これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

石持浅海「扉は閉ざされたまま」を読んで

2006年04月01日 17時45分24秒 | 読書
 2006年版「このミステリーがすごい」第2位ということで読んでみました。
図書館に予約したらあっという間に借りれたので
あまり人気がないのかなと思っていましたが
この悪い予感が当たってしまうとは・・・。

 殺人シーンが冒頭に示されて、
徐々に犯人が追い込まれていく「刑事コロンボ」形式のお話で
犯人の伏見の一人称で物語りは進んでいきます。
その犯人を追い詰めていくのは伏見の大学時代の友人の妹の碓氷優佳です。

 もうこの二人が嫌味ったらしいったらありゃしません。
二人だけが分かり合ってるみたいな描写が山ほど出てきて
他の人物はウスノロマヌケな感じで描かれていて
フィクションとはいえ気の毒になりました。

 特に探偵気取りの優佳は嫌な奴で、人が言った言葉の端々を集めて
「私はこれからこう推理したのよ、すごいでしょう。」
と言わんばかりにべらべらしゃべりまくり
周りの羨望を集めるというひどいやつです。

 本当に頭がいいのならこんなことは
別にひけらかさないだろうと思ってしまいました。
作者はこういう人物を魅力的な人物だと思っているのかな、
だとしたら深みがないなぁと失望です。
これで勘違いして優佳を主人公にシリーズ化しなきゃいいなぁと危惧しています。

 たぶん「このミス」に選ばれたのはトリックの崩し方とかに
あったと思うのですが、その他の部分がひどいものだから
そんなことはどうでもよくなって
早く終わってくれと飛ばして読みました。
 殺人の動機も「半落ち」を読んで思いついたような
「それで人を殺すか?」っていうとんでもないものだったし
いいとこなしでした。

 ラストの締めくくり方は嫌いではなかったのは皮肉なことですが
このまま「閉ざされたまま」でいて欲しかった作品です。

奥田英朗「ララピポ」を読んで

2006年03月30日 19時57分47秒 | 読書
 もう一週間前には読了していたのですが
のびのびになって今日になってしまいました。
6話からなる群像劇です。
1話ごとに主人公の一人称で物語がすすんでいきます。

 率直にいってあまり面白くなかったです。
文章の軽妙さは「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」と
大して変わらないのですが内容が風俗を扱っているせいか
あまり後味がよくありません。

 特に第3話の「LIGHT MY FIRE」は読んでいて
ちょっと気持ちが悪くなりました。
作者はしてやったり感があるかもしれませんが
あんまり深みが感じられない作品でした。
これ以上書くこともないので、たまには短く終わります。


酒井順子「負け犬の遠吠え」を読んで

2006年03月16日 20時15分53秒 | 読書
 珍しく2日連続でアクセス人気のないブックレビューです。
創刊されてから2年半、やっと読める日を迎えました。

 はじめの内はちょっと論理的で説明調の堅い文章かなって
感じましたが、中盤以降は酒井さんらしい
軽妙な語り口になっていたので楽しく読みました。

 世間的な「勝ち組」「負け組」を茶化す気分で
この題名を付けたような気もしますが
この「負け犬」という言葉が独り歩きして
それにひかれて読んだ人にはこの本が面白いと感じるかどうかは疑問です。
 空前のベストセラーになったわけですが
そもそもかなりターゲットが狭い部類の内容だと思うんですね。
男性はおろか、結婚している女性でさえも
酒井さんファン以外の人を容易に受け付けるものではないと思うんです。

 それで、そういう人たちがこの本を読んで
「何だ、売れているわりには面白く無いじゃん」
って思われるのじゃないかと心配になります。
 酒井さんの他の著書はもっと普遍的なテーマで
キラーパスのような鋭さが面白いので
これが実力だと思ってもらいたくないです。

 推論ですが酒井さん自身もこんなに話題になるのは予想外で
手放しでは喜んでいないんじゃないのかなぁ。
いい意味でB級な良さがあったのにこれだけメジャーになると
書きにくいんじゃないのかなぁと要らぬ心配をしてしまいます。

桐野夏生「アンボス☆ムンドス」を読んで

2006年03月15日 19時47分55秒 | 読書
 7つのお話の載った短編集です。
どの話もギトギトしています。
「ページ数も少なくて読みやすそうだわ」と
軽い気持ちで本書をとるのは止めたほうがいいと思います。
桐野ファンになると、このギトギト感が堪らないのですが・・・。

