宇ゐの里山徒然記

町屋暮らしの後、2013年10月北山杉の里、右京区京北町に移り住みました。
周辺の紹介と暮らしの事など綴ります。

厚物の大菊

2014年11月04日 | 季節
毎年秋恒例の菊の展示。
下京区の和装小物問屋さんで訪れる業者さんへ堂々のお披露目となっている。

この菊達は11月初めにピークが来るよう狙って仕立てられているそうだ。
10月末頃に一番しっかり巻いた状態があったとのことだが
月初の売り出し時期にはまだまだその雄姿が健在。

種類は“厚物(アツモノ)”と言われ、直径が18㎝を越える。
子供の頭ほどはある立派な大きさ(@_@;)
威風堂々という言葉がぴったりの姿である。




そして代表的な三本仕立。
花の高さが少しずつ違って天地人の世界観を表しているそうである。

花が終わると一端切り落とされるが、
新芽を出させて寒肥えなどで越冬ののち、芽を挿木して新しい仕立ての開始となる。
その間、育てる土を探し、腐葉土を作るための落葉を集めるなど
育てる人は一年をほぼこの為に費やすそうだ。










↑万年筆がこの大きさ。


この厚物の大菊はその品種の名前も姿同様かなりどっしりとしている。

白が「国華越山」 黄は「(石川)金山」 赤は「国華強大」

大菊の他の種類の名前も

「国華宝亀」「国華深紅」「国華おたけび」「国華の静」「国華崇高」、、、、

スゴい名前が多く、やはり厚物の菊ならでは。

“国華”の名前の元は大阪の貝塚市にある『国華園』。

今は巨大な規模で花や野菜の苗などを扱っているが元はもちろん大菊の品種改良育成で

観賞用大菊の国内のシェアもかなりのもの。

今は「日本菊花全国大会」が和泉市の国華園本店で開催中(11/23まで)


    




    


能楽に『菊慈童』というものがある。

解説を拾うと

『菊花の咲き乱れる神仙境を舞台に、菊の花のめでたさと、
その菊が水に滴り不老不死の薬になった由来を語り、
永遠の美少年の長寿を寿ぐ曲。
リズミカルな謡に乗って、美少年が演ずる舞は、軽快で颯爽としており
この曲を魅力あるものにしている。華やかな舞尽くしの能である。』

とあった。
(日本語と日本文化:能楽の世界 http://japanese.hix05.com/Noh/noh.index.html “菊慈童”より抜粋 )

この菊と会ったことで、“菊慈童”も鑑賞してみたい演目になった。



菊を杯に浮かべてお酒を飲んだり、菊のお浸しや酢の物を食べたり
菊湯に入ったり、枕に花びらを詰めて香りを楽しんだり
そして乾燥させると薬としても効果がある。

不老長寿を願う能舞台、そして実際に生活にも役に立つ菊。
写真の菊は鑑賞菊だが、眺めて楽しむだけでもリラックス効果はある。
“自然”と“人の丹精”とが作り出す見事なまでの芸術に浸ることもできる。


ただ、この時期のこの姿を見る度にあ~もう1年が経ったとも感じる(´ω`;)
桜にしてもしかりなのだが。。。


来年2015年の重陽の節句は10月21日。





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