オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

老化の体の錆の仕業

2009年05月03日 | Weblog

昔腱鞘炎になった事がある。

 左手がしびれてむくんだ状態で思うように指が曲がらない。最初は背中の肩胛骨の裏の痛みから始まった。周りでは五十肩と言う人もいたが、運動をしてもマッサージしてもストレッチをしてもあまり効き目がなかった。慢性的な肩凝りの症状を呈したが、腕が上がらないわけでもなく運動障害があるわけでもないので気にしないで放っておいたら知らない内に治ってしまった。次は左肩の上腕の筋肉がしびれるようになった。そして最後にこの症状である。3ヶ月くらいこの一連の症状に悩まされ、特に朝起きた時が最もひどく、左手が握れないほどになった。左手の小指は曲げた状態から元に戻らなくなり、無理に戻すと痛みを伴い、バネ仕掛けのようなぎこちない動きをする。

整形外科の医者に行ったら「リウマチか痛風です」と言われた。

 とりあえず左手のレントゲン写真を撮って血液検査をして、結果が出るまでリウマチの軽い薬の処方箋をくれたが、私は初診の問診だけで処方した薬を飲むつもりにならず、症状も我慢できないほどでもないので薬局には最初から行かなかったし結果として服用しなかった。一週間後検査の結果を聞きに行ったらリウマチも痛風も一切関係ない事が判明した。そして、その先生は専門が違うので手の専門の先生を紹介してくれた。それだったら最初からそうしてもらえれば良かったのにと内心不満たらたらであった。まあ専門外でいい加減な治療をしてもらうよりもましではあるが・・・。

そう言えば、私の父も昔左手のしびれを訴えていたのを思い出した。

 遺伝とは恐ろしいものである。似ないでいいものまで似てしまう厄介なものである。私と同じくらいの年齢で父が左手を右手で癖のようにさすっているのを記憶している。早速父に電話してその時の病状を参考のために聞いてみたら、「原因は解らなかったがいつの間にか治って今は何ともない」という答えであった。ひとまず安心である。どういうわけか父と私は心身ともにいろんな部分で似たところがあり、他山の石として大いに参考にさしてもらっている。私も長生きしたいので是非父にも長生きしてもらいたいと希っているこの頃であり、親孝行に専念しているつもりである。目標旭寿!(ちなみに旭寿とは98歳のことです。漢字と数字を見比べてよぉく考えてみて下さい)

数日後、くだんの手の専門の先生に受診したら「腱鞘炎です」と言われた。

 「原因は何ですか?」と尋ねたら、「解りませんが良くあることです」と言うことであった。自分としては、食生活か、最近始めたゴルフか、暇つぶしに弾いているギターか、老化現象か、などと類推していたが、先生は特定しなかったし、これと言った直接の原因はないと言うことであった。左手を休養させることが大事だと言うことで、リハビリのためのストレッチも意味がないとのことであった。当分はじっとして治るまで待つしかないようである。

「腱鞘炎」という言葉は良く聞くが、考えてみると腱の鞘の炎症である。

 指を動かす腱は管状の鞘(さや)の中を通っているのである。まるで自転車のブレーキワイヤそのものの構造になっている。この腱の鞘が炎症を起こすと腱がひっかかってスムーズに動かなくなる。複雑で精密な動きをする手の指も原理を証せば簡単な構造になっているんだなあと再認識した次第である。私にとっては左手が思うように動かないことは大問題であるが、先生にとっては症状としては軽い方の日常茶飯事の病状であるようで、特に関心を持つわけでもなく、淡々と流れ作業的に治療を終えた。指の付け根に注射を打ち、しびれを直す薬を処方してくれた。

注射を打ったあと、会計を済まして薬局で薬をもらっていると、

 注射を打った指がバンバンに腫れて感覚が全くない。恐くなってもう一度診察室に戻って聞いてみると、「問題ありません、二時間ほどで腫れも引きます」と言うことであったが、患者側としては大問題であり、何かあったのではと心配になって当然である。是非この言葉は注射を打った直後に言ってもらいたかったものである。医者や看護婦が正常と思っていることと患者が正常と思っていることには大きな差がある。この差を埋めるのは親切丁寧な説明しかない。インフォームドコンセントなどと難しい言葉を使う前に私は病院はサービス機関であるべきだと常々思い続けている。

ご多分に漏れずこの病院も待たされる。

 たった5分か10分の診断のために1時間以上ひどいときは2時間近く待たされる。待たされるくらい繁盛しているのは信用の証かも知れないが、待たされる患者の負担を軽減する努力を少しはしたらどうかと思う。例えば、時間予約制にするとか、およその待ち時間を案内するとか、番号制にして呼び出しを番号表示するとか、事務処理を迅速にする方法を考えるとか、いろいろあると思う。効率化すれば事務にかかる人件費も半分以上節約できるのではないかと思った。二度目からは暇つぶしのためにMDを持参したが、ヘッドホンで聴いていると呼び出しの声が聞こえないしいつ呼び出されるかわからないので呼び出しがある度につけたりはずしたりを繰り返す苦痛の時間を過ごすことになる。

1時間の時給はアルバイトでも700円から800円である。

 ただぼーっとして待たされている人の事を考えると、50人待っているとして1時間で3.5万円から4万円、1日8時間で約30万円の無駄を強いていることになる。そんな権限は病院側にはない。少しでも無駄を省くサービスを考えるべきであると思う。その解決策は町中のサービス機関を見てみればいくらでも見つかるはずである。要は改善するつもりもないし、改善しようと言う発想も生まれないのであろう。改善のない組織は現状維持することはできないで悪化するばかりである。しかも時が経てば立つほど悪化は最高潮に達する。あちこちで発生している医療ミスの根源は意外にこんなところにあるのかも知れない。

インターネットで「腱鞘炎」を検索したらピッタリのがあった。

 音楽家の手指障害( http://plaza.harmonix.ne.jp/~acuthera/music.htm )というホームページで、病院の先生に聞くよりも詳しくかつ体験に基づいて書かれており、とても参考になった。どうやら老化で身体に錆が出てきたのとギター演奏が原因のようである。背中と肩はゴルフの練習も遠因かも知れない。それにしても単なる腱鞘炎で大事に至らなかったことが幸いであるし、「リウマチ」や「痛風」などという訳の解らない難病でなくて本当に良かったと胸をなで下ろしている。


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