切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『恋空』 今井夏木 監督

2008-08-19 20:05:20 | アメリカの夜(映画日記)
ケータイ小説の記事からの流れで、話の種に見てみたのですが、ナルホド~というわけで、感想を・・・。

その年のワースト映画を選ぶ「文春きいちご賞」第2位に選ばれたこの映画。(ちなみに、第1位は『蒼き狼』。)

実際、多くの人がこの映画を酷評しているわけですが、ちょっと待てよ!というのがわたしの感想。

じつは、わたしの見たところ、この映画、結構よくできているんですよ。この陳腐な原作を与えられた監督としては、最良の演出をしているんじゃないかって意味で。

(だいたい、高橋ジョージ&浅野ゆう子の夫婦を演出しろっていわれたら、困るでしょ!自主映画監督の皆さん!)

おそらく、原作のイマ風でエグイ部分をかなり省いているのでしょうけど、中高生くらいの女の子が、彼氏(または、カッコイイ男の子)に言ってほしいことをうまく俳優に言わせていて、女の子のための巧妙なメルヘンにはなっていると思います。だから、原作より映画の方が好きだっていう女の子は多いんじゃないかな?

これは、監督が女性であるということが効いていて、だからこそ、アマゾンの男性レビュワーたちは憤慨しているんでしょう!?

それと注意が必要なのは、この映画が、テレビ畑出身の監督を除けば、ちゃんとした映画スタッフで作られているという点。

よいロケハンをやっているし、この映画のポイントとなる再三登場する雪のシーンなんて、スタッフは相当頑張って画面を作っていますよ。

また、監督の演出も、わかりにくいカットは採用せず、役者の芝居にも程よく見切りをつけて、いい表情を拾っています。

というようなわけで、吉永小百合&浜田光夫の青春映画みたいな王道路線としてはよくできているし、この映画に比べれば素人芸という感じの山下敦弘の映画をベタほめしているような映画評論家っていったい映画の何を見ているのやら~。

さすがに澤井信一郎の『野菊の墓』(決して松田聖子の映画とは言うまい!)と同等の感動とまではいいませんが、ヒットするだけのことはあったというわけで、妙に感心した一本ではありました。

PS:なお、「文春きいちご賞」第1位の『蒼き狼』ですが、これも名匠・澤井信一郎監督にベテランスタッフが絡んで、あの話にしてはかなり健闘していると思いますよ。でも、「草原にテント」のモンゴルではあれ以上いい画面は作れない。澤井信一郎にもっといい仕事を与えてほしいものだと心底思ったなあ~、角川春樹さん。そういえば、『神聖喜劇』を撮りたいんじゃなかったっけ、澤井監督!!

それと、「文春きいちご賞」に投票している評論家って本当に評論家なんですかね?

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