かなりえげつないマンガなので万人には奨めないのだけど、関西和事の好きな人には絶対に楽しめる作品。江戸時代の遊郭・大坂新町を舞台にした作品で、天神女郎・和泉がヒロインのこのマンガ、歌舞伎の「廓文章」でお馴染み、夕霧・伊左衛門も登場したりします。(因みにヒロインの和泉は夕霧太夫の妹分だったということになっている。)
先日、歌舞伎座で染五郎の「恋飛脚大和往来」を観たときに気付いたのだけど、「恋飛脚~」のヒロイン・梅川って芝居の上では地位があるように見えるけど、じつは「見世女郎」で地位が低いんですよね。江戸時代で公認の遊郭があるところといえば、吉原(江戸)、島原(京都)、新町(大坂)ですが、関西の遊女の地位は上から、大夫、天神、囲(かこい)、汐(しお)、影、月、それ以下を端女郎、見世女郎、局女郎といった具合。このマンガのヒロイン和泉は序列2番目の天神という設定です。
江戸時代の大坂の風俗も然ることながら、このマンガの面白さは何といってもヒロイン和泉のキャラ。川島雄三監督の映画『幕末太陽伝』の主人公・佐平次(フランキー堺)の女性版といった印象で、こすっからさと図太さでが読んでてなんだか気持ちいいんですよね。(ちょっと「ショムニ」の江角マキコに通じるものがあるかな?毒舌だし。)
近年の江戸ブームでは江戸時代の遊女の運命を悲惨なものとして語らない傾向があるのだけど(このあたりを批判しているのが、『もてない男』の著者・小谷野敦の『江戸幻想批判』。)、このマンガの場合、悲惨さを覆い隠すことも無く、また悲惨さをずぶずぶのセンチメンタリズムで語るわけでもないというところもいい。つまり、悲惨な運命の中でも、いかに賢く生きるかを描いているわけで、その点は現代的といえるかも。
ところで、わたしが好きな場面は、夕霧と伊左衛門の間に出来た少年が血は争えないような女好き振りを発揮する場面なんですけどね…。
因みにこのマンガも手塚治虫文化賞受賞作。
手塚文化賞
先日、歌舞伎座で染五郎の「恋飛脚大和往来」を観たときに気付いたのだけど、「恋飛脚~」のヒロイン・梅川って芝居の上では地位があるように見えるけど、じつは「見世女郎」で地位が低いんですよね。江戸時代で公認の遊郭があるところといえば、吉原(江戸)、島原(京都)、新町(大坂)ですが、関西の遊女の地位は上から、大夫、天神、囲(かこい)、汐(しお)、影、月、それ以下を端女郎、見世女郎、局女郎といった具合。このマンガのヒロイン和泉は序列2番目の天神という設定です。
江戸時代の大坂の風俗も然ることながら、このマンガの面白さは何といってもヒロイン和泉のキャラ。川島雄三監督の映画『幕末太陽伝』の主人公・佐平次(フランキー堺)の女性版といった印象で、こすっからさと図太さでが読んでてなんだか気持ちいいんですよね。(ちょっと「ショムニ」の江角マキコに通じるものがあるかな?毒舌だし。)
近年の江戸ブームでは江戸時代の遊女の運命を悲惨なものとして語らない傾向があるのだけど(このあたりを批判しているのが、『もてない男』の著者・小谷野敦の『江戸幻想批判』。)、このマンガの場合、悲惨さを覆い隠すことも無く、また悲惨さをずぶずぶのセンチメンタリズムで語るわけでもないというところもいい。つまり、悲惨な運命の中でも、いかに賢く生きるかを描いているわけで、その点は現代的といえるかも。
ところで、わたしが好きな場面は、夕霧と伊左衛門の間に出来た少年が血は争えないような女好き振りを発揮する場面なんですけどね…。
因みにこのマンガも手塚治虫文化賞受賞作。
手塚文化賞
難波鉦異本 1 (1)少年画報社このアイテムの詳細を見る |
江戸幻想批判―「江戸の性愛」礼讃論を撃つ新曜社このアイテムの詳細を見る |
幕末太陽傳日活このアイテムの詳細を見る |
私も『難波鉦異本』好きです。主人公をああいうキャラクターにした作者のセンスがいいなぁと思います。
安野モヨコさんの『さくらん』も好きなんですけどね。こちらは、吉原が舞台で、連載が中断しているようで、2巻目が出るのを待っているのですが、いつのことになるやら・・・。
『さくらん』まだ読んでいないので読んでみます。それと、『難波鉦異本』の和泉っていいですよね。前向きなリアリストって感じで。