切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

成人向け企画で映画祭打ち切り。

2005-09-09 18:37:14 | アメリカの夜(映画日記)
この話はわからない人にはさっぱりわからない話だと思うので、あえて解説しておこうと思う。

成人向け企画で映画祭打ち切り

まず、文部科学省の下に文化庁という官庁があって、ここが映画や演劇なんかの管轄官庁。そして、現在文化庁で映画や演劇関連の助成の仕事をしている官僚が、寺脇研という人物。(確か、現在の肩書きは「文化庁文化部長」。)

どこかで聞いたことがあるとお思いの方もいると思うのだけど、この人、「ゆとり教育」推進派の文部官僚としメディアにも一時期よく登場した人物で、じつは、東大生時代から映画ライターとして活躍もしていたという顔も持つ。そして、映画ライターとしての彼は日活ロマンポルノやピンク映画の擁護者としても知られていて、昨年、文化庁主催で韓国で行われた特集上映「日本映画 愛と青春 1965-1998」では、ややマイナーな日活ロマンポルノやピンク映画もチョイスしているという力の入れっぷり。

仰天!!映画オタク、韓流に負けず「日本映画の底力を」

さて、本題の「映画祭打ち切り」の件。わたしは青森の「なみおか映画祭」って全然知らなかったのだけど、第一回から映画評論家で元東大総長の蓮実重彦が絡んでいたりと、かなりマニアックな内容の映画祭らしく、蓮実ゼミ出身で「リング」などの監督作品を持つ中田秀夫(日活出身)も参加しているようだ。

問題になっているのは、映画祭で日活ロマンポルノの上映をしようとしたところ、文化庁は補助をしているにもかかわらず、青森市教委サイドが補助金を打ち切り、会場を貸さなくなったということ。

このあたりで、そろそろ私の意見。わたしは一映画ファンとして、断然日活ロマンポルノ擁護者だし、映画祭関係者を支持するんですが、ただ、場所が青森だというところがミソ。青森県の方には悪いのだけど、正直言って、地方の教育委員会の人に日活ロマンポルノの価値が理解できるわけないに決まっているので、ちょっと関係者や寺脇研も地方ってものを甘くみたかなって気はする。

とても残念なことではあるけれど、まだまだ日本では日活ロマンポルノの映画史的な価値は浸透していないし、むしろフランスやイタリアなどヨーロッパの方がその価値を認めていたりする。(因みに、イタリアでは神代辰巳監督の作品を「フェミニズム映画」などと評価しているそうだ。)

結局、「映画とは何か」みたいな話になるのかもしれないけど、マイナーな映画を小さな映画館のはしごをして観まくるというのは、あくまで都市文化で、地域限定的な現象。わたしも東京周辺を徘徊して、年間300本前後映画館で映画を観ていた時期があるけど、親戚とは全然話が合わなかったなあ…。(特に地方の親戚はね。)

ところで、市教委の連中は神代辰巳って知ってるのかな?

PS:因みに、神代監督の「宵待草」のラストシーンは五能線じゃなかったけ?一回だけ乗った事があるなあ、一人旅で。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 残念、吉田玉男さん休演! | トップ | 遅い夏休み。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アメリカの夜(映画日記)」カテゴリの最新記事