この数日間眠りについていたウイが、目を覚ました途端、騒々しくなった。
部屋の中で窓が開く音がしたので、ミオを先に中へ入れた。
多分、彼女が一番ウイのことで心を痛めていただろうし、その健気な様は、
一人で全てを背負っているかのようだったから、まず肩の荷を降ろすためには
ウイにあわせることが、効果的だろうと思ったからだが。
なんと。
扉が閉まってからわずかのうちにミオの悲鳴が聞こえ、慌てて自分達も後に続いた。
扉の向こうでは、ウイとミオが窓から落ちるの落ちないのと、大騒ぎをしていた。
なぜそうなるか、はともかく。
それを寸前で救出して、なんとか宥め落ち着かせたあと。
ウイがミオをつれて外へ出て行ってしまった。
何気なくあたりをつけて窓の外を見ていると、案の定、ウイの姿が見え、
こちらに向かって手を振ってくるので、了解のしるしに手を振り返す。
「うん、今度は大丈夫そうだ」
ヒロが、二人の中庭にいる様子を窓際から確かめて、ミカのほうを振り返ると。
「みろ、やっぱり何でもないんじゃねーか」
と、ミカが、一連の騒動に虚脱したように、ベッドへと上体を倒したところだった。
いつもきちんとしている彼には珍しい。
(身奇麗にして寝支度を整えてからでないと、“聖域”には踏み込まないミカが)
などと考え、やはりミカも、ミオと同じくらいには張り詰めていたのだろうと思える。
ただそれを、ミカは表に出さないだけだ。
いや、案外自分でも気づいていないのかもしれない、とも思う。
ウイは大丈夫だ、と口にした以上、ミカはそれを確信しているということだ。
ただし、感情ではなく、理詰めで。
大丈夫だと判っているのに不安になる必要はない。だから自分に不安はない、と
(ヒロから見れば、それは妄信じゃないのか、と思えるほど)自律しているのだろう。
何に対しても真っ直ぐすぎるところが、ミカの扱いにくいところだと思う。
だが、先刻はそのミカの言葉に救われたのだ。
それに思い至って、まだ伝えていなかったことを、口にした。
「ありがとうな」
言えば、ミカは上体を投げ出したまま、天井に目を向けてこちらを見ようともしない。
「なにが」
ただ短い、先を促すための一言が返ってくる。
「さっき、ミオちゃんがガナンに行くって言ってたのを、止めてくれて」
ヒロには止められなかった。
ミオの熱い感情に引きずられて。己の中にある、わずかな罪悪感に眩まされて。
感傷的になっている、といわれれば、確かに正しい。
冷静に考えれば、ミオがそれを叶えるかどうかはともかく、
何百年も眠るようにしてこの世界にとどまることを、ウイが許すはずもないのだ。
今なら判る。ヒロにしても、それは望ましいことではなかった。
そう言うヒロの、懺悔にも似た告白を黙って聞いていたミカが、ずいぶんな間を置いて
だから、と身体を起こした。
「お前にはできない、って、言っただろう」
そう言って、まっすぐヒロを見る。
そのことが、何を指しているのかも判らず、ヒロはただ黙ってミカの言葉を待つ。
ヒロからの否応がないことに、ミカが再び、口を開いた。
「お前には出来ない役割だった。だから俺がそうした。それだけだ」
だから礼はいらない、と言う。
ミカはいつもそうだ。
人間味にかける、と言ってもいい。だからミカは、人付き合いができない。
人と人との交流は、そんな理論だけでは成り立たないのではないか?
