小説家に専念する為に会社を辞めてくれたら
それはそれで一番いいかも、と思ったりします。

川上弘美著「風花」

2009年08月11日 20時10分52秒 | 読書
川上弘美著「風花」を読みました。
何でこの本を読みたくなったのかは憶えていませんが
本屋さんでも平積みしてるし、図書館の予約も相当数入っているので
人気のある本には違いないようです。

しかしあまり面白くなかったです。
いい人には違いないんだけど、
まどろっこしくてイライラしてしまう人と話した時に
感じるような感覚がありました。
こういう一見淡白なお話、語り口が好きな人には
堪らない作品かもしれません。

文中に「死んだらおしまい」という一文があるのですが
そこには惹かれました。
個人的に死後の世界とか信じていないので
文字通り、死んだらおしまい、だと思っています。
だからといって死後の世界を完全に否定するわけではなく
生きている間はそれがあるかないかは絶対に分からないんだから
無いと思っていた方がいいだろう、位の気持ちです。

最近はスピリチャルブームで
死後の世界があるに決まっているみたいな雰囲気が漂っていて
言い知れぬ違和感を感じます。
何なら来世でいい思いをする為に現世を生きましょう、
みたいな感じすらあります。
前述した通り、信じるのはいいのですが
ここまで来ると本末転倒のような気がします。

前世占いについて言えば、おかしいと思っていることがあって
地球上だけでも膨大な数の生命に溢れていて
人間なんてその数%に過ぎないのに
また人間に生まれ変われる確率なんて
ものすごい低い確率だと思うんです。
でもほとんどの場合、前世も人間だということが多いのは
疑問に思います。

人間は高貴な魂だからとか言うのはちょっと傲慢じゃないかなぁって
元を辿れば同じ動物なわけで自分達だけ違うっていうのは
他の動物に失礼です。
いくら科学や技術が進歩してもこればかりは絶対解けない問題で
あるか分からない来世に賭けるくらいなら
現世を一生懸命生きた方がいいような気がします。

「森に眠る魚」角田光代著

2009年08月07日 21時41分43秒 | 読書
「森に眠る魚」という小説を読みました。
 東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を 許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。
平たく言うと「お受験」と「ママ友」の話です。

自分の小学校時代に私立の中学校を受験して進学する人はまれで
知る限り、5人もいませんでした。
土地柄のせいか時代のせいか「お受験」という意識も全くなく
友達から私立に行くことを知らされても
他の学校に行っちゃうんだ、位の感覚しかありませんでした。
第一、偏差値って何かも知らなかったし
偏差値70って言われて平均点70点って低くないか、
なんて無邪気に思っていました。

自分に子供が出来たらって考えると「お受験」させるかどうか
よく分かりません。
一概に私立の学校を否定するつもりもありません。
自分がいた区立の小中学校は比較的平和で楽しい思い出ばかりですが
様々な報道を見る限り、公立校に不安がないといえば嘘になります。
いくら自分がしっかりしていても、周りに左右されることが
無数にあることは実体験からしてあきらかです。
自分はそれに運よく引っ掛からず来ただけかもしれないし
それが現実の怖さだと思います。

でも「お受験」を本人がしたくないならばどうかと思います。
塾に行ったことがないので、その効果の程や
行ったときの気持ちが実感として分からないです。
少しケースが違いますが、子供の頃、近所の人が行っている
ボーイスカウトに入会させられたことがありました。
本心をいえば行きたくなかったし、でもあまり拒むのも
期待をそぐようで嫌でした。
母も外向的にしようと良かれと思ってしたことなのですが
結局2年やって辞めてしまいました。
別に今は後悔はしていませんが、こういう気持ちを知っているだけ
無理強いするのはどうかと思います。

また自分の子供が落ちて、友だちの子供が受かったらという話は
自分が受験に失敗するより辛いかもしれません。
これを気にしない器のでかい人間になりたいものです。
それを避けるために別の学校を受けるというのも
それはそれで本末転倒のような気もします。
第一、子供のことをないがしろにしています。

