西村宮内庁長官が発した”御懸念”発言が騒動を巻き起こしている。
文春は”御懸念”を「陛下に五輪中止の重い御心あり」と読んで、大仰に官邸を批判したが、ポストセブンは「国民に寄り添う姿を見せたかったのでしょう。」と軽くいなす。
どうしてこんなに大騒ぎになるかといえば、陛下の”御懸念”の内容が美しい玉虫色で見る方向でどんな色にも見えるからです。今上は誕生日会見でも、国民が固唾を飲んで待っていた眞子内親王の結婚問題でも玉虫色の発言をされたように、明確な発言はしない方針なのでしょう。玉虫色発言は陛下ご自身が掴んだ身の処し方というより、「チーム天皇」が採っている方針でしょうね。
さすが周囲を外務省あがりで固めているだけあって、陛下に<内容があるように見せかけて実は具体的なことは何も無い>発言をさせることで陛下の立場を守る手法には手慣れたものを感じます。
秋篠宮殿下のようにうっかりと「結婚は認める。」と言ってしまっては、後で引っ込みが付かなくなりますものね。
ポストセブンの記事は、西村宮内庁長官の定例記者会見の場の雰囲気を伝えている部分が興味深い。
「陛下が五輪開催にご懸念」 絶妙なタイミングだった宮内庁長官の発言
7/1(木) 16:05配信 NEWSポストセブン
抜粋
「国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁をお務めになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします」──。6月24日、宮内庁の西村泰彦長官は定例記者会見で、突然、しかし淡々と語った。ざわついたのは、宮内庁担当記者たちだ。気づけば1年以上、天皇陛下から五輪についてのおことばを聞く機会がなかった。記者が発言の意図を改めて尋ねると、西村長官は「私の拝察です」とキッパリ。
狐につままれた形となった担当記者は、「仮に拝察だとしても、これが報道されるとかなり影響があると思うが、そのまま発信していいのか?」と、問うのが精いっぱい。西村長官は動じない。「はい。オンレコ(公表してよい)と認識しています」と答える。
*下線部分どうとでも取れる玉虫発言。
「影響がある、そのまま発信してもよいのか。」と質問した記者は、「陛下は五輪中止を求めておられる。」と受け止めたのでしょう。
記者もそこですかさず、ハッキリと「では、陛下は五輪中止を望んでおられるのか。」と質問すれば良かったのにね。何故、質問しなかったのでしょうね。
担当記者は「軽い気持ちではない?」と再々度確認。西村長官は「陛下はそういうふうにお考えではないかと、私は本当にそう思っています」と返答。あまりの堂々たる態度に、宮内庁担当の記者らは、それ以上これについて問うことをやめた──。
ほらほら!そうやって陛下発言内容を確認せず、憶測したままで質問を重ねるから行き違いが起きるのでしょう。
「軽い気持ちではない?」と問うた記者は「五輪中止まで考えておられるのか?」という意味で質問したのでしょうが、西村長官は「陛下は常々深ーく、重ーく国民を案じておられれます。」と言いたかっただけだと思いますよ。
「米紙『ワシントン・ポスト』は、“東京五輪は天皇から重大な不信任票を投じられた”と報じました」(全国紙記者)
海の向こうの報道を、事情をよく知らない海外メディアの見当違いとは言い切れない。
いやいや、それは日本の報道が「陛下は五輪中止を望んでおられる。」と一斉に報道したからでしょう。
「そもそも、憲法上、天皇に政治的発言は許されません。だからこそ、これまでも天皇の踏み込んだ考えを表明する際には、直接ではなく、宮内庁長官がその内心を推察して“代弁”する形がしばしば取られてきました。今回もそうであったと考えるのが自然です」(宮内庁関係者)
確かにそうではありましょうが、代弁された言葉が玉虫色では間違いの元ですわね。
曖昧な言葉を投げかけて、相手が勝手に自分に都合良く解釈するのを待つ。という手法は、詐欺師がよく採る狡い手法です。
国と国が自国の利益を争う外交の場では、玉虫色発言で切り抜けるという手法も有りでしょうが、天皇が国民に向けて御自分を守るために狡い玉虫色発言を繰り返すというのはいかがなものでしょうか。
令和の陛下の国民に対する誠意が疑わしくなります。
宮内庁関係者
陛下は、開催が近づく東京五輪について沈黙を貫かれてきた。コロナ禍以前の2019年の誕生日会見では《大変楽しみにしております》と述べられながら、2020年2021年の誕生日会見では話題にされなかったのだ。なぜ、このタイミングで表明されたのだろうか。 「いや、絶妙なタイミングだったと思いますよ」
「菅総理は、6月中旬のG7サミットで各国首脳による開催支持を取り付け、開催を決定的なものにしました。もしも、それ以前の、開催か中止かの議論が揺れている際に今回の発言があれば、『天皇が中止に誘導した。これは政治的発言だ』との批判が今回よりも確実に高まっていたでしょう。しかし、次の長官会見を待っていたら、開催の直前すぎて、遅きに逸した印象を与えかねません。だから、“絶妙”だったんです」
東京五輪とパラリンピックの名誉総裁として開会宣言のおことばを述べる陛下は、ここしかないというタイミングで、感染拡大を不安がる「国民とともにある」ことを示されたのだ。
「開会宣言には開催を“祝う”ニュアンスが含まれている。国民の間から根強い開催反対の声があがる中で、陛下は開催を祝わなくてはならない立場なのです。一方で、ウイルスの感染拡大を誰よりも強く危惧されてきたのが陛下でもある。自らが祝って開催を宣言した大会によって、国民の間に感染が広がることを強く憂慮されているのでしょう」
陛下は五輪中止など露ほども考えていない。
開会宣言を述べる前に、コロナで苦しむ国民への配慮を見せておかなくては、感染拡大が起きた場合、国民からの反発の矛先が陛下にも及んでしまうかもしれない。・・・ということで「チーム天皇」一同相談の上、西村宮内庁長官を通じて”御懸念”を発表させたのだろうと私も思います。
香淳皇后例祭の儀へ向かわれる陛下。
後部座席から顔を突き出していた頃に比べると天皇らしい風格が感じられますが。
各国の王族も参加する国際舞台での講演は不安げで弱々しい。
老眼が進んでおられるのか、身を乗り出し、時折眼を細めてプロンプターを読まれる陛下。
オリンピックの開催宣言ではどのような御姿を拝見できるのか、楽しみにしています。