皇族に一時金が支払われる機会は二つ。
皇室経済法第六条第六項皇族が初めて独立の生計を営む際に支出する一時金額による皇族費は、独立の生計を営む皇族について算出する年額の二倍に相当する額の金額とする。皇室経済法第六条第七項皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額による皇族費は、左の各号に掲げる額を超えない範囲内において、皇室経済会議の議を経て定める金額とする。
一 皇室典範第十一条、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額
二 皇室典範第十三条の規定により皇族の身分を離れる者については、第三項及び第五項の規定により算出する年額の十倍に相当する額。この場合において、成年に達した皇族は、独立の生計を営む皇族とみなす。
一時金は二つの機会に支払われます。
*皇族が初めて独立の生計を営む時。
*皇族が皇族の身分を離れる時。
支払い金額を算定する基準になるのが独立の生計を営む皇族に支給される皇族費です。
算定は「独立の生計を営む親王」の年額、すなわち定額を基準として「の2分の1」「の7分の1」というように、身分に応じてだんだん少なくなって行く。
で、ここです。
一 皇室典範第十一条、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額
皇室典範第十一条年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
② 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。第十四条 皇族以外の女子で親王妃又は王妃となつた者が、その夫を失つたときは、その意思により、皇族の身分を離れることができる。
② 前項の者が、その夫を失つたときは、同項による場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。
③ 第一項の者は、離婚したときは、皇族の身分を離れる。
④ 第一項及び前項の規定は、前条の他の皇族と婚姻した女子に、これを準用する。
眞子内親王は第十二条の規定にしたがって、皇族の身分を離れるわけですが、一時金は約1億5千万円といわれていますね。
これは、独立の生計を営む内親王の皇族費 定額の二分の一 (1525万円)の十倍の金額ということでしょう。
皇室経済法第六条第7項第二号には
成年に達した皇族は、独立の生計を営む皇族とみなす。
という条文があります。未婚の皇族は独立の生計を営まない皇族とみなしているが、皇族の身分を離れて行くときは独立の生計を営んでいるものとして、一時金を支払うわけですね。
この場合も眞子内親王と同様に女性皇族には独立の生計を営む内親王の年額(定額の2分の1)を基準として、身分に応じた額が支払われるのでしょう。
独立の生計を営む内親王という存在は、一時金の算定のためだけに、想定された存在なのでしょうか?
そうではないでしょう。御降嫁等、皇室の身分を離れる女性皇族の一時金の算定は、「独立の生計を営む親王」の年額を基準にしても規定することができます。
一時金を計算するためだけなら、独立の生計を営む内親王内親王という想定は必要ありません。
でも、そうしていない。
基準は「独立の生計を営む皇族」
眞子内親王の一時金は独立の生計を営む内親王の年額から算出されているのでしょう。どうみてもね。
独立の生計を営む内親王という存在はあり得る存在として規定されているとしか思えないのですが、どうでしょうかね。