もう一つ「ママ友」というテーマがあって
このお話の中では卒園を境にバラバラになってしまいます。
よく女の友情は脆い、みたいな話を聞きますが
別に女性に限らず男性だって脆いもんです。
中学高校と同級生だった友人に尋ねごとがあって電話したら
なんかひどく警戒されたような話し方をされて
ショックだったことがありました。

でも人生の時々で出会いと別れは繰り返していくものだし
しょうがないのかもしれません。
思えば母も家に呼んで話す友達は何年かのサイクルを経て
いつも変わっていました。
それを見ると何かはかないなぁなんて思っていましたが
自分も同じようなものです。
子供時代には携帯なんてなかったけど無くてよかったと思います。
メールして返信が返ってこなかったから絶交、なんて
記事で読んだら苦笑してしまいますけど
実際自分が当事者だったら笑えないでしょう。

こうやって生活していると本当に小説の中のような
「お受験」にまつわる様々なことが現実に起こっている気は
全くしないんですけど、あるところにはあるんでしょうね。

考えすぎるのは頭の毒

2009年05月06日 14時43分51秒 | 読書
頭ん中がごちゃごちゃしたときに読む本があります。
新野哲也という人が書いた「頭がよくなる思想入門」という本です。
何でこの本を買ったかは憶えてないんですけど
今では一番何度も読み返す本になっています。

この本に書いてあることのひとつに「考えすぎるのはよくない」
っていう考え方があって、ヒトが考えるのは「狂っているから」
ということまで言っています。
直観が大切でパッとみてすぐにわからないことは本人にとっては
ほとんど重要でないそうです。

それと意識っていうのは基本的に逃げることばかり考えるので
意志をもって進んでいかなくてはならないとか
他にも色々こういう話が書かれています。

確かに悩むってことは結局あれこれ考えることだし、
考え始めるといかに逃げようか、それに対してのもっともらしい
理由づけをしていることが多いです。
それに過去のことを色々考えるのも意味はないよなって思います。
例えば終わってしまったテストのこととか今更考えても
点が変わるわけじゃあるまいし、
そんなひまあったら次の試験勉強をしたほうが
絶対有益ですもんね。

こういうむだなことを考えることを「わるい頭のつかい方」と
この本では説いています。
たまにこの本を読むと、あまり考えないようにしようって思うんですけど
数日するともうそんなことを忘れて
ぐちぐち考える自分がうらめしいかぎりです。

吉田修一「悪人」を読んで

2007年07月17日 19時45分48秒 | 読書
 もう1ヶ月前に読んだ小説で
本当はブログに書く予定ではありませんでした。
それはこの作品が全然面白くなかったからです。
 それが他の人のブログの書評を読むとほとんど皆さん絶賛していて
「博士の愛した数式」(これもどこが面白いかさっぱり分からなかった)
以来の完全孤立状態になってしまい
それに反抗心をもって今回書くことにしました。

 自分としては第1章の、佳乃と同僚2人(沙里ともう一人)の
女の見栄の張り合いが一番面白くて、
そこで期待したのが良くなかったのか、他は大したことなかったです。
でも他の人の書評では、最初はあまり良くなかったけど
後半にかけて面白くなった、と自分とは真逆の反応が多かったです。

 大体殺された佳乃からして全く同情はできなかったし
犯人の祐一も何かうざったい奴だなぁって早く捕まってほしかったし、
祐一を匿った光代もどうなの?って感じちゃったし
みんなあまり好きではないタイプの人間ばかりでした。

 あと誰が悪人か、みたいな話が多いのですが
誰がどうみても増尾でしょう。
こいつは救いようのない奴だなぁって読みながらムカムカしましたもん。

 調べてみたらこれも新聞に掲載された作品だったらしく
これで「メタボラ」「八日目の蝉」に続いて
イマイチな作品が続いてしまい
新聞小説との相性の悪さが露呈されてしまいました。

