草むしりしながら

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草むしりの「幼年時代」その3

2018-11-18 12:59:21 | 草むしりの幼年時代
 草むしりの「幼年時代」その3

 食い物の恨み
 
 家の中で一番涼しいのは仏壇のある奥座敷で、今年の夏はここでブログを書いていた。

 ところで子供の頃私はとろろ汁が嫌いで、夕飯がとろろの日にはだしを取った後の椎茸をおかずにご飯を食べていた。ある時それが三日目も続いて、さすがに母が可哀そうに思ったのか、卵焼きを作ってくれた。喜んで食べようとしたら、姉に取られてしまった。

 「ご飯のおかずを好き嫌いする方が悪い。一人で卵焼きなど食べる方がおかしい」姉はそういうと卵焼きをムシャムシャと食べ、とろろ飯をずるずると平らげた。スカスカの椎茸をかじりながら悔し泣きに泣いた、あの日のことを忘れることができない。

 子供の頃の思い出には必ず姉が出て来る。夜中に目が覚めると、仏壇の辺りが明るい。怖くて仏壇の方を見ることも出来ずに、そのまま蒲団を被って寝てしまった。翌朝起きると姉が仏壇に火の玉が出たと騒いでいた。

 姉もあれを見ていたのだ。ちょうどお盆で、こんな風に寝ていて仏壇が明るくって、枕元に女の人が立って、何か言っている……。

 えっ、女の人が立っている……。

 「あんたこんなところで寝たら風邪ひくよ」驚いて目を覚ますと姉が枕元に立っていた。ああ、怖かった……。

 姉さん。この部屋で寝ているときには、枕もとに立たないでくれる。卵焼きのことは許してあげるから。

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