 自分的には「植林」という話の宮本真希が一番可哀想に感じました。
デブでブスで勉強もできないフリーターで性格もひん曲がっています。
彼女が主人公の長編小説でなくて良かったです。

 「愛ランド」も面白かったですけど、やっぱり
表題作の「アンボス☆ムンドス」が一番好きな作品です。
この話みたいに、人をおとしめるのって案外容易いものだなって感じます。
直接的に傷つけるのではなく、間接的にその人の急所をつくというか
よく考えたなぁと思います。

 この話に出てくるほどひどい娘はいなかったけど
自分が小学生だった時も
女子はくっきりとグループ分けされていましたね。
 自分がAのグループの子と親しげにしていると
Bのグループの子から案外露骨に「なに、こいつ」みたいな
態度をとられたこともありました。
特にあの時代は女子のほうが精神的にも肉体的にも大人ですからね、
色んな思惑が渦巻いていたのでしょう。

 それと話の舞台になった学校の地域は、いわゆる地元の人と
自動車工場の幹部が集う「社宅」の人の溝みたいなものも描かいていますが、
自分の地域にもこれと同じような光景が見られます。
 うちのほうでは「団地」「持ち家(一軒家・マンション)」「公務員住宅」
という大まかに3つに分かれていて
中学の成績上位10位までのうち、
「公務員住宅」の子が半数を占めます。

 残りが「持ち家」の子で、「団地」組は自分の知る限りは
何人もいなかったと思います。
 たしか学区で一番偏差値の高い都立高校へも
「団地」の子は一人もいないのをみて
これが現実なんだなぁと妙に納得したこともありました。

 昨日の夕刊に「所得差が教育格差につながりかねない」
っていう記事が載っていましたけど、
そんなの当たり前だろうと、
こんなことをわざわざ費用を掛けて調べていることに腹が立ちました。

 かといって「公務員住宅」の子たちのことは嫌いじゃなかったです。
いじめっ子や授業中うるさい子もいなかったし
「団地」組より真面目な子たちばかりで、これが育ちの違いかと思っていました。
 そこで自分はどこに所属していたかというと
おんぼろアパートに住んでいたので、どこにも分類されない
無所属派でした、悲しいけれど・・・。

島本理生「ナラタージュ」を読んで

2006年03月10日 20時28分04秒 | 読書
 今まで恋愛小説は読んだことありませんでした。
雑誌でこの本が紹介されていたので読んでみました。
以下はネタバレの部分があるので気をつけてください。

 200ページ位まではあんまり面白くなくて
やっぱり恋愛小説は合わないのかな、
なんて思いつつページを捲っていましたが
それからラストまでは一気に読破しました。
 読んだ後は気持ちが重くなってしまい
寝つきもよくなかったし、今日一日体がだるかったです。
それ位、物語に呑み込まれてしまいました。
小説を読んでこういう感覚になるのは初めてです。

 小野君という主人公の恋人が、あることをきっかけに
きつい態度をとるようになってしまい
あぁ、そんなこと言ったらダメだよ、ってつっこみを入れてましたが
翻って自分が付き合っている時に彼女に対して
この小野君と同じような言わなくていいことを言っていたなぁと
思い出されてきて、それがすごく気持ちを重くさせました。

 終盤に主人公の後輩がレイプされて、
その心境を手紙に記すシーンがあるのですがこれがまたきつい。
小説でレイプを持ち出すのは反則だなと基本的には思っていますが
それはひとまず置いといて、それゃこういう気持ちになるよなぁって
本当に思いました。
 カウンセリングとかして生きていかなくてはならないと励まされても
根本的な部分では壊れたものは治らないって感じます。

 また主人公の通っていた高校の葉山先生というのが主人公と
気持ちが惹かれあっているのですが、これがまた煮え切らない人で
途中まではうざったいなぁって思ってましたが
恋愛って理屈じゃなくてこういうあやふやで不安定なものだよな、
と妙に納得してしまいました。
 
 人間にとって最も不幸なことの一つに、お互いに本当に愛し合う相手と
二度と逢えないっていうことがあると、個人的に思っています。
死別よりもお互い生きているのに逢えないっていうのは
本当につらいだろうなぁと・・・

 作者はこの本を書いたのは大学在学中と巻末に書いてあって
驚きました。
確かに主人公も大学生だし、等身大の心情をつづっているのかと
思いますが、よくその年でこんなせつない小説が書けるなって
感心してしまいました。
 これを機に恋愛小説も読んでいこうかなぁって思っています。