桐野夏生「メタボラ」を読んで

2007年07月16日 19時26分25秒 | 読書
 桐野さんの作品なので期待しましたがイマイチでした。
前半はまぁまぁ面白いかなって読んでいたんですけど
ジェイクの出なくなった後半がのってこなかったです。
元々は新聞に連載されていた作品だそうですけど
どうしてもテンションが続かなくなってしまうのかなぁ、
最近読んだ角田光代の「八日目の蝉」もイマイチだったし
小説は書き下ろしが一番ですね。

 そんな中でも釜田が豹変していくさまなんかは面白かったです。
何である程度成功を収めると政治家になりたがる人って多いんですかね。
「国民」の為って旗印にしているけど、結局「自分」の為だろう、って
己では気づかないんですかね。
まぁそれ位、無神経じゃなきゃ政治家なんて勤まらないか。
大体都心の豪邸に住んでいる人に庶民の気持ちなんか分かりっこないじゃん、って
政治家自身を含めて支援している人も気づきなよ、と
公開放送とかで小学生が言ってくれないかなぁ。

 あとギンジが携帯を買ってジェイクに何度も電話するんだけど
全然連絡が返ってこないのに憤るシーンも分かるなぁ~って。
携帯とかメールとかってこっちが掛けて返事が返ってこないと
すごく気になりますよね。
 相手が男ならそうでもないけど、女性だと期待している分、腹立ちますね。
二人の力関係が丸分かりになってしまうじゃないですか、こういうのって。
忙しいから返事遅れたって、こっちに気があればどんなに忙しくても
すぐに返信してくるにちがいないんですから。
こういうことがあると携帯やパソコンなんかなくなれって思っちゃいます。
もう一生そんな時代になることはないというのは
考えているより深刻な問題だと自分は思うのですが・・・
とパソコンを使ってこれを書いているのも皮肉なものですね。

山田宗樹「嫌われ松子の一生」を読んで

2007年06月25日 20時18分53秒 | 読書
 いつの作品だ、って怒られそうですがやっと読みました。
予想外に面白かったです。
実は以前にも図書館から借りて読もうと思っていたんですけど
他に予約していた本が借りれてしまい
そちらを優先して未読のまま返却してしまったんですよね。

 大体、出だしの30ページ位があまり面白くなかったので
どうせ面白くないだろうというのもあったのですが
借りる本がなかったので、軽い気持ちで読んだらこれが見事にハマりました。
全部読むのに2日もかかりませんでした。
本当にハマる本に出会うと読んでいる時間は至福のときですが
その分すぐに読んでしまうので楽しい時間が短いのが痛いですね。

 何がそこまでハマったのか自分でもよく分からないんですけど
松子のことを思うとフィクションとはいえ可哀想だなぁって思っちゃいます。
この話を読んでいて、黒木香(瞳じゃありません)を思い出してしまいました。
 確か彼女も国立大出のお嬢様だったんですよね。
それと風俗業に流れる所やろくでもない男にひっかかってしまう所とか
微妙に重なってみえました。

 映画版もドラマ版も観てませんが、期待を裏切られるから観ない方がいいんだろうなぁ
中谷美紀がどこまで演じていたかは気になるところですが
WOWOWは待てど暮らせど放送しません。
佐伯先生役に谷原章介、島津役に荒川良々はいいキャスティングだと思います。



綿矢りさ「夢を与える」を読んで

2007年05月16日 18時17分41秒 | 読書
 自分にとっていい小説は、読み終わった後も色々考えられるものなのですが
この小説はそういった意味では、いい小説でした。
最後は主人公に感情移入して、その日の夜はこのお話で頭がいっぱいになりました。

