規則に違反することは悪い。
間違いないと思う。どんな弁明もできないし謝罪するしかない。厳格に規則として規定が存在し、これに違反しているのである。しかし、規則違反には悪意による確信的な故意と、悪意によらない無意識の錯誤がある。無意識の錯誤こそ人間の本質から出たもので正に真実であるという言い方もあるが、言われた側からするとそれはちょっと酷だと思う。
規則違反論議に入る前に、善悪判断が必要だと思う。
規則は本来悪いことを取り締まるためのものである。悪いことが発生してこれを取り締まる規則がなかったために、標準の準拠を示したものが規則であろう。悪くもないのに規則に違反しているだけで「悪い」と言われるのは本末転倒であるが、この頃規則に反しているだけで強烈な批判と糾弾をする人達が増加している。規則違反を言う前に、何が悪いのか、なぜ悪いのか、どんな悪いことをしているのか、具体的な悪影響は何なのかを明確にするのが先だと思う。
気をつけてじっくりと考えて見ると、
自分の普段の行動にも規則違反がたくさんあると思う。もしかしたら自分の知らない規則もあるだろうし、規則の解釈が違っているかもしれない。それでも、自分なりに悪いことはしないという信念があれば社会生活にそれほど問題はない。時々行き違いはあるかもしれないが、すべての規則を理解して、すべての人と規則どおりに社会生活するのも無理な話である。
サッカーなどの試合で、審判がルール違反を無視する場合がある。
違反のために試合を中断するよりも、そのまま続行した方が試合の流れを妨げないし、違反をされた側が不利にならないようにアドバンテージを与えているのである。これを厳密にルールを適用したのでは大変な阻害事項になってしまうし逆に悪用されてしまう。確かに違反は違反であるが、その採否の判断は審判に任されているし、監督も選手も諒解している。
規則違反をあえて取り立てて非難する人は、
相手の行動を故意に妨害しようとしている魂胆が見え見えである。よく考えて対処しないと足の引っ張り合いになってしまう。規則違反をしたのが悪いのではなくて、重大な悪い事実があってそれが規則違反なので規則に基づいて糾弾するのである。もっと言うとたとえ規則がなくても重大な悪い事実については勇気を持って徹底して糾弾しなければならないのである。規則がなければ規則を作るくらいの気概が必要である。
揚げ足取りという行為も嫌がらせの手段として存在する。
すべての言論が完全に非難を受けないという人の主張はたぶん中身の何もない内容の言論であろう。大いに非難を受けるような言論を目指さなければならない。そして正当な非難に対しては大いに反論しなければならない。ほんの些細な失言に非難を受けてその対応に右往左往しているようでは言論で勝負している人間としては器量が小さいと思わざるを得ない。
真理は与えられるものではなく自ら検証するものである。
規則違反があったら、本当に悪影響のある犯罪行為なのかどうかは自ら検証しなければならない。規則に表現されている一言一句から何が善で何が悪かと解釈することは現実に目をつむった観念論に陥る恐れがあるし、局部に執着した手段が目的化したやり方でもある。反対に規則にさえ違反しなければ何でもできるという世界を拡大することでもある。
非核三原則を掲げているから一切の核論議を許さないのもおかしい。
非核三原則を決定したのは30年以上前であり、その当時から国際情勢や環境は大きく変化している。本来であればずっと継続的に核論議をやっていなければならなかったのであり、本当に非核がいいのかどうかを検証すべきだったのである。すでに結論は出ていると思うのは核論議を不毛のものにしてしまうし、核保有国の理念を理解しようともせず日本だけが世界から取り残されてしまう。
憲法問題も同じである。
平和憲法があるから日本が平和だったのではなく、現実的には日米安全保障条約があったから平和が保ててきたのである。今後も永久的に日米安保が有効に機能するかどうかは疑問であり、国連があるから世界平和が保たれている訳でもない。常に現実的なものの見方でどうあるべきかを継続的に検証しなければならない。その結果が日本の将来を決めてゆく。間違っても過去に逆戻りしているのではなく将来に向かって発展しているし、過去は遺物に過ぎない。
規則化すれば目的を達成し完結したと思うのは間違いである。
規則はあくまで標準の手続きであり、細部は臨機応変に変わって行くし、規則そのものも時代の変化とともに見直さなければならない。規則を決める前に、まずは目の前の問題を適正に処理することを考えなければならない。処理さえ適正であればこの結果を反映して規則も変わって行く。規則を作ることそのものが目的ではないのである。規則は過去の経験を積み重ねた標準的な申し合わせ事項に過ぎないし、それ以上の細かい規則をいちいち作ることは無駄以外の何物でもない。
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