三浦しをん「むかしのはなし」を読んで

2006年02月15日 19時40分10秒 | 読書
 ダカーポの今年面白かった本の特集で
紹介されていたので読みました。
この作者の三浦しをんさんは
「爆笑問題のススメ」のゲストだった時
結構面白い話をしていたので
それも加味して期待していました。

 かぐや姫や桃太郎などのいわゆる昔話をモチーフにした短編集ですが
必ずしも物語の中身が似通っている感じはしません。
難しい話ではないのでさくさく読めました。

 中々面白かったんですけどもう少しいけるかなっていう
もどかしさは感じました。
何が足りないかはよく分かりません。
でももうちょっとすると直木賞を取れるような
作家さんになりそうな予感はします。

 ところで地球に隕石が落ちて滅亡するので
宇宙で生活することになる話がのっているんですけど
自分はそこまでして生きたくないなぁって思いました。

 この物語中では国民に隕石が落下してくることを
政府が発表するのですが
これも自分なら教えてほしくありません。
 どうせ助からないし隕石が落ちる瞬間にはもう死んでしまうならば
何も知らないで不安を感じないで最期を迎えたいです。

 隠すべきでない情報(耐震偽装とか企業の不正とか)もたくさんありますが
あえて話さなくていい情報も結構あるような気がします。
例えば10年前の不景気になった、なんて情報はそれを知ることによって
本当に不景気なんだ、と国民が認識することで
よりその傾向に拍車がかかってしまう悪循環を招いてしまいます。

 景気なんて気分的なもので左右されるのだから
何でもかんでも正確に伝えることないんですよね。
「嘘から出た真」ではありませんが、こういうのは上手くだましてもらいたいです。

恩田陸「夜のピクニック」を読んで

2006年02月06日 19時46分43秒 | 読書
 2004年に発行された本ですが人気があるらしく
半年以上も待たされてようやく借りられました。
 内容に関して何の情報も知らずに借りたので
表紙みて学校ものだと気づいた時は「やっちゃったなぁ」って思いました。

 元来、こういう青春小説は苦手なのでつまんなかったら
途中で読むの止めようかと思った程でしたが
全部読みきりました。
この類の本の中では面白いほうでした。

 それも物語全体というより随所随所のセリフがよかったです。
自分も高校生の頃に読んでいたらもっと感情移入して
感動したかもしれません。
 残念ながらそこまで純真ではなくなってしまったので
「結局頭のいい奴たちの色恋事かよ」と
何度も頭の中をよぎりました。

 昨今のベストセラーの映画化の風潮をみれば
この小説もそうなる可能性は高いですね、
あまり予算をかけないで単館上映の形で。
 キャストは人気面からみて、貴子が本命、長澤まさみ
対抗、堀北真希あたりでしょうか。

秦建日子「推理小説」を読んで

2006年01月25日 14時28分13秒 | 読書
 現在放送中の「アンフェア」というドラマの原作本ということで
ドラマ自体は見てませんが読んでみました。
 一応ドラマの原作なので図書館で予約が多く入っていると思っていましたが
全然入っていなくてすぐに借りれたので拍子抜けしてしまいました。

 そんで読んでみるとこれがひどい。
トリックとか動機は人殺しの考えることだから
普通の人とは感覚も違っているだろうということで大目にみるとして
評論家の人の言い方を真似すると、何しろ人物像が浅すぎる。
 他の登場人物はともかく主人公の雪平くらいはもっと何とかできたのではないか、
フィクションとはいえ、これでは雪平が可哀想でした。

 そしてお得意の出てくる女性は揃いも揃ってみんな美女・・・
おまけに男性も美形か頭がキレるかのどっちかって
ドラマ化したくてしょうがなかったんだなぁと呆れました。

 実際作者はTVドラマのシナリオライターが本職らしく
巻末の作者紹介に「救命病棟24時」「HERO」など手掛けていて
小説家としてはこれがデビュー作と書かれていましたが
今後二度と小説は書かないほうがいいと切に思います。

 故野沢尚氏のような道を進んで行きたいのでしょうが
たぶん無理ではないかと思っています。
かといって野沢氏の作品が好きだったかといえば
そんなこともなくどっちかというと嫌いでしたが・・・
でもあんなに売れていたってことは
自分の気づかない何かがあったのでしょうね。

貫井徳郎「悪党たちは千里を走る」を読んで

2005年12月06日 21時44分54秒 | 読書
 あまり外れのなかった貫井氏ですが
この作品はどうでしょうか。
話的には好きな感じの内容ですが
最近ありがちなドラマ化を前提にしているような感じが
気になりました。

