私の住む集落では、吉野川の石を拾って帰ることを“大汝詣り”と呼んでいる。
@大名持神社
延喜式神名帳に大和国吉野郡十座の一つとして名神大社に列せられ、大月次新嘗の官幣にあづかる。貞観元年正月二十七日正一位の神階を授けられた神徳崇高な神社である。
神社下の吉野川潮生淵に毎年六月三十日に海水が湧き出るとの伝えがあり、国中地方から当社に参詣し、この淵で禊をする大汝詣りが今日も続いている。
@大汝詣り
吉野川行きとも言われた大汝詣りは、桜井市内(旧多武峰・朝倉・安倍・香久山の 村村や桜井町)の社の祭を執行するに先立って、当屋の者がこの神社に参詣、社前の 潮生淵で六根清浄の水浴をし、神酒口に水を汲み、吉野川原の小石を持ち帰って神事 に用いた 海水で穢を祓う潮垢離(しおごり)のことです。
『吉野名勝志』(一九一 一)に「昔時神宮寺あり大海寺と称せり。寺廃されて倉庫一棟存す。潮生淵は社前吉 野川の辺に在り古へ三月三日、六月晦日潮水湧出すと云。周囲約二〇間許り、明治十 八年巌石を除きて其跡を滅せり」とあり、『大和志』に「社前有潮生淵。毎歳六月晦 潮水湧湧故名」とあることから、少なくとも享保の頃に海水が湧くという伝説があっ て、その頃より続いた行事と思われます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます