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古事記あらすじ15

2019-12-02 07:11:06 | 古事記
内田英雄文 古事記あらすじ15

第五章大国主命

(十一)小さな神様

 大穴牟遅命は道を作ったり田畑をひらいたり、人々の病気を治したりなりなさいました。しかしひとりでなさるには、とても難しい仕事でした。

 そんなある日、御大(みお)の御岬(みさき)に立って海を眺めておいでになりましたところ、豆の殻の船をこいでいる親指ほどの小さなか神さまが、こちらに向かってくるのが見えました。

 命は海の中の神さまをひろいあげると、名前を尋ねました。しかし返事がありません。耳が聞こえないのか、口がきけないのかと命がおっしゃると、飛び跳ねて怒り出しました。

 命は誰かこの方の名前を知らないかと、そこら中に向かって仰いました。すると蛙が山田の案山子の久延毘古(くえびこ)が知っていると鳴きました。偉い学者の久延毘古は、この方は高天原の神産巣日神(かみむすびのかみ)のお子様で、少名毘古那命(すくなびこなのみこと)様ですと教えて下さいました。

 慌てて高天原にのぼって行った大穴牟遅命に神産巣日神は、体は小さいがなかなか知恵のある子なので、兄弟になって二人で出雲の国をおひらき下さいと仰いました。

(十二)常世の国(とこよのくに)へ

 お二人は一緒に仕事をなさることになりました。ある時お二人はどちらが兄になるか我慢比べをして、少名毘古那命が勝ちました。

 それから大穴牟遅命は少名毘古命をいつも肩に乗せて歩くようになりました。この小さな神さまは本当にりこうで、何か用事があると弟の大穴牟遅命の耳もとで命令いたします。

 谷間から温泉を掘り当てたり、病気の直る薬草を摘んだり、ため池を作ったりと、人々のためになることばかりでした。おかげで出雲の国はますます立派になりました。

 二人が最後に淡島(あわじま)という島においでになったときです。少名毘古那命はこれまでの大穴牟遅命の働きに感謝し、自分の治めなければならい「常世国(とこよのくに)に行くことを告げました。

 そして大穴牟遅命に、あなたの力はもう大物主神(おおものぬしかみ)という力のまで成長したので、後の仕事は一人で立派に成し遂げられるとお仰せになり、旅立っていきました。

 人々はみな幸せになり、大穴牟遅命を尊んで、大きな国の主だというので、大国主命とおよびするようになりました。


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