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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『我が至上の愛~アストレとセラドン』 エリック・ロメール監督

2009-01-29 00:27:19 | アメリカの夜(映画日記)
フランスのヌーヴェルヴァーグを代表する監督のひとり、エリック・ロメールの最後の長編映画なんだけど、齢90近い老人がこんなにもみずみずしいエロを描けるなんて!という、驚きの映画でした!簡単に感想っ!

ロメールといえば、ちょっとさえない感じのフランスの男女の恋愛を、大げさでない日常感覚で描くことのできる名匠なんですが、今回の舞台は、なんと5世紀のフランス。日本でいえば聖徳太子の時代より前だから、古代の話ってことになりますよね。でも、ハリウッドなら大げさな時代考証をやりそうな時代設定なのに、ロメールはなんとも力が抜けているというか、現代の恋愛を描くように、軽やかに映画を撮っている。まあ、日本でもこういう感覚の演出家って案外いないでしょうねえ~。(シンプルなやり方で古代を描いているという意味では、ロッセリーニの『神の道化師フランチェスコ』を想起しますね。この映画も信仰という要素が描かれていますし・・・。)

で、今回の作品で特筆すべきは、カップルの男役セラドンを演じた男の子がたいへんな美少年だってこと。わたしの見たところ、『ベニスに死す』に出てくる美少年以来なんじゃないかしら、というほどのいい男で、さえない男がどちらかというと多いロメール作品では異色じゃないですか?

一方、相手役のアストレ役の女の子は、割と普通っぽくて、それゆえにいい男の彼氏の浮気疑惑が許せない。

お互いの親の仲が悪いために、違う相手と祭りの日に踊ることにしたこのカップル。

しかし、セラドンが違う女の子と踊っているのを見たアストレは、彼がその娘に本気になっていると勘違い。でも、このシーンが妙に色っぽくて、アストレが勘違いするのも無理はないというようなカットになってるんですよ。個人的には、今村昌平の映画『うなぎ』で役所浩司が妻の浮気を発見するカットのいやらしさを思い出してしまったくらいにねぇ~。

で、さまざまなすれ違いがあって、ラストのシーン。

ネタバレは避けたいので詳細は書きませんが、ここがなんとも色っぽい!

やっていることはたいしたことがないのに、『ラスト・タンゴ・イン・パリ』や『愛のコリーダ』なんかよりずっとエロいなあなんて思ったなあ、わたしは!

しかも、これを90歳近い老人監督が撮っているんですから、つくづくフランスは愛の国だってことなんでしょうか!

というわけで、繊細なひとだけに観て欲しい映画。

『愛のコリーダ』が好きな人は観ないでください!

・公式HP

PS:因みにわたしの好きなロメール監督作品は、前も書いたけど『冬物語』&『友だちの恋人』!『クレールの膝』もいいけどね!

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