切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

大人の社会の恐いものを見た。(古今亭志ん朝の落語協会復帰の決意表明を思い出した。)

2016-01-18 23:59:59 | TVピープル
社会人をやっていれば、組織の力とか圧力で、黒いものも白と言わされる瞬間に何度となく立ち会わされたり、あるいは自分が言わされたりする場面に直面するわけですが、それって、通常は内輪の世界の話だったりするわけでしょ。それがゴールデンタイムに公衆の面前で演じられて、さすがに恐いな、と思いました。故大島渚の名言「就職するというのは奴隷になるということだ」というのは、まさにこういうことを言うんだと。そう考えると、古い組織を出て、自分の居場所を堂々と作った当時47歳の談志は凄かった、とあらためて思いました。ということで、雑感のみ。

今回の件であれ、政治の世界の「加藤の乱」であれ、組織内で失脚した人の末路は哀れだから、我が身を振り返っても、同情を禁じ得ないのですが、反転攻勢するには相当な策がないとダメってことでしょうね。談志も立川流創設時には、落語協会分裂騒動を教訓にして、実は相当作戦練ってたんじゃないのかな~と、想像したりしてしまうんですが・・・。

で、唐突なんですが、世の不条理に出会うと、つい再読したくなる本というのがあって、それは夏目漱石の「坊ちゃん」。江戸っ子の坊ちゃんも、会津出身の山嵐も、ともに敗れ去る側ですが、敗れる側の矜持というのが爽やかでよいんですよね。二宮和也のドラマもまあまあだったけど、これはやはり原作ですよ。

>その夜おれと山嵐はこの不浄な地を離はなれた。船が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆しゃばへ出たような気がした。山嵐とはすぐ分れたぎり今日まで逢う機会がない。

そう、「不浄な地」をさっさと離れたいもんだな~。テレビの内も外もみんなそう思ったに違いない。最初は勇気がいるが、いざ離れてしまえば、「岸を去れば去るほどいい心持ち」に違いなんだけどなあ~と。ま、わたしの心境はそんなところです、よ。その後のあんなこんなを考えても、つくづく、日本人なんて長いものに巻かれる劣等民族の群れなんだと思いました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本日、歌舞伎座(昼の部)を... | トップ | 「東京ガスの電気」に乗り換... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

TVピープル」カテゴリの最新記事