 まず巧という小学5年生の子供が出てくるのですが
これが間違いなく神木龍之介をイメージした役で
整った容姿で、利発そうで、頭も良くて、ちょっと大人びた面も持っていてみたいな
読んでみていただければ分かってもらえると思います。
その他には園田は荒川良々、菜摘子は米倉涼子、ジョンは宇梶剛士あたりか・・・。

 それに語り口も妙に軽妙で、トリックもわかりやすく
2時間ドラマや映画向きの話になっています。
コメディタッチが嫌いなわけではないけど
こういう作風ではなかっただけに残念です。

角田光代「この本が、世界に存在することに」を読んで

2005年11月29日 19時28分28秒 | 読書
 久々にブックレビューです。
この小説は「本」に纏わる物語が書かれています。
自分は本は図書館で借りることばかりなので
何か申し訳ない気持ちになってしまいました、
この本も借りて読みましたし・・・

 お金を出して買ってまでも、というセコイ気持ちもたぶんにありますが 
本ってものすごくかさばってスペースをとるので
せまい自室にはそんなに何冊も買って置いておけないという事情もあります。

 それはさておき9つの作品を収めてありますが
一番好きなのは「さがしもの」という作品です。
 その中の一節に「できごとより、考えのほうが何倍もこわいんだ」
っていう文があります。
例えば注射を打つ時の痛みより、それを実際に打つまでに抱く恐怖心が
こわかったりする感じです。

 自分を振り返ってみても、嫌なことをするのは苦痛なのは当然として
そのことをああでもない、こうでもないと考えることの方が
より苦痛ではないかと。
 あとこの本でも言っていることですけど、
どんなことでも結局は目先のことをひとつずつ片付けていくしか
ないんであって、それを黙々とこなしていく事が
嫌なことを嫌に感じない唯一の方法なのかもしれません。

 そうはいっても色々考えてしまうのが人間で
でもわき目もふらずに一つのことだけに集中できることができたら
それはそれは幸せな生き方だなと切に思います。
 

東野圭吾「容疑者Xの献身」を読んで

2005年11月10日 19時19分44秒 | 読書
 大学の助教授である湯川教授が事件の真相を
暴いていくといういささか非現実的な話です。

 今回はこの湯川教授の大学時代の同級生で
高校の数学教師の石神がこしらえたトリックを解いていくのが
話の中心です。
 数学ものといえば「博士の愛した数式」が有名ですが
読んでもさっぱりわからなかったので、この作品も不安でしたが
そんなに難しい話は出てこなかったのでよかったです。

 石神のとった行動に対しては様々な考え方があると思いますが
自分は概ね賛成できる行動でした。
大体本当の天才は常人と同じような思考回路なわけはなく
とんでもないことをしてもそれがおかしい行動にはならないですよね。
 そういったことを差し引いても、石神の「献身」ぶりは
なかなか感動させられます。

 登場人物で美里っていう子はいい子だけど靖子はどうもな・・・
まぁ現実の世界ではみんなこの人みたいなのかもしれませんけど
小説の人物として登場すると、
この恩知らずめ、って感じちゃいますね。

横山秀夫「震度0」を読んで

2005年10月31日 18時46分13秒 | 読書
 ページ数は300ページほどありましたけど
字が大きいので2日で読めました。
基本的に横山さんは短編のほうが面白いと思っていますけど
この作品は長編でも面白かったです。

 毎度毎度の警察内部のゴタゴタが書かれていますが
こういうのありそうで本当はそうはないんだろうなみたいな話です。
出てくる人たちもあぁこういう人いそうだなと一瞬思いますけど
ここまで類型的にわかりやすい人はいないだろうなぁと
思いました。

 ドラマではこういう向きの話や人物像は好まれるので
早晩どこかの局でドラマ化、もしくは映画化されるでしょうけど
個人的には2時間ドラマのほうが収まりはいいと思います。

 この時期になると「このミステリーはすごい」の発売が近く
この作品もたぶん上位にランクインされることでしょう。
発売されたら立ち読みしよう、と。
    

作家さんを分析してみました。

2005年09月22日 19時19分30秒 | 読書
 たまに読書レビューを書いていますが
今回は好きな(好きだった)作家さんをプロ野球選手に当てはめて
紹介したいと思います。
あくまで主観なので「全然ちがう!」と思われることもあると思いますが
ご了承ください。