「じゃあ最初からミオちゃんがミカに打ち明けてたらどうした?」
ミカにも少しはミオの心情を汲んでやる、ということができたのでは?、とヒロが提案しても。
「それはない」
と、即座に否定する。
あーもー、とヒロが頭を抱えたくなったほどに、真っ直ぐで扱いづらいことこの上ない。
だが、
「あいつは俺には絶対頼ってこない」
と言い切るミカに、驚く。
ミカが仲間の中で、自分自身をそんな風に位置づけているのは、寂しすぎる。
「いや…そんなことは、ないんじゃ、ない、かな」
今ではあの人見知りのミオだって、ミカを理解して心を許しているだろう。
見ていれば判る。
ミカは人を寄せ付けないようでいて、その内実は、誰よりも情が深い。
ウイに、そう言われて見方を変えてみれば、ミカとの距離はずっと近くなった。
そして。
近くなったからこそ、ともすれば、ミカは当人よりも深く相手を理解して、
それ相応の付き合い方をしているのだ、とヒロには思える。
それが理解されていないだけで、真に相互理解が生まれれば、ミカの周囲は必ず、
激変する。
そのことをどうにかしてミカに教えたいと思ったヒロは。
逆に、ミカから告げられる言葉に、思考を止めた。
「お前は王になるんだろう」
その話の切り出し方が、あまりにも突拍子なく、ヒロの頭から今までの考えが吹っ飛んだ。
「…ええーと、何の話だっけ?」
「お前の話しだろ」
「あれ?ミオちゃんの話してなかったっけ?」
俺はミカの話をしてるつもりだったんだけど、といえば、はあ?と返される。
「何で混乱してるんだよ」
お 前 の 話 だ 、と、わざわざ一言ずつ強い調子で言われて、恐縮する。
なぜそうなったのかは判らないまま、昔、冗談で言い合った話を思い出す。
「あ、あー、あの、俺が王様で、ミカが大臣やってくれる話な」
それがどうして今、話題に出てきたのか判らなかったが。
ミカは先に話を進めた。
「それに加えて、ミオを民衆とする」
これで、簡単な縮図の出来上がりだ、とミカが3本の指を立てて、示した。
「民衆は全ての不安を王に訴える。王は、何よりも慈悲深く、民に同情する」
「民と王の関係はそれでいい。だがそれでは国は立ち行かない」
だから、大臣が冷静に徹する、と3つの役割を単純化させて、ヒロを理解に導く。
「ミオは、俺たちの中で、お前が一番自分の感情を受け止めてくれると判ってる」
だから、何かあったときにあいつが頼るのはお前なんだ、とミカが言う。
今までもずっとそうだった。それに気づいているか?と指摘されて、困惑する。
「いや、だって、今まではウイが」
「あいつは違う。あいつに、お前の代わりは出来ない」
きっぱりと。
ウイとヒロの立ち位置は、似ている様でまるで違うのだ、と説くミカが、ヒロの心を、
大きく揺さぶりかけてくる。
「お前は、どんな状況にあっても、相手と同じところに並ぶことができる」
だが、ウイはそこにはいないのだ、と言う。ウイは、いつも一段上の場所から手を差し伸べる。
わかるか?と、ヒロの頑迷な心を開くように言い聞かせるミカの言葉は、強い。
「お前は寄り添う。あいつは、引っ張り上げる」
いくらウイが手を差し伸べても、差し伸べる先にいるミオがうずくまっていては、
何にもならない。
ミオがうずくまるその場所に、いつも心情を理解してくれるヒロがいるからこそ、
ミオはウイに手を伸ばす。
「それこそが、民衆にとって慈愛の王、そのものじゃないのか」
ミカが将来への嫌悪を口にしたとき、ヒロは、彼の気が晴れるように、王になれ、と言った。
自由になればいい。自分はその下で、いくらでもミカを支えてやれるのだから、と、そう思った。
だが、ミカはお前にはできない、と言ったのだ。
その部分は俺が引き受けるから、と言い、だから、今のお前を失くすな、とも。
あれは、こういうことだった。
あの時からずっと、このパーティでこなしてきたそれぞれの役割。
慈悲と同情と脆弱さで成り立つヒロを支えてきたからこその、ミカの言葉だ。
それを素直に聞き入れれば、ミオは自分には頼らない、とミカがいった意味も
正しく理解できる。
ヒロがミオの感傷を受け止めて、それを同じように抱えてあげられたからこそ。
「俺が、止めておけ、と言ったことにも、あいつは素直に従ったんだ」
これが、お前と俺の順番が逆だったとしてみろ、と続ける。
「俺が、アホか、って言った時点であいつは一人で飛び出してるぞ」
頭ごなしに否定されて、もうヒロを頼ろうという考えはどこにもなく。
ミオは、一人で、ただ感情に突き動かされてガナンへ走る、と言われては
ただ納得するしかない。
「…ああ」
実際にその短絡な結論しかないかといわれれば、それはまた別の話で、
ただ、ミオが追い込まれることだけは、確かなように思えた。
「うん」
「それに対して、『俺の代わりにあいつに同情してくれてありがとう』、とか」
俺がお前に言ったらおかしいだろうがよ、とミカが同意を求めてくる。
結 局 、 そ こ に 戻 る の か !!