 ステージママとのやり取りなど全体的には宮沢りえ、
インターネット流出は奥菜恵、深夜のバカ騒ぎは広末涼子
後、最近起きた加護ちゃんのことも頭によぎりました。
 「私の皮膚は他の女の子たちよりも早く老けるだろう。」という文があるのですが
宮沢りえもある時期を境に、歳より老けた感じになってしまったしなぁ
なんてことも思いました。

 個人的にはインターネットでわいせつシーンが流出する部分には反対です。
レイプとかそういう出来事を入れると
辛くなってより心が揺さぶられるのは事実ですが
ちょっとずるいかなぁって思ってしまうんです。
書く側にとっては殺人の動機にも出来るし、物語も動かせるし
便利なものだとは思うんですけど、できれば使わないでもらいたいです。
 自分が思ったのはこのシーンを入れることによって
映画化やドラマ化しづらくしたかったのかなぁと深読みしてしまいました。
今売れっ子の女優さんは使いづらくなりますしね。

 それと綿矢さん自身も見られる立場になって
そこで感じたことを多少投影させたのかなぁとも感じましたが
本人は絶対そうだとは言わないだろうなぁ。
何かそういう頑なな感じがします。
それでも過去2作よりは面白かったですけど・・・。

朝比奈あすか「憂鬱なハスビーン」を読んで

2006年12月14日 19時35分01秒 | 読書
 あんまり有名な作品ではないです。
何かの賞をとったみたいですけど
新刊にもかかわらず図書館ではすぐに借りられました。

 端折って言うと、東大卒の主人公、凛子が主婦になって
何か煮え切らない思いになっているというお話です。
高学歴で、周りからは幸せな結婚(旦那はしかも弁護士!)だとしても
悩みは色々ある、みたいな事を言いたかったのだと思いますが
作者も慶応大卒なので、貴方もそっちの人間なのね、と
ちょっとやっかみ感はあります。

 そうは言っても結構面白くて、理解できる部分が多数ありました。
凛子が再就職先を探しているという話を息子(凛子の旦那)から聞いて
彼女に紹介するのですが、それを凛子が快く思わない箇所は
すごく解りました。

 普通に就職活動してもそれ以上の職はまずないし、絶対おいしい話なんですけど
自分のいない所で話が進んでいることに対しての不信感なんでしょうね。
 自分もたまに親戚に合うと、母が話したとしか思えない話題をふられると
すごく嫌な気持ちになります。
人を話のタネにすんな、って思いますもん。
基本的に必要な話なんかそんなに無いので
こういう話題が大部分を占めてしまうんでしょうね。

 後、凛子は仕事がうまくいかなくて窓際族みたいにされてしまいます。
東大卒というとそれだけで仕事できて当然ってところはありますよね。
以前バイトに東大在学中の子が入ってきてすごく期待しましたけど
別に優秀でもなく短大の子のほうがよっぽど仕事ができました。
 東大に入るっていうのは一種の特別な技術と考えた方がいいのかもしれませんね、
でも東大ってだけで自分は絶対的に尊敬しますけど。

貫井徳郎「愚考録」を読んで

2006年09月15日 20時13分27秒 | 読書
 多少ネタバレありです。
前作の「悪党は千里を走る」は散々な出来でしたけど
今回はかなり面白かったです。

 物語は一家4人が惨殺されてその関係者のインタビューを中心にすすんでいきます。
恩田陸の「Q&A」もそうでしたけど自分はこういうタイプの話が好きみたいです。
基本的にセリフだけで話が進んでいくので情景描写がなくて
そこがいいのかもしれません。

 現実社会にもこれと似たような事件が報道されていたこともあって
その時は、犯人は本当にひどいことするなぁ、って思うものですけど
この話で殺された田向一家に関しては別に可哀想だとは思いませんでした。
逆にちょっとざま~みろ位の感覚はありました。