桐野夏生―イチロー この人の作品はまずハズレがないです。
ご本人の風格もイチロー並みの大物ぶりです。

宮部みゆき―高橋由伸 いい成績を残しているほどイメージが強くない感じ。
あまり自分を出さないところも似ている。

東野圭吾―小笠原道大 ヒットもホームランも打てるがなぜか1番にはなれない。

恩田陸―斉藤和巳 いい作品はとことんいいが、だめな時は本当にだめ。
浮き沈み多し。

綾辻行人―伊藤智仁(元ヤクルト)ものすごい球を投げてくるが、いつ投げれるか分からない。

乃南アサ―西口文也 成績のわりには知名度が低いような気が・・・

綿谷りさ―近藤真市(元中日) ノーヒットノーランで華々しいデビューを飾ったが
その後低迷。同じ道を辿らなければいいですが・・・

赤川次郎―木田勇(元日ハム) デビューして始めのうちは良かったです。
でもそれ以降のゆるい作風はどうなんでしょう。

横山秀夫―谷佳智 いぶし銀の魅力です。間違っても一発(刑事もの以外)を
狙ってはいけません。

山本文緒―松井稼頭央 メジャー入り(結婚)してどうにも調子が出ないようです。

唯川恵―立浪和義 コンスタントに成績を残すけど
いまいちどこがすごいのか分かりにくい。

横山秀夫「ルパンの消息」を読んで

2005年09月20日 18時45分13秒 | 読書
 筆者が15年前に書いた処女作だそうです。
処女作らしく自分の持っているものを全て注ぎこもうという意欲が
溢れている感じで、盛りだくさんな内容になっているように感じました。

 話もトリックも面白くてスラスラ、ページが進みました。
ただ一つ許せないのが秋間幸子という婦警ですね。
他の小説家も犯しがちなことですが
美形で頭もキレて、っていう人物を出してしまいました。

 こういう人が出てくるとひいちゃうんですよね、またかよって・・・
美貌な人を出すなっていうんじゃなくて
わざわざ文で説明しなくていいって思うんですね。

 例えば乃南アサの小説に出てくる音道っていう婦警さんがいるんですけど
物語を読んでいけばこの人は絶対美形に違いないだろうと
読者のほうで勝手に想像するもんです。
その想像する楽しみを奪わないでもらいたいって思うんです。
魅力的な人物を出したい気持ちはわかりますが
そこは堪えてもらいたい所です。

 逆に推理小説では家の中の平面図とか地図とかは付録でつけてもらいたいです。
そうしないと文章を読んでいてもさっぱりわけが分からないので・・・

角田光代「対岸の彼女」を読んで

2005年09月18日 09時33分27秒 | 読書
 もういつ予約したのか忘れてしまいましたがやっと借りられました。
面白かったというより随所で共感できるようなエピソードがありました。

 学生時代の友達関係は脆いものっていうのは分かりました。
この本に書かれているようなある日突然無視されたりいじめられたり
ということはありませんでしたけど
ある種の力関係によって成り立っているなって感じることは多かったです。

 メジャースポーツ系(野球、サッカーなど)の固まりがヒエラルキーの頂点にいて
その他少数派が乱立する構図は男子生徒の典型です。
でもメジャースポーツのグループは互いに仲がそんなにいいわけではなくて
肩書きだけで集まっているので、卒業後は連絡も取り合わないだろうなぁ
っていう感じはしていました。

 同じ中学から一緒の高校に行った奴がいて、
そいつはサッカー部でいわゆる中心的な人物でした。
その彼と登校中一緒になったのでしゃべっていると
これまたバスケ部の超中心人物だったやつがやってきました。
すると自分はいないかのようにそのバスケの彼とずっとしゃべって行っちゃいました。
 あれは悲しかったな、彼からすれば悪気はなかっただろうけど
それだけに残酷というか現実をつきつけられた気がしました。

 たぶんこういうことがまれにあったから芸能人には憧れるのかもしれません。
だって芸能人になれば学生時代、頂点にいた人たちよりも
ヒエラルキーの上に行けるじゃないですか。
実質的にはそんなことでは上に立てないかもしれないけど
自分はそう信じています。

 よく芸能人で昔いじめにあっていたっていう人がいますよね、
あれって公言することで復讐しているんだと思うんですね。
 いじめたほうはただのおじさんやおばさんになったのに
自分より下にいた彼氏、彼女がテレビに出ているんですからね、
いじめを受けていたほうは痛快でしょうね、
じゃなきゃわざわざいじめられていたなんて言わないですよね。
自分もいじめられていたら、石にかじりついてでも芸能人になったのにな・・・

投票ボタン

blogram投票ボタン