「…はい、そうですね」
確かにそれは珍妙な構図だが、だから<礼は不要>という思考に結びつく、
そこに問題があるんじゃないかな、とヒロがまだわずかにわだかまっていることを、
ミカに見抜かれた。
「不満か」
「いや、不満というか」
ミカに不満はない。
仲間内での個々の役割を冷静に見極め、それに倣い、淡々とこなしている様は、
時に感情に流され、やるべきことを見失うヒロにとっては見習いたいくらいだ。
だが。
「…なんだろうな」
すっきりと心が晴れない自分は、何かに納得できていないのだろう。
多分、こういう曖昧な返答がミカを苛立たせるのだろうこともわかっている。
ミカは単純明快でないと、何事も立ち行かない性質なのだ。
今まで散々衝突してきたので身にしみている。
…そういえば、散々衝突してきた相手とこんなに長く一緒にいるのは、初めてだな
とヒロが、ふと思ったとき。
ミカが、口を開いた。
「俺は感受性に乏しいらしい」
「はっ?!」
突然、彼らしくもない告白に、ものすごく驚かされていると。
「最初にそれを言ったのは実の母親なんだが」
と、さらに返答に困る(ここはミカに同情すべきか?母親にか?という)ことを続けて、
「しかしその母も俺から見れば、十分感受性に乏しいと思える」
というさらなる追撃を投げて、
(いやいやいや!何で親子で牽制しあってんの!!)と内心でヒロに突っ込ませ、
「それでも俺は生きていくうえで困窮したことはない」
などと締めくくる爆弾発言の当人は、いつもどおりどこ吹く風だ。
いや!周りが!それ絶対周りが困窮してますよミカ様…、と、いつもどおり、
ミカの唯我独尊っぷりに対応をもてあます状況へと追い込まれたヒロだったが。
「だが、お前やミオを見てると、生き難いんじゃねえか、と思うことがある」
と放言されては、思わず目も据わる。
「…俺の話かい」
うるせーほっとけー、と、苦いものを噛んでいるヒロを、ミカが平然と見ている。
ベッドの上で、両脚を組んで。膝の上で頬杖をついて。お前は、と感心した声音で。
「たったこれだけのことで、俺に同情して、俺の親に同情して、俺の周囲に同情するわけだ」
「なっにーぃ、謀ったな、ミカ!」
「いや、俺は俺の主張のために、既存の事実を言っただけだ」
ただお前が勝手にうろたえてたようだから、と何でもないことのように告げる。
…そうだな、ミカは裏をかいたり、人を試したり、謀ったりする必要のない人間だよな、と
改めて納得できるようなことを続けざまに。
「お前らを見てると、俺は感受性がなくて良かった、と思える」
そういわれては、<生き難い>と評された代表のヒロは、ただうなずいて置くしかない。
「あー、そうでしょうとも」
「だからこそ、俺にはお前たちが必要らしい」
「はい?」
先刻から振り回されているようなヒロはともかく、ミカは大真面目だ。
大真面目だ、と判ったので、ともかくミカの言いたいことを真剣に吟味してみる。
…吟味してみた。
「…すっげー思考回路だな」
「そうか?」
「ミカは要らないけど、持ってないから俺ので埋め合わせる、ってことだろ?」
「いや、埋め合わせたくはない。お前のそういうの、鬱陶しいから。いらねえぞ」
「おいい」
まったく、本人を前になんて容赦のない奴だ。
「ただお前ら個人のことは好ましいと思える」
「…ぬがっ」
「という、<必要性>の話だ。…『ぬが』?」
「いや、なんでもない、変な声出た」
「何だ、ぬがって」
「いやもうそりゃいきなり好きだとか言われたらびっくりするでしょーよ!」
「いきなりじゃねーだろ」
はじめからずっと何を聞いていたんだ、と言われて、ただただ呆然とするしかない。
「え?そんな話してた?」
「お 前 の そ の 耳 は 飾 り か 」
「だってさ」
「お前が、自分の弱さをいちいちいちいち自己嫌悪してぐだぐだ言うから!」
「判ってるよ鬱陶しいってことは!」
「俺が好きでいてやるから安心しろ、って言ってやってんじゃねえか!」
最 初 か ら ず っ と !
