あなたは宇宙人です。

宇宙人というと、異次元の世界の自分とは関係ない存在だと誰でも思っている。

　しかし、よく考えると、自分も宇宙人だということに気づく。あなたも宇宙人なんです。宇宙はあなたを含んだ無限空間に広がっているんです。時間的に言うと、歴史上の人物の話をすると、自分とは関係ない存在だと思ってしまうが、あなたも確実に歴史上の人物で、今の歴史を刻み続けている直接の当本人です。意外とこんな感覚は忘れられている気がします。

自分の外の世界と自分のうちの世界を完全に分離して考える習慣が我々に染み付いている。

　外の世界との関係は、自分の中に取り込んだものに限られているし、取り込まれなかったものは自分の世界にはない関係ないものなってしまう。自分自身もよく解っていないが、外の世界についてはもっと解っていないし、解らないことだらけである。それなのに、我々は解ったような気になって日々の生活を暮らしている。自分で理解できる事、自分で認識できる事、自分で了解できることの世界で生きている。

世の中は解らない事ばかりだと言う原点に戻って考える事も重要だと思う。

　基本的には何も理解できていないし、認識できていないし、了解できない部分は切り捨てられている。自分の都合の良いように理解し、認識し、了解している。そこの基本を再度振り返ってみる必要がある。そして、解らないけれども自分で判断して行動しなければならないのである。それが自分の歴史を刻むこととなる。周囲の状況から全てを理解したつもりになって断定的に行動することは間違いの元である。完全なものは存在しないのであり、毎日が冒険と挑戦の繰り返しであり、試行錯誤の連続なのである。理解したという思い込みはその後の迅速な対応に齟齬をきたすだけである。

反対に、解らない事ばかりだと思えば気分も楽になる。

　判断や決心も柔軟にできるし、その時点での最良策だと思えば、周囲の状況が変われば決心変更も当然のこととなる。ただし、決心したのは自分である事実は変わらないし、その責任は自分にあることは免れない。完全に理解したと思い込みの激しい人は、自分で決心しないし、責任も回避して、周囲の誰か、何かに責任を転嫁してしまう。通常は何かの事実であり、常識であり、慣習であり、大衆の意見であり、有識者の意見であり、歴史の流れであり、回避不能な災難である。これらを組み合わせて動かない事実を作り上げて、解りやすい考え方をもって思い込みの世界に入り込む。

反省とは、自分の決心を変更することでもある。

　自分の前言を撤廃して、現時点での周囲の状況に合致した決心に変更するための過程が反省でもある。決心変更が悪いのではなく、何故決心変更しなければならないのかを明確に説明できないことが悪いのであり、決心変更の時機を逃してしまい、対策がなされなかった事が悪いのである。世の中が解らないことばかりだと言う原点に立てば、決心変更も必要なことであり、それだけの度量がなければならないのも当然である。責任とは説明責任であり、過去の約束をそのまま遵守することではないと思う。自己の信念を貫徹するための決心変更でもあり、その説明責任が果たせればその人は大いなる信頼を獲得できる。

この頃のマスコミの報道を見ていると、立場が明確でない気がする。

　個人として、国民として、世界人として、宇宙人として情報発信しなければならない。これらの調和を図ることが重要であって、同じ立場での意見ばかりに偏向すると思い込みの激しい統合性を欠いた方向に牽引してしまう。通常、マスコミの発信する情報は個人としての立場で発信される。個人に向けて発信しているので当然といえば当然だが、国民として、世界人として、宇宙人としての視点から情報発信するのも重要だし、これによって冷静で客観的な判断が可能になると思う。

個人は個人の世界に閉じこもる傾向にある。

　国民という自覚に乏しいし、世界人という自覚はさらに乏しいし、宇宙人という感覚は皆無に近い。それでも、国民として、世界人として、宇宙人としての世界に広がりを持つ考え方を実践してゆかねばならないと思う。情報を読み取る時、果たしてどの立場で発信されているのかを判断する必要があるし、情報に基づいて自分で決心する時も、どの立場で決心しているのかを明確にする必要がある。いずれも情報を取捨選択するのも自分だし、判断・決心するのも自分だし、その責任も自分である。たぶん、個人→国民→世界人→宇宙人と進んでゆくにつれてより真実に近づいてゆくのだろうし、かといってひとつの立場だけで思い込みの世界にはいることも危険である。一番大切なのはやはり個人なのであり、個人が抹消されては意味がない。バランスと調和が大切なんだろう。