 特にこの一家が極悪人でも犯罪を犯しているわけでもないですけど
何か微妙にムカつくというか気に入りませんでした。
 でもこういう詳しい話を知らなくて、近所に住んでいるだけなら
いい一家だなぁって感じるのかもしれません。
結局、人の見方なんて多少の情報で操作されるほど危ういものなんだなぁと・・・

 それにしても昔は金持ちとか成功者の人の話を聞いても
あまり何とも思わなかったのですが
最近はそういう奴は痛い目にあえばいいのに、ってついつい考えてしまいます。
どんどん嫌な人間になっているように思えてなりません。

歌野昌午「女王様と私」を読んで

2006年05月08日 20時14分05秒 | 読書
 「葉桜の季節に君を想うということ」が面白かったので
こちらも期待して読んでみましたがかなりイマイチでした。

 最後のどんでん返しが汚いとかそういうことじゃなくて
単純な読み物として心に迫ってくるものがありませんでした。
ただ一つ、本に施されたある仕掛けは読了後に気づきましたが
それは面白いなぁと思いました。

 この本の話はこれ位にして最近アクセス数がすごく増えています。
アクセス解析で分かったことですが「亀田兄弟」関連の記事への
数が尋常ではありません。
先日の亀田兄弟の試合の前後は普段の2倍のアクセス数がありました。
亀田嫌いの私ですが、これを読んでいる人もそうなのか、どうかは
分かりません。

 それにしてもTBSは数字を取れれば何でもありの姿勢が
あけすけですね。
細木数子もみのもんたも視聴率を取れれば彼らの人格などは
無視してやみくもに起用しますもんね。
大きな志をもって、厳しい競争に勝ち抜いてきたであろう
テレビ局の人たちはこんなんで恥ずかしくないんでしょうか。

 そんで今度は亀田兄弟でしょう。どうせこれで3人とも
世界を取れなそうなことが分かったら、今まで何もなかったように
切り捨てられるだけなんでしょうね。
別に亀田兄弟には同情はしませんけど、そういうテレビ局の姿勢は頭にきます。

奥田英朗「ガール」を読んで

2006年04月22日 21時17分46秒 | 読書
 同じ作者の「マドンナ」のような話を期待して読みました。
5つの話からなる短編集ですが字も大きくて
ページも50ページ前後なので簡単に読めます。

 「ひと回り」以外は、お金持ちの自慢話を聞いているみたいで
苦痛を覚えました。
一流企業に勤めている容姿もいい女性が
30代を過ぎて色々考えるっていう内容ですが
「はぁ~、そうですか」ってため息つきまくりです。
この話に出てくるのと同じ立場の女性しか
同感できないだろうなぁと思うほかない内容です。

 何かこの人の小説、どんどんつまらなくなっていく感じがします。
「最悪」や「邪魔」を読んだときは本当に面白かったのになぁ、
伊良部シリーズの最新刊を出ているみたいですが
こっちは面白ければいいなぁと思います。

奥田英朗「サウスバウンド」を読んで

2006年04月08日 22時48分31秒 | 読書
 事前にどんな内容か全く知らずに読みました。
子供が主役の話はあまり好きではないので
あらすじを知っていたら読まなかったかもしれません。
それでも500ページを超える小説にもかかわらず
まぁまぁ面白かったです。

 上原家が西表島に渡島する第2部の方が個人的には好きです。
この島の生活には憧れます。
イメージでいうとペンギン村みたいな感じですかね、
小学生時代にリアルタイムでアラレちゃんを読んでいる時には
本当にこんな村があったらいいなぁって
結構本気で思っていました。
あの世界ってある意味ユートピアじゃないですか。

 西表島の生活もこの物語中を見る限り、近いものがあるのかなって・・・。
まぁ現実はこうはいかないし、人の中身も変われるものじゃないだろうけど
小さい頃からこれが普通だと思えば
テレビがなくてもお金がなくても
こういう生活でも苦もなく暮らしていけるのかもしれませんね。

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