ひゃー!!と、今度は心の中で絶叫する。
なんてやつだ。辛口とは逆方向にも、手加減なしで容赦がなかった。
「わかったか」
「はいっわかりましたっ」
ウイー聞いてー俺ミカに好きだとか言われちゃったよー!!!
と窓から叫ぼうとして、そこにはもう二人の姿がないのを知る。惜しい!!
やり場のないこれを、思いっきり叫びたかった。愛ってなんだ。
と、ヒロの最大級の動揺を前に、ミカが最大級のため息を吐く。
「…お前といい、ミオといい、何で判らねえのか、こっちが判んねえよ」
「だって誰かにそんな直で好きとか言われたことないんだもんよ…」
ミオも、言われたのか。ミカに、これを。すげえ!
だったらぜひ、この、なんともいえない衝動を、ミオと分かち合いたいと思った。
ミオなら判ってくれそうな気がする、と思うことでやや立ち直りかけたとき。
「お前がそうやって自己否定に走る事が、過去の奴らに原因があるんなら」
と、ミカが静かに切り出す。
「そいつらには、お前が必要なかった、ってだけだろう」
俺には必要だと思った。そしてミオも、お前を必要としている。
ウイはありのままのヒロを否定しない。
その輪の中にいて、なぜ後ろを振り返る?
「お前が向くべき方向は、こっちだ」
だからもう引きずるな、そういわれて、不覚にも泣きそうになる。
ミカには、きっとヒロの過去はわからない。
なぜなら、ミカは要・不要で人間関係を割り切れるから。
そんなに単純に感情は切り貼りできるものではない。
それでも。
俺にはお前が必要だ、と、いわれることの心強さは、過去を振り返る余裕もないほどに
強く、これから先の未来へとヒロを連れ出していくようだった。
そこに光を投げる。
ヒロ自身は何も変わらなくていい。ただ前を向け、とミカが言う。
こんな自分を強い力で必要としてくれて、ありがとう、と、ただ伝えたい。
それは、別れてきた過去があるからこそ、仲間の心に触れるたびに湧き上がる思い。
だが、ミカは言うのだ。
礼はいらない、と。
「あ!そうか、わかった!」
「…やっと判ったか」
「判った!ミカが礼はいらない、っていう、そのそれが」
「はあ?!」
話の内容を理解してるのか、と再び怒られる前に、ともかくミカの前まで移動する。
そして、その両肩を掴んで。
「俺もミカのことが大好きだ!」
そうだ。
伝えたい心は、アリガトウという言葉よりも、きっとこっちの方が正しい。
俺たちの関係に礼はいらない、というミカに、それでも自分の気持ちを言いたくて
何かわだかまっていたことは、きっとこれだった。
初めて、支えあって傍に寄り添っていた仲間に、好意を抱いた。
感謝を判ってもらいたい気持ちの根源には、何よりも、好意があった。
自分は、それを伝えることを、どこか恐れていたような気がする。
自分というものに、自信がなかったから。
だから、まずは自信をくれたミカに全力で返す。
これなら「いらない」とは言えまい。愛はいつでも、言ったもの勝ちだ。
先ほどの、宣戦布告のようなミカのそれに返しただけなのだから。
「よし」
と勝手に満足すれば、ヒロの勢いにやや気おされていたようなミカが。
「…知ってる」
と、ただそれだけをいう。
ミカらしくて笑ってしまう。と同時に、何かがとても誇らしい。
仲間に、胸を張って好きだといえることが。
こんなにも自分を奮い立たせることができるなんて、知らなかった。
「じゃあ、ウイとミオちゃんにも言いに行くぞ!」
「はあ?あいつら勝手に戻ってくるだろ」
「待ってるだけじゃだめだろ!攻めて行かないと!」
そういってミカの手を引っ張って立ち上がらせると、強引に部屋の外へ連れ出す。
「何に対しての攻めだ」
「わかんねーけど」
「それは単に今、お前が感情的に昂ぶってるだけだろうが」
「それでイイってミカが言ったんだろ」
「…言ったけどな」
しぶしぶ足を運ぶミカの体重を片手に引きながら、扉を開ける。
いつも開かれるのをただ待っているだけだった扉を、今、開ける。
■ ■ ■
好きだから許せるんだよ。
ずっと前に、ウイに言われたことの意味が、やっとわかった気がする。
好きだから。
相手のことも、そして自分のことも許せる。許しあえる。
そうして生まれるのは、光だ。
許しの光、ミカが必要としているのは、実はそれなのではないかと思う。
そうして、それを与えることのできるヒロや、ウイやミオを必要だと言うのだ。
だから、ミカに必要とされる自分を、許すことが出来る。
ウイが言ってくれたことは、これだったのかもしれない。
それを考えたとき、不意にひらめく。
「なあ、俺が王様でミカが大臣で、ミオちゃんが民衆だとしたら」
ウイはなんだと思う?と、後ろについてくるミカを振り返る。
ヒロにとって、ウイは導く者だ。或いは、光そのもの。
ミカは、ウイの役割を、「引っ張り上げる」と、言った。その真意は。
「あいつは守護天使なんだろう」
今までも、これからも。
この世界から人間を守るために生まれ、役目を終え消え行く天使。
その天使の一翼に遭遇し、旅を共にした自分達。
関わりあうはずのない運命が交差し、天空で終焉を見届けた今でも。
ウイは、守護天使だ。
だからこそ。
「神の不在に、面倒ごとをもちこんでくるものだ」
ミカの辛辣さは、変わらず。
不謹慎だと思いつつ、笑ってしまった。
「確かに」
と同意すれば、ミカも人の悪い笑みを見せる。
「仕方がないから、頼まれればまた手を貸してやってもいいが」
神が人に借りを作るとは思うまい。これは高くつくよな、とヒロも同意する。
「俺たち、神様に貸しをつくってやった、ってわけだ」
な?とミカに調子を合わせれば、それにも乗ってくれる。
「なるほど。神復活の暁には、せいぜい大きく返してもらえよ」
「まかせとけ」
そういうのは得意だ。
知ってる。
そんな戯言を交わしている間に、廊下の先から階段へと差し掛かる。
そこの踊り場から、1階のアプローチが見え、駆け込んできたウイが見える。
「おーい、ウイ!こっち!」
声をかければ、その後からかけてくるミオも、同時に立ち止まり、こちらを見上げた。
きらきらと、外の光を受けて。
はじけるように笑顔を見せる二人の存在は、とても愛おしい。
そして。
「ヒロー!ミカちゃーん!ウイねえー」
旅の始まりは、いつも天使が号令をかける。
「お師匠様を探しに行くからー!手伝ってー!!」
一つの終わりと、次の始まりは、いつもこうして手をつないでいる。
↓ここをぽちっとすると、「読んでやったぜ!」的な会心の一撃です♪